10/26/2010

[&] cannes lions 2010 jury report

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cannes lions 2010 jury report
http://www.canneslions.com/

2010カンヌ国際広告祭にみるコミュニケーション・デザインのグローバル潮流
https://www.wab.ne.jp/wab_sites/contents/1176

原野守弘氏(株式会社ドリル)※
岸勇希氏(株式会社電通 コミュニケーションデザインセンター)
北村久美子氏(株式会社葵プロモーション)
次田寿生氏(パナソニック株式会社 Web広告研究会グローバル・ブランディング委員会委員長)

次田:去年、今年で広告の潮流が変わってきた。
 ひとつはソーシャルメディアが世界的に
 広がってきている。生活者の体験が変わってきている。
 グローバル化、グローバルな競争に巻き込まれている。
 多かれ少なかれ、そういう立場に置かれている。
 今回、6月に開催されたカンヌ広告祭の受賞作を見ながら、
 潮流をひもといていければと思う。
 前半が作品紹介。後半がトークセッション。

北村:紹介(毎年カンヌに参加されている。毎年ものすごいレポートを作られている)
岸:紹介(今年サイバー部門の審査員。
 明後日からの ad:tech の講演。今週は8本の講演予定)

岸:実はカンヌ、半年くらい前になってしまう。半年でいろんなことが進んでいる世界。
 半年前のカンヌ、古い感じもするが、普遍的なことも入っている。
 審査員をさせて頂いたこともあり、カンヌの話をしようと思う。
 パネルセッションの相談をさせて頂いたのが一ヶ月前くらい。
 まずはカンヌから〜という題もあり、どんなものが面白かったのか?
 受賞したのは Web で分かってしまうので、
 何から潮流を感じ取ってもらえるのかが重要。
 まずは、4〜5作品ピックアップしたものを紹介します。

賞の取り方のポイントとか言っているけど、
賞とってる場合ではくて結果出せよと言われることもある。
大きく3つの流れがある。

サイバー部門:
Real & Real time Interactive:今何かすると、何かが変わるもの。リアルタイムなコミュニケーション
Using Social Media:
ソーシャルメディアを使ったキャンペーンが増えた。Facebook/Twitter
もう使っていないキャンペーンが無いほど。
非常にショックだったのは、世界が均一化した。
一昨年前だと、北欧、欧米が一歩進んでいるような感じがした。
世界中で Twitter/AR/Facebook を使っている。
ちょっと先進的なものは無い。
AR を使っているから、かえって賞から落ちるという例も。

High Quality Craft:
あらためてサイバーという意味はなんだろう?
その中で顕著だったのはとにかくクオリティが高い。
ブランデットエンターテインメント。BMW Movieを発端。
今になって普通になってきた。
WebMovie でリドリースコット、スパイクジョーンズ。
ゲーム、歌、イベント、幅広いブランデッドユーティリテイ。
これらがおおきな特徴。

●Best By: 家電量販店
Twelpforce Best Buy : グランプリとった作品。今年のカンヌを象徴する作品。
http://twitter.com/#!/TWELPFORCE



実際これがグランプリをとったもの。
ものすごく波紋を読んだ。自分自身
クリスティー(アメリカのクリエイティブエージェンシー)
これが広告?これがカンヌ?という議論があった。
Twitter 使って、会社の仕組みを変えただけじゃない?
どうすればクレームを 20% 下げて、企業価値を上げることができたのか?
会社と世の中の付き合い方、コミュケーションの仕方自身を変えてしまう。
本当に素晴らしい仕事。
Just Twitter じゃないか。
"Twelp" という言葉や、企業レベルの取り組みは素晴らしく、評価すべき。

いわゆるお家芸的なものではなく、Best Buy が教えてくれたものは大きい。
これに賞を上げたカンヌも素晴らしい。
広告はぜひともこういうソリューションも含めて
提案できるようにならなければいけない。

● DONATE WORDS / MARIO PENNA ONCOLOGY INSTITUTE / ブラジル
がん患者専用の病院でのキャンペーン。
病室の待合室の壁にディスプレイを設置し、がん患者向けのハッシュタグが
表示される。
ソーシャルメディアで言葉が流れていく中で、
ソーシャルメディアが面白いだけでなく、本質的に言葉の力を表現した。
素晴らしいキャンペーン。こういうことを忘れてはいけない。

● BOONE OAKLEY / BOONEOAKLEY/ USA
ソーシャルメディアをどう使うかは考えていなくて、
ソーシャルメディアの中にどう飛び込むか?というのが次のトレンド。
ある広告代理店のサイト。
自社サイトが、YouTube の上にしか無い。
ソーシャルメディアの上に住み着いている。ちゃんと機能している例。
すごい素敵だなと思った。
YouTube をサイトの構成の上にうまく使っていく。



● Pee in the shower / ブラジル
環境キャンペーン。
こういうことを広告屋がやらないといけないこと。
やってはいけないことみたいなことを推奨している。
成功しているキャンペーン。
携帯電話のアドレス帳に初めにある "A Blind call" 目の見えない人への寄付に繋がる。
http://www.ablindcall.com/
ダメダメ言うのではなく、アイデアが素敵。
いい意味でアイデア重視型になってきている。



○技術、トレンドの世界同一化
○コンテンツとしての成熟
○本質的課題解決への期待

日本でいうと、Facebook が広がっていないのが痛い。
IKEA と facebook のキャンペーン、最初何が面白いのか分からなかった。
グローバルでスタンダードになってきているプラットフォームが恐ろしくなってきた。
ベスト、メデァアマンズイヤー、Facebook の社長が受賞していた。
Android/iPhone がスタンダードになってきた。
日本だけが自分の写真をWebに上げていくのに違和感を持っている。
海外は自分の顔や写真を使ったコミュニケーションに躊躇ない。
日本はハードルが高い。競い合う必要は無いけれど。
ライブカメラを使ったものが凄く多かった。

Webに関していうとコンテンツの成熟。
いったいいくらの予算で作ったんだろう?という。
普通に webのコンテンツとして作ってくるのが面白い。
コンテンツは、フィルムに元気がなかった。CMだけではなく、
人が能動的にブランドを好きになってくるのかというのが潮流として戻ってきている。

賞のための賞だけではなく、結果を出しているかどうかを試されている。
Film Craft Lion というジャンル。美しいけど広告としてはどうなの?というもの
表現が美しいもの、巧みの技を評価するという枠ができた。

facebook が水道や電気のようになっている。
レジの横に facebook のアイコンが載っている。公共物のような
インフラになりつつある。そういう圧迫感を感じている。
カンヌの公式の告知が facebook 経由でくる。
上手につきあう?相当熟知していないと企画できないと考えている。

北村:Web研究会のセミナーの中でもプロダクションの人が喋るのは珍しいこと。
プロダクションの視点でお伝えしたい。
葵プロモーションの執行役員。葵デジタルクリエーションの取締役。

2010年カンヌ入賞キャンペーンの特徴
 Using Earned Media (= Using Social Media)
 Premium Quality Craft
グレゴリーバーチが提言。Earned Media その人達そのものがメディアになるもの。

●NIKE LIVESTRONG FOUNDATION "LIVE STRONG" / CHALKBOT
インテグレーテッド部門のグランプリとサイバー部門のグランプリ。
ランス・アームストロング基金。
イエローバンドのキャンペーンを展開。
NIKEがもっと応援しようと考え、商品自体のコレクションを展開した。
”癌はあなたの問題です。It's about you."
ESPN で放送開始。wearyello.com SNS 開始。
CHALKBOT キャンペーン開始。
メールで送ったもの、Twitter で送ったメッセージが
コンピュータ制御のチョーク描画トラックが道にメッセージを描いていくもの。
35000のメッセージが集まった。
Deep Local 社が開発。カーネギーメロン大学出身。マーティン・ナザンを中心。
探し出すのが難しい優秀なメンバーが関わっているのが素晴らしい。
NIKE の売り上げが 46% 増加。400万ドルを寄付。
末永く絆を深めていくキャンペーン。

chalkbot.jpg


●GATORADE "REPLAY"
プロモライオン受賞。
ゲータレードのロイヤルユーザーたちのアスリート魂を再燃させること。
キーワードは「セカンドチャンス」
あの試合は忘れられないという試合を再現する。
実際にその時の選手だった人にもう一回やってもらう。
同じフィッシャーフィールド。
気の長いキャンペーンだと思った。
世の中みんなが応援し始めた。
チアリーダー達も再現(ずいぶん年とった(笑
90日間の練習の様子がWebや放送で紹介された。90分でチケット売り切れ。
ニュースの波及効果はメディアに換算すると 341万ドル相当。
63%ゲータレードの売り上げがあがった。


●OLD SPICE "THE MAN YOURMANCOULD SMELL LIKE"
このテレビCM は古くさくなってしまった男性用のシャワーコロン。
スーパーボールで上映されたCM.
ばかばかしい1ショットCMに見えるが本当に1ショットで撮影している。
53テイク。3日間の撮影。
Wieden & Kennedy Blog で撮影の様子を披露しているのが面白い。
一回で話題になり、
Old Spice Channel , facebook のコミュニティで爆発的な人気になった。
新しいCMを作って、facebook だけで公開した。
その後、メディア費を払わずにユーザーと結び続けている。
今デジタル担当の人がやらなければならないことは、
自社メディアをいかに充実して。。。と考えるが、
そうでは無く、SNS に力を入れ、当たり前にやってなければおかしいくらい。
自社のWebサイトは実は箱だけ。



●"WE CHOOSE THEMOON" John f. kennedy presidental library"
クラフト部門を多数とっている。JFケネディの
「月面に人を着陸させ歩かせたい」という 102時間をすべてリアルタイムで体験
エクスペリエンスを再体験する。同じ時間軸そのままアーカイブしたところが面白い
その時のトラブルをも追体験。制限を与えることによって、追体験できる。
価値の作り方が素晴らしい。

http://wechoosethemoon.org/

●SPRING / SUMMER COLLECTION / WRANGLER EUROPE
動きやすいという衣服の紹介。
いちいち動きが生かしている。

http://www.wrangler-europe.com/

●HANDWRITING / PILOT PEN COMMERCIAL ARGE
手書きのようなものでフォントを作って使える。
ライブカメラで撮影。実用的。
最後には手書きにもどってくるというキャンペーン。

http://www.pilothandwriting.com/cyberapp/

Production in Danger から
Production in Innovation へ
Production も REIMAGINE / REDESIGN/ REARCHITECT

R/GA
プロダクションから4回のビジネスモデル展開を経てエージェンシーへ
STINK:Palme d'Or の常連。
STINK DIGITAL:バックエンドからフロントエンドまで。
http://www.stinkdigital.com/

Filmaka:インド人一人のプロダクション、1万2000人のフィルムメーカーを登録
http://www.filmaka.com/
毎月1回コンペティションを行なっている。案件に対して才能を紹介している。

広告はどうなるのか?
デジタル・プラットフォームは、広告・マーケティングだけのMediaではなく
経営そのものの基盤となっていく

すべての根底にあるものが「人間を幸せにすること」by ドラッカー
すべての組織、社会、企業などは
すべて人間を幸せにするためのシステム
すべての企業は、NGO的要素を内包していく。

原野:けっこうカンヌの話とかをしれくれたと思うので、
見てきた、そういうのを作っている組織はどうなっているのか?
Drill Inc. イノベーション代理店。
広告からコミュニケーションへというのが一般的な話になっている中。
時には製品そのものの手伝いをした方が問題解決が速い場合もある。
iPad: 商品がいいと広告は要らない。
SONYの素晴らしいCM があってもサムソンに負けている。
商品やマーケティング戦略がワークしないと負けてしまう。
「ゴミのために他のゴミを作るな」無駄な製品のために無駄な広告を作るな。
パッケージのデザインや、製品の開発から手伝いをして、
広告をしなくても皆が買ってくれるもの。

ホンダのカーナビ。 Eco Grand Prix というもの。Nike Plus の車版。
車の燃費を計測し、日本で何位なのかわかる。

クレジットカッド。EPOS。競争はポイント合戦になっている。
心理的な繋がりをつくると一番いいカードになる。
100種類違うカードを作る。
利用金額が2倍になった。デザインを変えただけなのに。
epos-new.jpg

IKEA のミュージアム。IKEAの家具を展示した4畳半の部屋を作って展示した。

サムスンの携帯電話のキャンペーン。

空間デザインも。キャンディレストラン。フルコース出てくるが全部キャンディ。

BeeTV の手伝い。コンセプト、ネーミングから手伝った。

本題:グランプリ13個。13作品中広告は3つ。他はプラットフォームやPR.
今起きていること:分業の破綻
1950-60 Creative Revolution
コピーライターとアートディレクターが向かい合って広告を作るシステム。
Apple の Think different のようなもの。

分業の破綻:DDPシステムの限界
原因:情報洪水/成熟市場/賢い消費者
三つの新潮流(上位概念、プラットフォーム、モジュール化)

上位概念への移行
 広告やコミュニケーション領域を越え、中立的に”問題解決”の視点に経つ
 ドリル、R/GA、Naked COmmnications, 電通コンサルティング
 経営者を Steve Jobs 化するお手伝い。
 Line Extension ではなく、Innvation の時代。

R/GA のビデオが素晴らしい。デジタル時代のエージェンシー
http://www.rga.com/about/featured/what-we-do-in-11-minutes

プラットフォーム
 2010年のカンヌ:プラットフォーム指向
 Copy+Art から Story + System へ R/GA
 広告は Metaphor による説得。
 これからは Metaphor + Demonstration +Game +Platform
[ Line Ext . ] [ Innovation ]

プラットフォームは新しくて古い。
ミシュランガイド 1900年からあった。タイヤ屋の製品でも無い。

モジュール化
 もう1つの方向性 = 「卓越した部品」
 例:スクリーンの時代
   Story Teilling / 映像制作に特化する等
 Information /Transaction /Participation/
Conversation/Application/CLocation/Diversion/
Aggregation/Visualization/Interruption

広告を評価すると仕組み論みたいものになってしまう。
いい映像を作ることも重要。
クラフトのグランプリ。

Parallel Lines:
http://www.cinema.philips.com/gb_en/index.html


これは何だ?ということになる。
これが何でフィルム部門で評価されたかというと、
Philips の 21:9 のテレビを出したものの Web サイトで見られる映画。
映画好きのための映像を作っている。5本の映像が作られている。
まったく同じ台詞、コピーは1つでも映像表現は何万点も。
リドリースコットプロダクションが担当。特別なアライアンスを組んでいる?
フィリップスのテレビを買うとリドリースコットプロダクションで
一週間体験ができるなど。
フィリップスは映像作家と繋がる必要があると考え、高次元で結びついている。
実は大きな意味でいうと、いわゆる広告という枠組みでは無い。
"Demonstration" に意味が近い。何が体験できれば良いのかを教えれば良い。
それをやっていこうとすると、テレビと映像が近いように見えるが、
なんでもいいんじゃないかと思う。
お客が欲しがっているものと、提供できるもの。
ひとつの新しいやり方。

まとめ

 デジタル化+インターネットの台頭
 1950年代の分業体制が破綻
 新しい分業システムを模索する動き
 ブランドと消費者を結ぶプラットフォームを作る出すことが新しい広告会社の仕事
 全体を設計するか、優れた部品になるか、いずれもアリ。選択を迫られている。

次田:もっとミクロな話をすると、ソーシャルメディアをどう使うか?とか。
 その前に何がしたかったんだろう?
 ソーシャルメディアを使うことが目的では無い。
 効率案のために組織を細分化するのは分かるが、
 一人一人がミッションを持ち、それを細分化するベキではない。
 傘が欲しいと言われると、一生懸命傘を準備しがち。
 本当は濡れたく無いのが本質。レインコートを提案することもタクシー呼ぶこと、
 天気予報を提供することでもある。
 代理店が傘を提供するのがミッションではない。
 もういちどちゃんと向き合うことが大切。
 その部分の話をもっと熱を入れて、向き合う実力/訓練。
 なんとなく期待して頂けるといい。僕自身のチームはそう動いている。
 崇高な議論、組織論ではなく、一人一人の目標設定論。
 遠く見えるけど近い話。

原野:偉い人は組織論が仕事になってしまう。
  新しい手法が出ると、名前が流布してしまう。
  本質よりも、名前が流布してしまう。

次田:ソーシャルメディアをどう使いますか?と言われるがそれは違う。
 何を作るかを議論しなければいけない。
 ソーシャルメディアはメディアにお金をかけずユーザーに繋がることができる。
 どういう風に機能していけばいいのかな?と思う。
 発注や依頼の仕方も譲って頂ければ、両方が変わっていけると思う。

原野:リスクヘッジ。リスクを減らそうとすると、こうなってしまう。

次田:トップ判断。経営判断に直結した形でコミュニケーションデザインをする。

原野:商品のパッケージを作り直しましょう〜と言うと、Bチームを立て始める。
 リスクヘッジではあるが、Bチームがかわいそう。
 代理店の営業が思っているほど、クライアントはリスクヘッジをしようと思っていない
 意外と心配しているのは営業だけ?

次田:Best Buy みたいな企画を持ってきた時にクライアントは通してもらえますか?
   スキームに近いところまで言及するアイデアが欲しい。

原野:ずるくて、オリエンがあると、タイプ/性格による。
  宣伝部長で終わりたく無い人がクライアントだと、一生懸命やるようにしている。
  アンビシャスな人がいれば、僕が役員にしてあげます。と言う。

Cannes Lions Cyber 部門の全リスト
http://www.canneslions.com/downloads/winners_pdfs/Cannes_Lions_2010_Cyber_Lions_Shortlist.pdf