2/01/2010

[&] Digital Book 2010



iPad の発表で、ePub に注目し始めたけれど、
日本で ePub 展開するのはなんだか難しい気もしてきたので、
デジタル時代の本の新しい形を考えてみる。

前にも書いたけど、
「本」は印刷技術のおかげで今の「書籍」の形をとっているにすぎない、
未来の「本」はもっと違う読み方、使い方があるはず。

iPadの画面サイズが 4:3 なことから、
今時の映像(映画)に使うことはあまり考えてない気がする。
ターゲットは A4 や US Legal/Letter サイズの紙ってことだ。

まずは、書籍の模倣から逃れる。
既存のパソコン上で読むオンラインブックは、
ページめくりなど、どれも書籍を模倣している。
BakMagazine とか、無料でクオリティの高いビジュアルブックも、
結局は雑誌という形態の本を模倣している。

◆本の要素と電子書籍の要素を考えてみる〜

 ● 最初から順番に読む本、ぱらぱらと読む本、探しながら読む本
 ● 本のコレクションと、積ん読する本
 ● 主に横書き。でも縦書きも大切
 ● 新聞にはタイトル、見出し、リード、第1段落の概要、本文という
  分量とスコープを的確にしぼった書き方がある。
 ● 見開きではない、1ページだけであること。
  雑誌のレイアウトデザインは見開きで考えられている。
  一度に1ページしか観られない。
 ● どの文言、どの文末で、ページが変わるか。次のページに移るのか
 ● カラーと白黒、背景と文字とのコントラスト
 ● しおりの役目
 ● 本の厚さで把握する、どれだけ読み進んでいるかという安心感
 ● 嗜好品としての本
 ● 装丁の美しさ
 ● 読みやすい文字組み
 ● フォントの大きさと、行間の隙間
 ● 読みやすいフォントと見やすいフォント
 ● 読み間違えないフォント、単語を覚えやすいフォントなど特定用途
 ● 読みやすい本、覚えやすい本。
 ● 本のレイアウトの場所で書かれた内容を記憶している
 ● 出版日の関係で、海外の本が日本で読めなくなるなど、書籍リージョンの問題
 ● 本の特殊形態としての楽譜の役目
 ● 本の特殊形態として、裁縫の本、編み物の本とか

工学としての編集の大切さは電子書籍の時代も変わらずとても大切なもの。
電子書籍時代の「編集工学」の課題は何だろう。
オンラインメディアの編集とは違うもの。

そして図書館での電子書籍の扱いはどうなるのだろう?
ハリッポッター貸出の待ち行列に何百人も居たり、
図書館に1冊以上導入できないといった
書籍としての扱いとは大きく異なるのだろうか?

また、本に出会う方法も、青山ブックセンターや、カウブックスなどの
素敵な本にあふれたところで出会うことだけでなく、
Twitter での評判が気になったり、
本のことが書かれたものを読んで本を解説で選ぶことも重要になってくる。
一番信頼できるのは好みが似ている知人の評価だったりもする。

本に書かれた内容も、内容全部ではなく、センテンス一つ分の名言や、
技術的に役立つ引用などをきっかけに、
本全部を読みたくなる場合もあるだろう。

誰かが書いた文字の塊を読むことの楽しさは無くならない。
それは、書き手の文字を読み手が解釈して、
無限の想像力で解釈することができるからだ。

そして、電子書籍ならではの紙面レイアウトがあるハズ。
雑誌の場合、ページの見開きを考えて綿密にレイアウトデザインされている。
広告と本文、写真と文字との関係が絶妙なのだ。もちろんそこに書かれている内容が
面白く、役立たないと読まれないのだが、
その「読ませる」テクニックが駆使されている
そのテクニックを詳しく知ったのは、Jan V. Whit 氏の書籍。
今は翻訳本も出ている。
達人の雑誌レイアウトには、見開きを考えた流れが生まれるのだ。必読の書。


編集デザインの発想法 -- 動的レイアウトのコツとツボ570

ということで、デジタルならではの「本」の形を示唆しているいくつかの映像を紹介しよう。
これを見たら、きっとなにかを作りたく、書きたくなってくるハズ。

Mag+ (Bonnier R&D concept video)


What is a Vook? Vook: Read it, Watch it.


Microsoft's Vision of the Future


Sports Illustrated - Tablet Demo 1.5


Wired iTablet Concept App


New York Times Mobile on Air 1.5


Microsoft Courier Booklet


Apple Tablet PC for IKEA?


CourseSmart Tablet Concept