10/05/2011

[&] 5th HCD-Net



5th HCD-Net
ユーザーエクスペリエンスのアプローチ
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●はじめに、山崎和彦(千葉工業大学)

今日の趣旨は「ユーザーエクスペリエンスのアプローチ」
7月にアメリカで2つのイベントが行われた。
NYでデザイン事務所を観るツアー、
オーランドで HCI International , HDC-Net主催で講演を行った。
今日は報告会、そのときに発表した人を中心に
NY, オーランドで受けた刺激を紹介したい。
アメリカでは日常として HCD が語られている。
HCDの視点で 4人の人に話してもらい、ディスカッション。



●サービスデザインにおけるエクスペリエンスへのアプローチ、近藤 朗(日立インターメディックス)

サービス産業の重要性の認識。
注目されたのは 2000年の中盤。
次世代の競争力はどこにあるのか?
イノベータアメリカ「パルミサーノレポート」と呼ばれる(IBM パルサミーノ)
サービス産業というのはこれからどうしていくのか?

今までの産業は、まず農業、次に工業化社会、
自動車産業や電気業界が中心であったが、
今は産業に従事する人のほとんどがサービス業。
アメリカだけの状況ではなく、
日本やロシア、ドイツなど先進国のほとんどがサービス業中心。

製造業に関しても Apple iPhone 4S, iPodという機器単体がすごいのではなく、
iTunes を含めたサービスが凄い。製品に付随する関連事業を売っている。
サービスドミナントロジックと呼ばれる。

スポーツの道具を売るのではなく、走りを楽しんでもらう試み。
ステーションや、プロモーション、走る楽しみを売り込んでいる。
製造業も、作られたものをつかって、
いかに楽しんでもらうかが最近のビジネスの傾向。

■サービスの特性

 ●同時性 Simultaneous
  生産と消費が同時におこる
 ●消滅性 Perishable
  蓄えておくことができない
 ●無形性 Intangible
  見えない、触れない
 ●変動性 Heterogeneous
  誰が、誰に、いつ、どこで提供するかに左右される。

■サービスのマネジメント
サービスのモデル
サービス・プロフィット・チェーン

サービスを提供するための体制も非常に重要。
従業員の生産性→サービスクオリティ→従業員のスキル
→従業員満足→従業員ロイヤルティ [ エスケット 1997 のモデル ]

サービスの評価
 経済産業省:平成21粘度 JCSI 日本版顧客満足度指数
 知覚品質/知覚価値/顧客期待 顧客満足/クチコミ/ロイヤルティ

■サービスのエクスペリエンス

 茶道におけるおもてなし に似ている
 「主客一体」とは、主人と客が、それぞれ主体を維持しながら、
  同じ「おもてなし」の場を共有して、
  相互が共鳴して新しい価値を創発していくような関係
  落語にしても、お客と場をどのように共有するかによって変わってくる。
  
 真実の瞬間
  MOMENTS OF TRUTH
  主にサービス業で使われる言葉で、接客などの現場で企業(従業員)が
  利用者(顧客)と接するわずかな時間のこと。顧客にとっては
  現場スタッフの接客態度や店舗設備の状態などから、その企業全体に体する
  印象・評価を決定する瞬間となる。

 スターバックスコーヒー「サードプレイス」
  1990年代に入ってコーヒーショップは
  アメリカ社会の重要な位置を占めるようになった。
  その理由のひとつは、職場とも家庭とも違う安心して集うことのできる
  第三の場所を求める人々の欲求を満たしたことになる。

 SCSE ディズニーランド
  テーマショを通して、ゲストに最高のエクスペリエンス
  (素晴らしい体験)を提供するための要素として
  SAFETY / COURTESY / SHOW EFFECIENCY の4つ

 リッツカールトン
  クレド:従業員が常に身につけている。
  明文化されていないサービスを権限をもって実行している。
  上顧客に関しては、好みをデータベース化されている。世界的なサービス。

■サービスデザインとは
 理解 → 観察 → 視覚化、具体化 → 改良 → 実行
 : IDEOにおけるデザインプロセスの5段階
 
  表面的な情報:購買/検討/比較/検索 [購買行動]
  内面的な情報:

 What is Service Design?
http://urbanomnibus.net/2010/10/what-is-service-design/



●NECにおけるブランドとUCDへのアプローチ、藤井浩美(NEC)

最近のブランド体験はなんだろう?
 ウォーキングシューズ、あまりこだわりはなかった。いくつかABCマートで履いて
 履き心地の良いものを選んだ。実はすごく歩きやすかった。EASYTONE+ (Reebok)
 期待以上の感動があって、それがブランドを作る原点になっている。

 狩野モデル: 魅力的差異化品質 /一元的品質/あたりまえの品質
        感動の体験/自社らしさがくっついているのか?矛盾していないのか?
        Appleは Appleらしいもの、SONYはSONYらしいもの。

 NECのパーソナリティ
   Inovative & Passionate
   洗練を目指し、調整を恐れずに創造し続ける
   使命感を持って、力強くアクティブに行動する
 NECのベネフィット

NECのグループビジョン
 人と地球にやさしい情報社会の実現

■UCD事例の紹介 HCI International 2011
 堅牢ノート ShieldPRO の市場開拓:工場/車載(消防車/救急車)/魚市場、
 年々利用シーンが広がっている
 お客様視点でみると意外な使い道が分かる。調理場で使える。
 省スペースな堅牢サーバとして用いることができる。
 鉄道旅客案内表示システム、ETCコントローラなどにも広がっていっている

開発プロセス:
 ユーザー情報の把握
 事例集を営業や販売店に紹介
 メンバーが常にお客様視点で開発を進められる情報共有の仕組みと体制を確率

■ユーザー心理分析に基づくWebサイト改善
 改善の目的:
  流入の改善、コンテンツの改善、有効問い合わせ数、資料請求数の増加
  ターゲットの洗い出し
  ユーザーシナリオを策定
  シナリオに沿ったサイト構成に見直し
  ランディングページのレイアウトも修正
 検索ワードからの心理分析に基づく改善
  集客からゴールまで、一気通貫の理想シナリオを描き、改善施策を実施
 ユーザー調査をもとにレイアウトを変更
 ユーザーの求める情報を上位に配置:効果は7倍の問い合わせ増

■ヤマト運輸 See-T Navi システム
 エコ運転を支援する車載システム
http://www.nec.co.jp/ad/onlinetv/ja/business/yamato_l.html

あらゆる顧客設定でのブランド体験の実現を目指して
 商品・サービスに関わるエクスペリエンス
 さまざまな顧客接点(コミュニケーション)でのエクスペリエンス
 IT技術(モバイル、クラウド)によって新しいエクスペリエンスが可能に

エクスペリエンス提供のコスト低下で広がるビジネス機会
UCDの適用範囲はますます拡大

 Q&A 社内の温度差は? 一人一人考えが違う。
 ベストプラクティスを共有していく。座談会をしたり。



●ブランドエクスペリエンスのアプローチ、山崎和彦(千葉工業大学)

Holiday Experience in NY
普通の中華料理を食べに行ったつもりだったが、
参加者がマジシャンを連れてきた。びっくりした。
イノベーションのワークショップをしている。
企業のエクゼクティブの前でマジックをやって
発想のチェンジを行う。

●Bland Experience
Interbland in NY ブランドにどういった価値があるのかを計る。
世界中のブランドのランキング、価値を価格に計算。
ブランドの動向を話してもらった。
AT&T の事例:B2C, B2B でどうブランドエクスペリエンスを活用していくのか?
Humanity, コンシューマとビジネスをそれぞれにあったブランド展開していく。
キャッチコピーは Rethink Possible
新しい若い人に受けいれられるような色使い。タイポグラフィーの統一も。

Clarity / Commitment / Protection / Respoonsiveness / Authenticity
Relavance / Differentiation / Consistency / Presence / Understanding

●Audiobrain in NY
http://www.audiobrain.com/

オーディオのブランディング専門の会社。XBox や YAMAHA など。
サウンドブランディング。プロダクトの警告音や、
Web上の音、ソフトの音、広告の音など、
音に関わるものは全てブランディングできる。
音の影響力はとても強い。
音をちゃんとデザインすることによって企業のイメージが感じられる。
ユーザーのタッチポイントを考えると全てに音が関わってくる。
YouTubeや、携帯電話の音なども含む。
コストという面でみると、バラバラな音をあちこちで作っているのを、
あらかじめブランディング済の音で統一するとコストダウン。
企業のイメージに対して、音のサンプルを用意し、評価しながら、
企業ブランディングにあった音をユーザー評価しながら。
ロングタームの概念。何回も聴く音、飽きる音、
最初に聴く音と、継続的に聴く音とを考える。

●Jack Morton Worldwide in NY
http://www.jackmorton.com/

ダンスバンドのプロモーションを担当している会社。
エクスペリエンスを歌っている。プロモーションや、イベントを請け負う際にも、
どういい体験をさせるのか?その企業にあった体験をさせるのかがポイント

● Pratt Institute in NY
http://www.pratt.edu/

 Material Lab という素材のラボがある。あらゆる種類の皮、
 あらゆる種類のコルク(何百種類)
 椅子に張る専用の布地を世界中から集めたもの。
 素材感や質感をどう選択していくのか?
 一番いいものを考えていき、必要があれば、あらたに作る。
 Audiobrain も Platt で授業している。 

●Smart design in NY
http://www.smartdesignworldwide.com/work/project.php?id=102

OXO キッチンツールのプロダクトデザインを担当している会社。
認知的な要素をプロダクトデザインに取り入れていく。
注射針のデザインと、それだけでなく、箱/キットまでデザインする。



人間が観たり触ったりすることで、人間の感情になっていく。
どう人間の感情に届けるのかが、エクスペリエンスの一番のポイント。
人間というのは、まず感情で判断した上で、論理的に説明したがる。
人々の行動の本質は「People make decisions on emotion - then rationalize with intellect.」

●これからのユーザーエクスペリエンスのアプローチ、黒須正明(放送大学)

今日は私の考えを少しだけ入れながら、40分間、
HCIIの講習会の抜粋と追加したものをお話します。
やっぱり工学じゃなくて、理学だなと思った。
使う人の立場にたってしまう。UXのスタンスも変わってくるかもしれない。
インタラプトという学会がポルトガルであって、
UXの評価のワークショップがあり、23人参加者、
アカデミアの人ばかり。インダストリーの人が2人しかいない。
UXの評価はまだ研究対象なのか?
もっとインダストリーの人が多いのかと思ったのが、意外であった。
それがUXの状況を象徴している。
UXの評価はいいので、まずはUXで作ればいいんだという
乱暴なスタンスで実践がなされている。
それを優先したためにUXの定義が混乱しているのが現状。
悪いことではないなという気もしている。ただし話が通じない事象もあるけれど。

世界から30人集まった人で UXの定義をまとめた。UX白書というもの。
2011/2に英語版。
日本語訳を作っていて、改訂版がもうじき日本語版(公式版)を
リリースできるのではないかと思っている。

ユーザーの経験や主観的な側面
 Whiteside and Wixon (1987)
Carroll and Thomas (1998)
これまでの研究が「ユーザビリティに関する主観的判断に強い
 決定的要因となりうるものを無視することで、
 人々が新に利用したいとおもっているシステムを提供しそこねている」ことを指摘

みかけのユーザビリティ(apparent usability)
 (apparent usability) (Norman,D.A. (2005) "Emotional Design: Why We Love (or Hate) Everyday Things" Basic Books ISBN-10: 0465051367)

 見かけ上使いやすそうに見えるものは、本当に使いやすいものとは違う。
 アピール力があり、使いかってによるものだとしても、使いやすいとは限らない。
 使いやすいと思ってデザインしたものだとしても、使いやすいとは限らない。
 UXをデザインするとはおこがましい。わからないのが本質。
 UXのためにデザインするのが本当。
 見かけのユーザビリティが良いものは、すっきりしている、
 売る側にとっては都合が良い話。
 
Jordon P (2000)
 Maslowの欲求階層のモデルのアナロジーとして、
 機能性からユーザビリティ、そしてうれしさに至る
 機器やシステムに体する階層構造を提唱

Norman, D.A. (2004)
 エモーション・デザイン
 人間の特性の脳機能の面から
  自動的で生来的な本来 visceral レベル
  日常行動を制御する脳の機能による行動 behavior レベル
  脳の熟慮する部分による内省 reflective レベル
 デザインの区別
  本能的デザインは外観に関係する
  行動的デザインは使うこと

 身の丈以上のことをすると不安になるし、チャレンジが無いことをするとつまらない
 ユーザーにチャレンジ意識を持たせるように作り込む。ゲームのように。
 電子レンジがチャレンジしなければいけないものだと大変だが。

感性工学
 出発点としての長町 (1989)
 感性工学の手法

日本における感性工学
 直感的な想像と知的活動としての記述の相互作用を行う心のはたらき (原田 2002)
 KEER 2012 台湾 http://www.keer2010.eu/

感性とは? 人口物、モノに対する心の動き
感情とは? 人や生き物に対する心の動き

経験マーケティングのポイント
 コモディティ化しないよう、製造業は製品をサービスでくるんで提供しようとする
 経験とはサービスを思い出に残るものにする

UX
 UXの初出は70年代、ノーマンが普及させた。
 UX白書のある All About UXには27件の定義があり、テスト手法も8X件

ISO9241-210
所詮はユーザビリティに関する規格なのかもしれない(黒須)
製品やシステムやサービスを利用した時、
および/またはその利用を予測した時に生じる人々の知覚や反応のこと

ヨーロッパは概念にこだわる人がおおい。その上でのUX白書。

UXの時間的展開Virpi Roto (2007) のモデル
 予期的なUX
 インタラクションの中のUX
 全体的UX

大量のUXテストから、ユーザーがUXを評価するときに使う言葉80個ぐらいをチョイスして、
片側尺度で言葉のマッチングをチョイスしてもらう。
言葉に関係あるか無いかだけを評価する。
その中から順位付けして、3つピックアップして詳しく聞く。

ユーザビリティは目標指向的行動。
その行動に注目しすぎていた。目標が達成されれば満足だと思われていたが、
プロセスが重要だったり、ある状態に居続けるのが重要だったりする。