7/18/2012

[&] Stack Overflow - The Cultural Anthoropology of Stack Exchange



The Cultural Anthoropology of Stack Exchange
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Google チームに感謝します。
先ほど、同じ質問をしようとしていて、ジョークを言うタイミングを外してしまいました。
Stack Exchange のチーフof スタッフ、Alex Miller です。
最初の社員、Jarrod Dixon もいます。
冗談は文化や文脈に依存しますので、隣の人が笑っていたら、とりあえず笑ってください!

Stack Exchange はどれぐらいの規模なのでしょうか?
Stack Overflow だけで 2億5300万のページビューがありました。
2500万人のユニークユーザーが訪れました。
単なるアクセス解析ではなく、
実際に一人一人の人間として数えた時に、これだけの人数が訪れました。
これだけ人数が多いのですから、通常の人間同士のやり取りが
当てはまるわけではない。
むしろ、これだけの人数が居るのだから、人口でいうと「国」のレベルになる。
世界47番目に人口の多い国となり、米国テキサス州につぐ、第三位の州になる。
これだけの人数が居るので、文化人類学的な視点でとらえることができます。

文化人類学とは何か知っていますか?
正直私も最初は知りませんでした。
かなりの数の人間が、インタラクションして社会を形成することを研究するのが
文化人類学です。
文化人類学でいうと、サハラ砂漠の南部にいる部族を研究する。。と考えがちだが。
そういう研究をするわけではなく、教訓として学び、新しい社会を作るのに役立てている。
それを考えるためには、コンピュータが登場し始めた時代、
歴史を振り返って考える必要があります。

メインフレームです。使った事がある経験の有る人は居ますか?
当時はメインフレームは演算するためだけに使われていました。
当時は運が良ければ、結果が出てきました。二週間に1回の給与計算などに使われていました。
ソフトウェアデベロッパーといっても、その当時は単なる技術屋でしかありませんでした。
そして、もうすこし時代を進めてみますと、
コンピュータ的なものが登場し、一般の人が使うコンピュータが登場してきました。
そのスピードは非常にゆっくりでしたが、コミュニケーションも通信もできるものでした。
この当時の通信スピードは 300ボー でした。

そしてその時に大きく進歩したものに、スマート端末があります。
なぜスマート端末かというと、カーソルで操作でき、読むのも書くのも
ある程度のスピードで出来るようになったからです。
その頃、電子メールやユースネットでコミュニケーションできるようになったのです。
しかしそうはいっても色々な制約がありました。
制約があったゆえに、いろいろな側面もありました。
その中で大切な点は、クライアントサーバーモデルではなく、
情報をフォワードするタイプのものでした。
自分のところで書き込んだデータをローカルに保存しておかなければいけませんでした。
したがって、メッセージを受けていて、引用しようとすると、
メッセージを全部引用した上で返信しなければいけませんでした。
それを見て、やっと全体を把握することができました。
その当時からユースネットが使われるようになってきましたが。
ユースネットというのは非常にあら探しをするというか、非常に細かいところを
見て指摘するという文化でした。
なぜかというと、ユースネットはデベロッパーによってデザインされていて、"R" キーを押すと、
引用して返信するという仕組み、文化が形成されたわけです。
したがって前の人が何を引用したのか、というのを細かく見る文化になってしまった。
何度も「ナンセンスだ」としている文章を引用。
そういうわけで、あまり友好的な文化では無かったのです。
ひとつは、"R" によって文化が形成されていったのです。

建築家はこれらのことを良くわかって建築をしてきた。
例えば、公園の中でコンクリート製のテーブルと、椅子を用意すると、
必ず老人がやってきて、チェスし始めるようになる。
トレビの泉:観光客が多い。トレビの泉の後ろに大きな坂がある。
その坂を登るためには階段があるのだが、実際には、休憩する椅子として使われている。スペイン階段。
ニューヨークの再生を計画した時に、同じような階段を作りました。
しかし実際には階段が行き着く先は何も無い階段でした。
この中でもっともクレイジーな点として、目的は達成されたのです。

デベロッパーもそういう意思決定は無しに、ソフトウェアを作ることにかんしては、
何世代も同じように、開発をしてきたのです。
まず最初に話したいのは、Stackoverflow を作っていこうとした時に、
5つの大切な点を考えました。

1:第一印象が大切。
金融街のデモの写真:このグループの人たちは、どういう人たちかどうかがすぐに分かる。
サインを抱えていて、賛同する人は近づき、反対する人は離れていく。
風貌から、強力なメッセージを発している。誰もスーツを着ていない。
なぜかというとスーツを着ている人は決してデモにフィットしない。

Stackexchangeを始めた時に、ネット上の Q&A サイトはどうなっているのか調べてみました。
最初は Yahoo! Answers というサイトでした。「何聞いているの?」
質問形式ではあるが、さっぱり何のことだか分からない。
「車の一酸化炭素で死ぬ事ができるか?」「一番最近に食べたものは?」とか。
実は Q&Aサイトでは無い。
自分の宿題をやりたく無いティーンエイジャーの、女子生徒向けのチャットルームのようなもの。
ある意味、巨大なチャットルームなのです。

Answers.com というサイト。
「自分の知り合いを精神病院に送り込むためのアドバイスが得られる弁護士は?」など。
こんな質問というのは、答えること自体が難しいし、
サイトを熟知していたとしても、バラバラでわけのわからない質問ばかり。

askville (amazon)
「自分の人生で正しい選択をするには?(スペルミスあり)」
「この方程式の解き方に関しての質問」
このサイトの中で一番よく答えが書かれていたとしても、答えそのものが書かれていないものがある。
このサイトの文法、スペルミス、質問のクオリティを見ても、
サイト全体の品質がみてとれる。

Stackoverflow の場合はどうでしょう?
「マルチグリッド、細かいものの実装法」
その道の開発者であれば、何のことだか分かる。
その道の専門家では無い場合は、全くわからない。
私どもが資金を得ようとした時、
投資家がWebサイトを見た時に全く訳が分からない、恐ろしい。と言われた。
我々の回答としては、「それが正しいのです」。
そこがポイント。開発者でなければ、こういうサイトに属していないので、
このサイトから出て行く。
統計学の専門家であれば、理解できるし、参加できる質問があり、
専門家でなければサイトから出て行く。

カテゴリごとに絞った質問サイトはあるが。
askvill (amazon)では、
「こんにちは!私は20歳なんだけど、高校にはほとんど行かなかったので、
基礎の算数しかわからないんだけど。。。。」という質問。
「オンラインでアパートに済むための申請をしたいんだけど。。。」というスパムが残っている。
スパムが投稿されたのが13時間も前なのに、今も残っている。だれもそれを削除していない。
「第一人称」と非常に関係している。このサイトのことを誰も気にしていないと思ってしまう。

StackExchange の数学サイトを見てみましょう。
こちらの方は、数学の分野で、数学を専門としている人たちの議論の場となっています。
実は数学には二種類あって、簡単な数学と、研究用の数学サイトもあります。
大学の教授によって回答できるくらいの問題は簡単すぎて、研究用の数学サイトには投稿できません。

■2:投票
投票は重要な用途で、良いコンテンツを生み出すためにも投票は大切。
良い貢献をしてくれた人に対して評価を与える、認知する意味で、良い結果をもたらします。
もっとも最近のコンテンツではなくても、良い質問と回答には、良い点がついている。

例えば、ある掲示板で「携帯電話が壊れた」という書き込みがあると、
他の人々は、自分の携帯も壊れたことがあるとか、自分はどう直ったとか書き込む。
正しい回答が分かるまで、多くの書き込みがあり5ページくらい進まないと正解が無い。
質問した人自体も、最後まで見ているかどうかわからない。
果たして回答がでるまで全部見ているのか?
しかし、この投票というシステムを使うと、正しい答えが一番上に表示される。
質問に対する回答がすぐにわかる。途中に投稿している会話に関しては、省くことができる。
だからこそ、投票がある。

現実にはもう一つ要素があって、「評判」が重要。
Stackoverflow で時間をかけていろんなことをしているトップの人たちを紹介している。
どういったバッジを獲得したのか、その人たちの人となりも分かる。
面白いのはシリコンバレーの人はトップの中に1人しかいない。
フランスとかニュージャージーとか、いろんなところから来ている。
トップユーザーだけでなく、一人一人がポイントを獲得している。

サイトを使い続けると、自慢できるくらいポイントが溜まる。
人物カードが表示されるようになり、中身はユーザーが編集することができる。
403k の Jon Skeet が現状のトップで、それ以上のレベルはモデレーターしかいない。
これらのレベルの人たちは、Stackoverflow の社員と同じくらいのことができる。
第一印象のところでも話をしたが、
サイトで何を獲得してきたのかを見せびらかすことができる。

バッジの運用について。バッジとしてユーザーの行動を導いていこうという意味もあるが、
バッジによってユーザーが自慢できるようにするもの。
インターネット上でバーチャルなバッジをもらってどうするの?という話もあるが、
心理学上の鉄則を考えると、実際には有効に機能する。
他の人が自分をどうみているか?人間はとても気にするもの。
だれから靴をほめてくれたら、その靴を好んで履くようになる。
ほめてくれるのは、たった一人でも良い。
システム上、そのようなことをやっている。
良い行動を促進するために「Editor」というバッジがある。
犬のトレーニングと同じこと(笑

あるいはこういった情報を使って、職探しにも使えます。
Stackovewflow での CAREERS2.0 を見ると、評価やバッジを使って職探しができます。
こういった素晴らしいアイデアがあって、それらを使っているわけですが、
それらを統制していく仕組みが必要になってきます。
そういった力を持った「モデレータ」がいます。
そのモデレータをきちんとトレーニングしなければいけません。
従ってシステムとして、使えば使うほど、いろんなことを学んでいく。
学んで行く過程で、モデレータが力を持っていくことができます。
評価が高くなればなるほど、サイトで出来る事が多くなってきます。
大切なことは、評価が高いほど、優秀なデベロッパーであるとともに、
サイト良い行動をしていることになる。
2万ポイントぐらいで、ありとあらゆることができるようになる。
コミュニケーションも重要。
サイトの中で通常の質問と回答の邪魔になってはいけない。
ほとんどの人は、回答が欲しいから書いている。

meta stackoverflow は 7% くらいの人が使っている。
これは stackoverflow はオペレーション、政府の役目を果たすのが meta stackoverflow.
これは長期間ディスカッションするもの。
短期間で話し合う場合にはどうしているのか? その場合はチャットしている。
チャットは meta よりも、人数が少ない人々で運営されている。
今、その時に、サイトをどのように運営していくのか話し合っている。
モデレータ専用のラウンジなど。
今のサイトが直面している課題などを話し合っている。
そういった政府的な機能、インフラは素晴らしい。

そしてstackoverflow のブログもある。
コミュニティーに対して情報を発信し、構造を維持していくためのブログ。
社会が通常に機能するためには、法律を制定する。ルールを作ること。

最後に:
フリーTシャツを差し上げます!
「We hate Fun! 楽しみなんか大嫌いだ!」がモットーです。
大切なコンセプトです。
楽しむためではなく、人を助けるため、困難に回答が欲しいからやってきている。
楽しみというよりも、いろんな事柄から、離れて、回答をきちっと見せることが重要。
何を質問しても良いけれど、何を質問してはいけないというルールは無い。
プログラミングに対して、本当の質問で、事実としての答えでなければいけない。
そして、その質問として良く無いものに対しては、その質問をクローズしてしまう対策をしている。
これも質問自体がクローズになってしまっても、クローズになる理由も正しく示している。
ただ、質問をクローズすることにとって大切なには、質問そのものを削除してしまうことではない。
スパムであれば削除するが、
ルールに従わない質問は削除するのではなく、クローズにする。サイト上には残る。
皆がこういう質問をしてはいけないという悪い例として残しておく。

かなり古い喩えですが、
海賊を見せしめに公開処刑するのと同じようなこと。

クローズの理由。
1 全くのコピー。すでに誰かが質問して答えているもの。
だぶってしまうような質問をしないように。
答えがでているのに、再び答えるような不必要なことをしなくても良い。

2 カテゴリーが全く違う場合。プログラミングの問題でない投稿など。
これが「第一印象」と深くかかわっている。
プログラミングに関して答えを見つけることが目的なのだから。
(その後、workplace に関する専用の質問投稿サイトも作りました)

3 建設的ではないという意味でクローズされまる。
「Webフォームと、MVC開発者とどちらが良いか?」という不毛な議論のための議論
本当の目的のためには邪魔になってしまうもの。
事実、専門性を生み出すための回答を期待している。
意見、議論、論損、永遠と続くディスカッションを引き起こすものでしかない。

4 本当の質問ではない質問「いままで作られたことのないような素晴らしい携帯アプリのアイデア」
これに対して素晴らしいアイデアがあったとしても無料で書き込む人が居るでしょうか?
この質問は曖昧であるし、不完全であるし、定義が不明確。
合理的に回答することができない。
質問としては、聞きたいから質問しているわけではない。本当の質問ではない。
議論を投げ込みたいから、書いている質問でしかない。
質問が1行しかないのに、回答で本ができてしまうようなものは良くない。

5 ローカライゼーション(局所的な質問)がひどいもの
ソースコードの間違いを見つけさせる質問とか。
ある特定の人にしか役立たないもの。

質問しているひとその人自身のことは気にしていない。
1人の質問に対して、3人が回答。10人が投票する。
しかし、毎月50人くらいの人が検索によって導かれ、
質問と回答を見続けることになる。
すなわち、他の人に役立たないものに対してわざわざ回答する必要は無い。

韓国のソウルの写真:
なぜこの写真かというと、ソウルは 2500万人。StackOverflow と同じ人数。
2500万人のコミュニティにおいて、どういった複雑なことがあるのか?
そして人種も、政治的、宗教も含めいろいろなバックグラウンドの人が居る。
したがって、文化人類学的な手法を使って
ソフトウェアデベロッパが、社会を作り出す、形成していくことを考えて
Stackoverflow は出来ているのです。