1/28/2012

[&] Android Usability Seminar 2012 - Toshiyuki Masui

Android Usability Seminar 2012 - Toshiyuki Masui

増井俊之氏
スマートフォン向けアプリの最新事例から、
使いやすいユーザインタフェースを分析すると共に、
スマートフォンがひらく新しいインタフェースの可能性について解説する。


ビューティフルビジュアライゼーション


masui@pitecan.com
http://pitecan.com/

UIの話をしていこうとおもいます。
pitecan 変な名前ですが....

シャープ、ソニーCSL, 産総研、Apple,
携帯電話の予測変換が良く知られている。
予測入力システム、ケータイでよく使われている。
昔は画面が狭くてあまり表示できなかったが、
2006年突然 Apple に呼ばれて、急に Apple で仕事することになった。

iPhone 入力
「フリック」入力。
研究的には Tキューブ, パイメニュー(方向で選べるもの)
これを日本語入力に応用したもの。

雑誌/ブログ記事。連載。
各種著作。最近では Beautiful Visualization の監訳。

研究テーマ
 情報視覚化
 情報検索
 例示/予測インタフェース
 テキスト入力システム
 ユビキタスコンピューティング
 認証

Android の開発
入力システムのデザイン
実世界GUI

●Android の特徴
 センサが豊富
 NFC, 傾き、回転、気圧
 「サービス」によるバックグランド処理
  入力システムなど
 「インテント」によるアプリ起動/連携
 起動が簡単な「ウィジェット」

●Javaベースの開発
 サーバー上でコンパイル可能
 (携帯電話ごとに違うバージョンを自動生成するような用途)
 豊富なライブラリ
オープンなマーケット
 すぐに公開できる
配布制限なし
 誰にでもアプリを送れる
 社内の秘密アプリOK
自前ハードウェア接続可能

●特徴
 いろいろ実験ができて楽しい 
 様々な製品があって面白い
  安価なものも多い
 組み込みからWebまで何でも
  センサとしてぶら下げておくことも可能
  とつぜんセンサが欲しい時とか。何もハードを作らなくても良い。
  在庫管理に使うなど。ビールが無くなったらAndroidのセンサーが反応するとか。

●iPhoneの場合
 Macのみで開発
 Objective-Cのみ
 Widgetが使えない
 バックグラウンド処理ができない
 センサが少ない
 入力システムを自分で作れない(Appleの外には、まだ複雑すぎて公開できないから)
 すぐにマーケットに出せない
 社内用アプリを作れない

●HTMLによる開発
 5分で作るAndroidアプリケーション。実際は7分かかってしまった。

DroidGap を使うと、Androidのアプリケーションができる。

ブラウザの上でJavaScript利用
センサも利用可能
新しいWeb技術を利用可能
jQuery
WebGL

●問題点
 バージョンがたくさんある
 機種によって動いたり動かなかったりする
 エミューレータが遅い
 実機開発が必須

●入力システムのデザイン
 入力システムの開発は大変?
 最近は簡単
 MacのIMKit
 Androidの入力ライブラリ

●Gyaim - Macの日本語入力
 Rubyで500行ぐらい
 簡単にできる
 https://github.com/masui/Gyaim
 バインディングがあるので、Macのアプリは全てRubyで書ける。

●Androidの日本語入力システム
 作成が簡単なのでたくさんある。
 simeji, ATOK, Google日本語入力
 変な入力もある。

●入力システムの難しいところ
 真面目な仮名漢字変換
 トータルデザイン

●連文節変換の問題点
 正確な入力が必要
 間違いがゆるされない
 正確に打てない人には使えない

 読みが長くても全部入力が必要
 高速に正確に入力できる環境や人は稀 

 本質的に誤り訂正が必要
 「きょうはいしゃにいった」歯医者?医者?
 訂正用のよけいなキー操作
  文節選択など
 単語登録などカスタマイズが面倒

●問題点のまとめ
 間違いが許されない
 必要な操作が多い
 訂正が必須
 カスタマイズが難しい
  →良い点がほとんど存在しない

連文節変換は、誰かにだまされてたんじゃないか?

●解決方法
 キーの数を最小化
 キー操作数を最小化
 
●具体的方法
 短い文節で確定
 単純な変換アルゴリズム
 単純な辞書
 曖昧指定
 資源をすべてネット上に置く

●インラインにこだわらない
 アプリやOSとなるべく独立させる
よけいな機能は容易しない
 かな入力、記号入力、全角変換などは無視
熟練を要求しない

●ネット資源や実世界情報を活用
 辞書をネット上に置く
 変換システムもネット上に置く
 ネット上の情報の辞書として使う

●iPhoneのフリック入力。
 覚えるのがたいへん。なぜ「う」が上?
 テンキーの黒歴史
 慣れれば高速? 早さなら2ストローク漢字入力の方が早い。

●テンキー配列
 日本語入力に最適ではない
 日本語向きの配列が必要
あいうえおは同等であるべき
 ×マルチタッチ
 ×「あ」だけ特殊あつかい
  方向の記憶が必要

●I/F 開発のタブー
 素人の意見を聞く
  一般ユーザーの意見は信用できない
 多くの意見を聞く
  個人の要求はきりがない
 古いものを無意味に模倣
  文句は言われないが良くもならない
  (慣れているから良いように思えるが、それ以上に良くならない)

●正しいデザイン
 有能な人間が少人数でデザイン
 シンプルを追求
 捨てる勇気
  古いものを捨てる
  無駄な仕様を捨てる
 ユニバーサルなデザイン
 素人の感想は聞くが意見は採用しない

●初代 iMac
フロッピーを捨てた
本当に将来良いものを選択
シンプルに美しく

●GUIの進化
 スクロールバーは全然進化していない
 それ以上のことを誰も思いつかない
 新しいものが受け入れられない
  
●iPhone の例
 謎のキーがたくさん。
  →は何?
  次候補と→との違いは?
  最初の4つと、→との違いは?

 なぜかガラケー似
 タッチパネル用になっていない
 謎の候補選択画面

●Android まで真似している。
 さらに良くわからなくなっている
 真似しなくてもいいのに.....

●美しいデザイン
シンプル
可逆的(戻ることができる)
混乱しない操作
旧手法からの連続性
大胆な新手法
 まだこれから考えていく。

●50音入力
 アホなものを実験してます。
 これくらい大胆なものを提案してほしい
 非常にけしからん。

●Slime - Slick & Slim IME
 アイコンデザインする力が無いので「らき☆すた」みたいなアイコンになっていますが
 両手で持っていると、子音を早く入れられる。
 ネットの資源を使っている。
 出にくそうな単語 例「らきす」など。辞書に無かったらググる。
 「例:おっとが」
 ネットを使えば固有名詞を辞書に入れておかなくても良い。
 放っておくともとに戻るので、モード変換しなくても良い
 →が一個しかない。悩まないようにかんがえている。

シンプルなものを目指している。
キー数が少ない

●T9 方式
NEC携帯電話に搭載
子音だけ利用
実際使ってみると悪く無いが流行っていない
単漢字変換に弱い

●Slime の使い勝手
「あいうえおの並びが簡単」
http://gyazz.com/SlimeDict
プリミティブなことしかしていないが、理解しやすい
Web上で共有
誰でも簡単に変更できる

●Gyaim
Mac入力システム、同じ辞書を使っている

●今後
 シンプル
 ユニバーサル
 どこでも同じ変換
  変換手法
  辞書
 他人と共有

辞書の共有は流行らないかもしれないが、できてしかるべき

●正しいIFデザイン手法
 有能な人間が少人数でデザイン
 シンプルを追求
 捨てる勇気
 ユニバーサルなデザイン
 素人の感想は聞くが意見は聞かない

●Android と実世界GUI
NHKホワイトボックスでの紹介
 「お姉さんに受けが良かったので、気を良くしている」

ユビキタス
ウェアラブル
インビジブル

●そもそもやりたいこと
 どこでも映画
  居間/風呂/台所
 台所でWeb
 自動的に在庫管理

●自動ドア
 誰でも使える
 一度使うと使い方を忘れない

●Suica
 そもそもの目的はどこかに行くこと
 切符を買うことは手段にすぎない
 犬でも使える

●リモコン
 「リモート」に機器を「コントロール」
 = 機械中心主義的
本当にやりたいことを直接指定できるばき
 ×DVDをプロジェクタに接続
 ○映画を見る

●直感的なCDプレーヤ
「奥だけ主義」による情報家電制御
 CDを置くと使える。
 酔っぱらっていても使えたから確かなはず。

●直感的なデータ転送
 CDをさすとコピーされて別のCDが焼かれる

●グラフィカルインタフェースGUI操作を実世界で実行
 ボタン、メニュー、スライダ、ドラッグ/ドロップ を壁や机の上で
 Field Mouse, Mouse Field を使用

●Field Mouse
バーコードリーダーにマウスをつけたもの

●Mouse Field
マウスをひっくり返したもの。
RFIDリーダと動き検出装置を一体化。
「置いて動かす」だけで情報検索/制御

●書斎のMouseField

●テーブル型 Mouse Field

●Goldfish
Android 用実世界GUIフレームワーク
NFCを読む →ブラウザが開く →JSが走る →センサ利用
動作をJavaScriptのみで記述
 プログラムはWeb上
 簡単に修正可能

●Goldfish のアーキテクチャ
NFCインテントによる自動起動
マニュアルの表示例
NFCタグでボリュームみたいなもの。

●ドアが開く仕組み。
 フィジェッツを使っている。

●実世界コピペ

●Golsfish 応用例
 汎用に利用可能
 家電の制御
  机の上から音量調節
  Wifi or 赤外線
 家電のコントロールパネル
 ドア認証
 文書の上に置いて文書編集
 柵に置いてフォトフレーム
 棚に置いて時計
 どこでも掲示板
 サイネージ連携

●まとめ
 大胆でシンプルな新しいIFが欲しい
 Android はそれを可能にしてくれる
 NFCつきケータイで実世界GUIしましょう

Q. 実世界GUI では、CDと音楽が結びついているから?
 モノ自体のメンタルモデルがずれてきた時にどうなる?
A. 使う人がなんにでも使うことができる。
 アイコンがあったら、クリックするものだという思い込みがある。
 これからなんとなく決まってくる、収斂くると思われる。
 誰かが実装してそれがデファクトになってくるだろう。

Q. 大胆で新しいUIを考えた時、その操作をどうやってユーザに知らせるのか?
A. 私も最初に iPHone 使った時はピンチのことがわからなかったが、
 一度使うを覚えてしまう。これを
 イデオムと言って、イデオムがうまくできていれば、流行る要素になってくる。

Q. インタフェースを考える時にシンプルにした方が良い。どこまでシンプルにするか?
A. 新発明すると、いらなくなるものが色々ある。
 GUI はいろんなことがある。フォルダとかメニューとか、スクロールとか、
 それらは切り捨てる候補かもしれない。
 選ぶのに、いろいろな方法がある。
 こういうものだと思っていると、つい勉強してしまう。
 そもそも何をしたいのか? と考えていく。
 やりたいことはそもそも昔から変わっていない。