1/28/2012

[&] Android Usability Seminar 2012 - Shunji Yamanaka

Android Usability Seminar 2012 - Shunji Yamanaka
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デザインの骨格


山中俊治氏
iPhoneをはじめアップルの製品はなぜ使いやすいのか?
実際のユーザビリティ試験などを通じて、
使いやすさの本質を読み解く。

前回もいらした方はいらっしゃいますか?若干話がかぶっているところはご容赦ください。
今日はアップルの話を来てくれとして来たのですが、
もともとハードウェアエンジニアで、ソフトウェアに関してはこのあとの増井先生が専門。
アップルのハードウェアが専門になるかもしれませんが、
アップルの仕事と自分の仕事を対比して未来を紹介できればと。
最初にざっと。
インタビュー記事に答えたら「Appleのやり方はもう古い」と雑誌記事になった。
アップルのやり方は最先端だが、「Nextは違う」と言ったのだが、大胆な記事になった。

Shunji Yamanaka Works
漫画が出てきたのですが、東京大学の工学部を出ているのですが、
卒業に6年かかっていて、途中2年間ぐらい漫画ばかり書いていた時期があります。
AXISとう雑誌のために書いたもので、漫画がきっかけで工学デザイナーになりました。
工学と漫画の両方が生かせる仕事が無いかと探していて、
日産のデザインセンターに雇ってもらうところからキャリアがはじまります。

インフィニティという車のデザインから。
フリーランスになってからはカメラをデザインしたり、
ちょっと危うくなっているオリンパスのカメラとか、
鉄道車両とか、腕時計とか、ウィルコムの携帯電話とか。
家具、オフィスチェア、携帯電話のコンセプトモデル。

自分自身でも人間とマシンとの関わりで
提案的なモノ作りをやっていて、
両手親指で打てるキーボード。
友人に車いすで小児まひの後遺症で親指しか使えない
劇作家のためにデザインした。世界に20台しかない。
NY近代美術館のパーマネントコレクションとして収蔵されている。
未来の車のプロトタイプとか、研究者と一緒に色々なものを作っている。

未来の車のための実験車両。
小さいプロトタイプ。ケープタタウンでデモンストレーションした時の映像。

こんな時、製品をデザインしながら、
役に立つことが当たり前だと思っているが、
ソフトウェアも、使えるようにすると苦労している。
デザイナーはアーティストと思われているが、
実際は役に立つために地道にやらなければいけないことが
いろいろある。
サイエンティフィックに探る、
気持ちよかったり使いやすかったりすることとバランスをとる。

自動改札機のデザインの話をしたい。
Suica 自動改札機アンテナ面の最適化。
自分がはじめてやったユーザビリティテスト。
ヤコブニールセンがユーザビリテイエンジニアリングという本を買って、
それまでユーザビリティテストは一般化されていなかった。
このテストは 1995年ころ、
たまたま ヤコブニールセンのもとで学んでいた知人がいて、
それを聞きながら、ユーザビリティテストを実施した。

Suica改札機、ちょっとだけあてがう面が傾いていて、
これは長い実験のものに作られたもの。
プロトタイプは技術的にはほぼ同じものだったが、
全然うまくいかなかった。

カードを当ててから少しだけタイムラグがあることを認識しているが、
当時はなかなか慣れていなくて、カードを正しくあててもらえなかった。
アンテナをへこませてみると当ててもらえるのではないか?
いまはあたりまえに使ってもらえている。
その人は、光っている部分に当てたり、スキャンさせたり、
そもそも「ピッ」とあてるという作法を分かってもらえない。
歩行速度で通過してしまう人とか。
読み取りに0.2秒とかかるのだが。
定期券だと人が見てくれるので、見てくれるのではないかと勘違いする。

今は法律の関係で電波を非常に狭い範囲に閉じ込める
ことしかできない、15cm くらいでしか通信できない。
そのためポケットから出さなければいけないが、
将来はポケットに入れたままで使えるようになる。

技術の完成を待たないで、投入したい時もある。
人々に新しい作法を教えないといけない。
その作法が伝わらないのでいろいろなことが起きる。

この被験者達、ユーザビリティーテストは
5種類くらいのいろんな形をしたマシンに対して、
使ってみてもらっている。
そんなにたくさんの人数をやっていない。
年齢幅を広げて5人ずつ。25人くらい。
どの順番でマシンに接するのか、順番を決めた。
だんだん慣れていくのを検証した。
全く初めて使う人も20人くらい。
マネジメントして、一人一人設定して実験していった。
どのマシンに対しても変なところのかざす人もいた。

ちょっと傾けると良いことがわかった。
少し手前から準備する効果。
あてがいやすい方向(斜め)に傾けると、
あてがいやすくなるが、一瞬留めてくれなくて、エラーが多い。

新しいテクノロジーに対して人がすることは
「え!??」となることが多い。
そのためにユーザビリティテストが必要になる。

1997年1月にテストを何回かやったのをもとに、
試作機を作った。
光に誘われる、手前に傾いているとよい。
「触れてください」>「タッチアンドゴー」キャペーンになった。
そうすると、通れない人が 100人に1人になった。
こんなに劇的に良くなるとは想像していなかった。

最初はエライ仕事をうけてしまった。
この実験に勝算は無かった。
ユーザビリティテストをやりたくなかった。
企画書を無責任に出しただけたったが、
やるはめになった。
やってみると劇的に効果があった。
僕自身がユーザビリティテストの大切さを知った実験だった。
Suica が出回っていて、全国の全部 13.5度に傾いている。
角度を全部試したわけではない。
バッグがぶつからない。
アンテナのサイズから、ぎりぎり傾けてみたり。
いろいろな状況から 13.5度に決まっていて、
これがベストではないかもしれない。
ただし、全国共通であることが重要。

場所によってインタフェースが違うと戸惑う。
それがうまくいって、全国同じ形になっている。
デザイナーという仕事で、これがデザインにあたるのか
関係ない。
大阪の改札機がかっこいいかどうかには関係ない。
インターフェースの原型、
人が機械に接するオリジンはデザインした。
気持ちよくするデザインもあったが、
結果的に、僕がデザインしたもので、もっともユーザーが多いものになった。

■お財布ケータイ
お財布ケータイをドコモさんとやった時の話。
プロトタイプを作りました。
動線が通っているのは、手作りのアンテナです。
携帯電話の両側のどっち側にもアンテナがついていて、
携帯電話のフリをする試作機。
画面はパソコンからの画面を受ける。
その試作機で実験した。
あくまでもプロトタイプ。
その実験機を使って、いろんな向きでかざしてもらって、
結局 Suica が張り付いているのと同じ使い方。
モニタリングするべきではないか?とか、
ONにするボタンをつけるべきではないか?とか
いろいろ試した。

リーダーライターを作ったが、
何をやってもうまく行かない。
リーダーライター側の反応が重要であった。
うまく読み取れたことを携帯電話側でやるのは良くないことがわかった。
読む側のデザインが重要であることがわかった。
最初DOCOMO IDのリーダーをデザインした。
大切だったのは、音。決済音。
音楽家の方と実験しながら作っていった。
音は苦労して作った。
最初は「ビー」という音で、誰もビックリして使わなかった。
音も一緒にデザインした事例。

■キッチンツールの開発
OXOオクソという会社はアメリカの会社で、
とても握りやすいハンドルで世界中で高く評価されている会社。
2005年当時は、日本ではいまひとつ成功していなかった。
理由の一つは、日本と米国ではユーザーの使い方が全く違う。
例えばレードルの使い方が違う。
アメリカ人にとっては衝撃の持ち方。
ディズニー映画で鍋を混ぜるシーンを思い浮かべて欲しい。
たいていテニスラケットのように握っている。
日本のような繊細な握り方をしない。
テニスグリップのように握りやすいものを
キッチンツールに使っていた。

ユーザビリティはローカリテイも重要。
ごついことは分かっていた。
新しいブリップを提案した。

トング。5−6年前まではあまり日本には普及していなかった。
日本ではトングをピンセット持ちをする。
米国のトングはチキン一匹を持ち上げられるぐらいに作られている。
持ち方から、トングを考えた。
プレシジョントング。
とても繊細につかむことができるピンセットのようなトングを作った。

大根おろしをデザインしてくれないか?と言われた。
アメリカで大根おろしは食べないのに?
OXOはジャガイモのピーラーで成功した会社。
どこにでもある道具で、いまいち決めてになるものでなくて、
各家庭に何個もあるようなものは何か?と考えて。

各家庭、2個とか3個とかある、
どれもいまいち気に入っていない。
大根おろしを丁寧に調べるところから始めた。
大根おろしの歯並びを調査した。
一つ発見したのは、
大根おろしをおろそうとすると、同じ向きにしか動かなくなって、
無理するとうまくいかない。たいていの大根おろしに起こるが、
職人の手作りの大根おろしにはそれが起きない。

ランダムが重要。機械で作ったものは、一定で、
車の轍のように、溝が出来てしまう。
これが昔ながらの職人が作ったものは、
一定ピッチで作ろうとするが、自然にランダムネスが発生するので、
いつも削りやすい感覚が保たれる。

CAD/CAM でランダムネスを再現した。
すっごいいろんなことをやりました。
発見したのは、とってがついているものは
たくさんあるが、実際にはとってを使っていない。
歯の近辺で押さえないと意味がない。
歯を意図的にランダムに配置している。
しらみつぶしの実験をやって確認した。
しらみつぶしのテストをやらざるを得ない。

ゴムのスロープを作って、そこに手をかけて
押さえるようにした。
注ぎぐちも丁寧に実験して最適な形、アングルが存在した。
収納性を考えて、立てるような工夫をしたり。
Gマークの金賞を得た。
3000円もするものだったが、ヒット商品になった。

これらのいくつかのユーザビリティテストをやってきて、
ソフトウェアにも共通するのではないか?’

ユーザビリティテストの肝
 開発の初期に行う
 少ない人数でも良い
 かようてき的(変更し続ける)なプロトタイプ
 周到に計画する
 予想外大歓迎
 クライアントを巻き込む。

開発のアイデアを固めるために、考えるためにテストを行う。
案外少ない人数でも良い。
ヤコブニールセンのグラフ。発見する項目数と、
人数のグラフを比べる。
5人もやるとたいていの問題は見つかる。
時間の無いなかでユーザービリティテストをやるとなると、
何十人かやっていないと報告書にならないと思えるが、
意外に少ない人数でも良い。
プロトタイプを作ることの方が重要。
刻々と変化させられることの方が重要。
ユーザビリティはへとへとになる。周到に準備して、
ユーザーに気持ちよく実験してもらう環境を作る。

ネゴシエーションに時間がかかる。
自分の経験に基づいて、空想しながら、机の上で意見を言い合う。
これはまとまらない。
思い描いている状況が違う。
その状態でユーザビリティを議論しても意味が無い。
同じ実験をみんなで見ることが共有することが重要。
それがあると非常に短期間で決断できる。
キーマンにはユーザビリティテストを見てもらうのが重要。

●Appleに学ぶべきいくつかのこと。
どうしてこうなんだろうと思うことがいっぱいあって。
新しい製品が出るたびにばらして研究している。
MacBook を分解して確かめた。

裏が奇麗なパソコンはなかなか無い。
プロダクトデザイナーがどういうこと?と思うのは
「ねじ」
ねじが刺さっているだけなのだが、面に垂直に刺さっている。
たいていネジは垂直に立っているのが普通なのだが。
プロダクトデザイナーはギョッとする。
わざわざねじ穴が斜めに切ってある。
そうすると専用のロボットが必要になる。

単純なキーボードだが、
一般的にはキーとキー間が隙間無く並んでいるが、
穴があって一個一個のキーをはめている。

非常にソリッドな固まりとしてコンピュータを作ろうとしている、
どうやってあわせて組み立てたのか分からないようにしている。
全体を一個のアルミの固まりとして作っている。

●iPhone 3GS 美しい背面カーブになっている。
金型で成形して、作る関係で、
クルッと丸まっている。
プラスチックの製品は良くみると細い線がわかる。
型を割るため。
なんでこんな奇麗なカーブになるんだろうと思った。
ケースの裏を見ると、跡から削った跡がわかる。
一般的な工業製品ではやらない。
Appleの製品は、削ってある。

このことをブログで書いてみた。
何のために削っているのか?
プラスチックは凹凸がある状態で成形すると、歪む。
表側をツルツルにするために、これだけの手間をかけている。
コスト感覚から言うと信じられないこと。

●iPhone 4
ガラスのフチが、ガラスしか無いように見えるが
0.3mm のプラスチックで囲まれている。
フレームも、信じがたい精度で作ってある。

●iPod nano
ガラスの画面があって、フチがあるが、
どうやって作っているのか?
アルミの固まりで、部品が外に向かって出ている。
ドリルで固まりから作っていることはわかった。
穴の加工はどうやって?
アンダーカット用の専用のドリルを使っている。
従来は考えられなかった。
こんなコストをかけてなぜ作れるのか?
いままでの工業製品は型に流し込むのが普通だったが、
中国にコンピュータ制御の加工機が何千台もあって、
加工している。
恐るべき生産システムを作ったといえる。

●Apple Remote
どうやって作ったのか謎だった。
アンダーカットできるマシンを使って、
穴をあけて、奥に向かって、掘り進めている。
その隙間に基板を押し込んでいる。

「無垢」な固まりとしてのハードウェア
  塗装しない
  ドラフト角なし(型から抜くためには台形に作らないといけない)
  バーティングライン最小
  局面に沿ったネジ頭
  NC切削加工による量産

徹底した考え方
ハードウェアをシンプルな物体にしたい。
シンプルな固まりにしたい。
ソフトウェアをそれに入れて、
十戒のように、ソリッドな素材に映像が浮かび上がるのが理想。

●iPhone Baby
一才半の子供が完璧に iPhone を使いこなしている様子。
言葉もしゃべれない、文字も読めない子供。
有名な映像に、雑誌の紙面をピンチして操作できないのを不思議がっている映像がある。

●赤子が使えるための条件
 レイテンシがない(一瞬反応が遅れることがない。子供は待たない)
 最小のハードウェアボタン(ハードウェアに記号が書いてあっても理解できない)
 恣意的な意味付けがない(記号があったり文字があったりするのは使えない)
  iPhone を押し続けるとアプリが消せるモードになって、
  喜んで決していく状況に。
 失敗しても致命的にならない

●アップルの製品思想
 「無垢」の固まりとしてのハードウェア
 こどもにもわかるインタフェース
 その上に展開される自由な著作物

これらが Android マシンでは容易ではない。
ハードからソフトまで一貫して開発していないと難しい。

僕は Android の設計にもデザインにも関わったことが無いが。
役に立つかわかりませえんが、こんなことを話てみました。。

●Next Step : 生き物らしさのデザイン。
モノと我々が接する中で、
動くものを見つけて、そちらを見るだけのロボットを作った。
知的なイリュージョンを感じる。
我々は生き物にとても敏感。
われわれの身の回りにインテリジェントなものに、
生き物には、敏感に反応する。
画面にキャラクタを登場させても良くない。
フィジカルなフェースで初めているものなので、
ソフトウェアではどう解釈するのかはおまかせする。

反射動作にだけ反応するロボット。
触ると反応するだけ。
ボタンを押しただけなら点灯するだけなら、
反応しないが、ゆっくり動いているものに触れた瞬間に
高速で反応するだけで皆が喜んで触る。
それが生き物に見えてくる。
こういうことがとても大事。

これも別なロボット。
ある種のインタフェース。
役に立つものにはなっていない。
役に立っていないけど、生き物を感じさせるもの。
柔らかい素材を使っていないのだが。
お互いに衝突しないように作ってある。
衝突しようとすると単に止まるのではな、避けよう動くように作っている。
センサーが有るかのごとく動いているように見えてくる。
生き物感が自然に出てしまうロボット。

これらのものを何をやっているのか?
●生き物らしさのデザイン
 自律的な人工物に囲まれる未来への布石
 生命観の抽象化
 人は生きているかどうかに敏感である。
 コマンドによらないコミュニケーション

アイコンの動きなど、
インタフェースの重要な要素に生かしていける。

「デザインの骨格」
http://www.lleedd.com/
http://yam.sfc.keio.ac.jp/
@Yam_eye

Q.子供がつかるようになると、ユーザーは考えなくなってくるが?
簡単に使えてしまうので?

A. お箸は簡単に使える、簡単に使えるから食事のことを考えられる。
開発者がもっと一緒に遊べる道具だと考えることもあるし、
コンピュータのこと自身を考えなくても良いと考えていく。

Q. Apple 製品を分解していたのが印象に残っていたのが、他にも分解したものは?
A. それぞれに工夫はあるが、Appleほど感銘を受けることはない。
 特にカメラには感銘を受ける。一方でデザインのために無理をしている製品はApple意外には無い。
 B&Oなど無理してデザインしている製品はあったが、最近は無い。
 Appleだけがなんで可能なのか、気になるところもあるが、
 Appleはソフトウェアに頼っているのか、メカニカルデザインは
 ソフトウェアを実現するためにだけしか使っていない。

Q. Macのコンセプトモデルを作った時の思い。
A. 90年代にAppleと仕事をしたことがあって、Jobsが帰ってくる直前。
MacOS のアピアランスマネージャを作っていて、
実は大胆に変える計画があって、リリース計画があったが。。。
アメリカ2チーム、日本1チームからの提案があった。
とだツトム、宮崎みつひろ、多摩美のすながさん、5人で議論しながら作った画面。
採用が決まっていた。Jobsもカンファレンスで発表していたことがあったが、
Drawing Board 手書き風の画面。
 http://lleedd.com/blog/2009/06/14/drawingboard/

あらゆるパーツが手で書いた風で、スケッチが画面で動いているように
βバージョンが出回っていて、使ったことがある人があるかもしれない。
それを作った時に感銘を受けた。
何に感銘を受けたかというと、一つ一つの部品を全部作ったが、
そのテンプレートの見事さに感動した。
Appleから、パーツを埋める画像ファイルのテンプレートがあった、
どういうことに使われ、どういう風に表示されるのか、
そのツールに感動した。
アップルの伝統、彼ら自身が開発環境を作ることを喜んでいる。
市販のソフトウエアが可変されて、アップルの使いやすいツールになっているものを使う。
今は iOS の開発環境を知っているが、
開発環境を気持ちのよいものを作るというのがその時から分かっていた。

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