6/14/2014

[&] frog design / HARTMUT ESSLINGER



frog design / HARTMUT ESSLINGER
イノベーションを越えるデザインとは
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こんにちは。
前回東京にきたのが4年前なので、そう変わっていませんね。



●GROWING UP
本題にはいります前に、どこで生まれてどこで育ったのかお伝えします。
ごく普通の人間です。

もともとは、ドイツの BEUREN の出身で、子供の頃は 7軒ぐらいしか家がありませんでした。
1944年、ちょうど戦争中で、爆撃を避けて来たのがこのような街でした。
テクノロジーが全くないところで子供時代遊んでいました。
ただ、ごく近所に、大工さんがありました。
ところが、チビの私が、作業場に入り込みまして、いろんなもので、
遊んで、いろいろなものをいじって、大迷惑をかけました。
ついに、隅っこに、私専用のテーブルを用意してもらって、そこで遊ぶようになりました。
私の人生はそこで始まったといっても過言はありません。

10歳から、学校に進学することになりました。
ALTENSTEIG の中等学校に進学し、歴史のある街で、
学校の先生は、私を全うな人間にしようとしたわけです。

当時、正直あまり学校では創造的な生徒は歓迎されませんでした。
学校の中で、3-4人、創造性を愛する先生は居たのですが、
どうにかして、こいつをまっとうな人間にしようと考えました。
そのような環境で私を救ったのは音楽(ロックンロール)でした。

皆さんもひょっとしたら、お子さんがいらっしゃる人もいるかもしれませんが、
ある意味音楽は、親や、先生にコントロールされないものというきっかけになるんだと思います。
音楽の先生からは、創造性をおおいに発揮すること、決して諦めないことを教わりました。
今、だいたい 55年ぐらい、その時代にはロックはちょっと今までの音楽とは違って、
反抗的で、音が大きかったり、いわゆる周りが予期していないような、
先生達が期待していないようなことをやる!という意味合いもありました。
だからちょっとクレイジーなことをやってやろうといういい時代でした。

昨年一番下の娘を連れて、ドイツにいったのですが、
「パパの時代はロックをやっているくらいでクレイジーで良かったわね。
今は、皆がそれくらいは普通にやっているのだから」と言われました。

その後、軍隊に入り、エンジニアの勉強し、大学に入りました。
大学の教授から
「君はたいへん良い図面を書く。デザインをやったらどうか?」と言われました。

その当時、大学で勉強していた担当教官は、昨年亡くなりましたが、
チャレンジしろ。自分の能力を示すためには、常に勤勉であれと言われました。
それはとてもドイツ的です。日本人もそうかもしれませんが。

見て頂きますと、歴史的な街なのですが、
SCHWAEBISCH GMUEND
いろいろなことに関してかっちりとしていて、
経済も、お金もしっかりとやっている気質があります。
なかなかクリエイティビティを活かすのは難しいところもありますが、
創造性をもってやっているところもあります。



●FEDERAL DESIGN AWARDS
そして、1969年に、最初に連邦デザイン賞を受賞しました。
これをきっかけでオメガの社長に見初められ、仕事をすることになりました。
扱いづらい創造的な子供が、やっと安定した場を得ることができました。

このモデル、見えないかもしれませんが、ボリュームなど小さい文字で
書いてあるのですが、英語だったり、ドイツ語だったり、ごちゃごちゃになっています。
上の方にも、ドイツ語で数字が書いてありますが、
娘に見せたら「ゴチャゴチャじゃん!」と言われましたが、
デザイン的に見れば、そこそこ良い仕事ができたと思います。
学生だったとしても、やることはしっかりするのが大事です。

ここからデザイナーとしてのハッピーライフが始まります。


●MIND THE GROGS
こちらは私が住んでいたところにある標識で、
カエルが沢山いて、道路をわたって森に行くとき、
「カエルに気をつけろ!」という標識があちこちにあります。
そういったこともあり、会社のロゴをカエルにしようと考えました。



ドイツのカエルはあまり可愛くありませんでした。
ペットショップで、
かわいいブラジル原産のカエルをみて、考えました。
なんでこんな社名になったかというと、



●FEDERAL REPUBLIC OF GERMANY
FROG はドイツ連邦共和国の頭文字です。
そんなばかな話しは聞いたことない!と言われるけど、
皆に覚えてもらえます。
ちょっと挑発してみるのは、大事なこと。
人が批判したからといってがっかりすることは無いです。聞き流せばいいんです。



それとあとコミュニケーションしていくこと、
デザインを伝えていくことが大事です。
デザイナーというと、その当時重要視されていませんでした。
ヘルムートニュートンなど有名なカメラマンに、対価を払ってお願いし、
私たちのデザインを撮影してもらいました。
デザインを伝えていく場合、デザインハウスなのですから、
宣伝という切り口ではなく、文化的、アーティスティックにやるべきだと考えました。

背景のストーリは、女性が一人立っていて、手にピストルを持っていて、
女性の夫を殺してきたところで、
ストーリーを聞くとなんだ?と思いますが、クールでかっこいい、
世界中の人たちに気に入ってもらえるデザインをするのが私たちの仕事。

このように、我々のデザインをメッセージとしてコミュニケーションしていくことで、
他のひとも着想を得ることができて、アイデア、創造性がコミュニティーで共同体をなして、
世界中に広がっていく、それにならってデザインしていくようになる。

もう一つ大事なことは、チームアプローチです。
一人で全部うまくやることはできません。
他の人たちの助けが重要です。
自分の上手くできないことを上手くできる人たちと仕事することで、
より良いものが作れます。

妻はアメリカ人で、
ちょっと今回、ワールドカップでドイツとアメリカが同じリーグで困っています。
フロッグカンパニーは妻が仕切って、妻がやっているといっても過言ではない会社です。

私はもともと農場育ちなので、牛の乳搾りができます!
今でもできますよ。ただ、ちょっと扱いを間違えると、しっぽで叩かれますけどね。



●YAMAHA FROG 750
形は、感情にしたがう。
まさにフィーリング、情動がとても大事です。機能はあって当たり前なのです。
このバイクの設計ですが、バイクの設計なんて出来ないだろうと言われても
挑戦してみました。普通どうしてもお金の為に設計するんですよね。



何年か前に、DESIGN FORWARD の原本をかきました。
その理由は、デザインについて共有したいという考えがあったからです。
この表紙は、人間の脳、右脳と左脳があって、
創造性と、合理的論理的な思考を司ります。
右脳と左脳のパートナー、協力、強調ということも示しています。

3つの部分に分かれていて、第一部は新しいデザインのカルチャーを作る、
第二部、実際にデザインを本当のデザインをしていく、デザイン革命を作っていく。
最後の第三部はリーダーシップに関してです。

今回のこの本に関しては、共著者がおります。
PHDの学生だった人も手伝ってくれています。
まず第一部ですが、新しいデザインのカルチャーを作る、
人、リーダーシップが大事です。

●STRATEGIC DESIGN
パワーシフトを考えた時に、シンボルとか象徴とかも大切ですが、
テクノロジーも、リソースも、ビジネスも、
美的なものだけでなく、歴史とか、うまくバランスが取れていることが大事です。

30年前、Apple の仕事を始めたころ、IBMが巨大で、
Apple はまだまだ小さい会社でした。
ジョブズが無理だろ!と言われながら始めたのが Apple でした。
HPと比較してみると、いまは逆転しています。
Apple は成長しており、利益も大きく延びています。

この純利益を見てもらえると、Apple の利益は HP の 16倍で、
従業員数は数分の一です。
デザインは趣味的に受け入れがちですが、ビジネスで成功するにおいても
デザインがあることが重要です。
Apple はエネルギーがあって、デザインが重視されている。

本にも書いてありますが、
Apple には課題があり、ジョブズは亡くなってしまいましたが、
今までと上を向いて、アップルらしさを引き継ぎ、
リスクをとって、何となく続けるのではないという気概は感じられます。

そこで、現状維持の会社と、革新性のある会社との比較です。
革新的な会社は、数の少ないかもしれませんが、その成功が圧倒的な会社になります。
変化に避ける、保守的ではなく、いろいろなことを変えようという
それ自体は面白いこと。変えることは面白いこと。

じゃあ、どうやって創造性を発揮するか?
花瓶を壊してしまった場合、保守的な人は元に戻そうとしますが、
クリエイティブな人は、花瓶の破片を使って何か違うものを作り上げてしまうのです。

これは実際にレンガを使って実験が行われました。
ヘッドギアで脳波を計りました。
レンガを使って何が作れますか?
創造性があまりない人は、「単なるレンガじゃないか」と脳が活動していません。
一方で、創造性に富んだ人は、「色を塗ってみよう」
「名刺代わりにつかおう」とか、右脳のクリエイティブな部分が活発に活動することがわかります。
それと一方で、感情を司る部分も活性化し、ハッピーな気分になっています。
考えること自体が楽しいのです。
クリエイティブで無い人は、怒ってしまいますが。

残念なことは、創造性に富まない人が、会社の重役で、お金を動かしているんですね。
そこで、デザインすれば楽しいのだから、お金はいらないじゃいないか?と言われますが、
そうではなくて、クリエイティブな人たちにもそれなりの対価を払ってもらいたいものです。
で、統計的に言うと、8人に一人は創造性があり、残りの7人は創造性がなく、
日本だと、数千万人は創造性があります。
このことは本に詳しく書いてありますが、
創造性に富んだ人間は、立ち上がって、牛耳られるのではなく、
正当な立場を与えなさい!と言うべきなのです。

クリエイティブな人間は物事をとうして、その向こうにある本質を理解することができます。
コーヒーにはカフェインが入っており、お茶にもカフェインが入っています。
乾きを感じます。
乾きを水を飲んでいやすのが大事なのです。
そうすると、背景にある、深い意味を考える必要があります。
どういう風に感じるか?モノを見て、モノを使って、
感動を覚えることが大切です。私を受け止めてくれているモノを考えるのです。

そこで実際にデザインすると、アイデアがあればいい?
と思うが、それだけでは不十分です。
そこだけでは不十分で、サイクル全体を考える必要があります。
着想が最初ですが、実際に使用して、リサイクルまで考えられれば完璧です。

これからクリエイティブで大事なのは、クラウドソーシングです。
キックスターターを知っている人は??
キックスターターが実際に資金を集めました。全部で 10億ドル。570万人、
一人あたり、175ドルしか使っていません。
そこで、何もかもがうまくわけではないですが、
クリエイティブな考えが広がることができます。

これは、ウィーンの芸術大学で学生に課したプロジェクト、
ヘッドフォンの新しいデザインを募りました。
Webで新しいアイデアがありました。それを元に自分のデザインを着想しました。
それと、3Dプリンタのおかげで、人と工場の距離が縮まってきています。
マスプロ大量生産の世界から、少量生産、独自なユニークなものを少量作れる時代になりました。

●Diploma Project
これは、ギターシンセサイザーですが、多大な投資をして作るのではなく、
少額の投資で、自分自身のものを作ることができるようになりました。
大企業が自分たちを守って生産していただけではなくなりました。

デザインシンキングが良いと思うかたはどれくらいいらっしゃいますか?
デザインシンキングは馬鹿げた考えだと思います。
では、 MUSIC THINKING は?
実際に、これはローリングストーンズ、誰でもバンドをやって、
誰でもローリングストーンズになれるかというとそうではありません。
キースのギターを真似しようとすると、がんばってもできません。
誰でもストーンズになれるだけでなく、才能、タレント性がなければいけません。
創造性は誰でも持っているんだと、あまりに単純化して言われますが、
誰でもできるわけではない、デザインに対して、尊重しなければいけないと考えています。

デザインシンキングに反論を与えたいのですが.....
教育の話しです。いろいろな問題があります。失業や民族対立、それに関して
アインシュタインの言葉の引用。

「私たちが創造した世界は、陳腐化したマインドセットで、
そこから生まれて来た問題を解決するのは、同じマインドセットではいけない。」
と言っています。

クリエイティブであることはよいこと、子供がクリエイティビティを発揮したときに、
褒めてあることが重要。自分自身も子供の頃、教室からたたき出されていましたが。
私が実際に学んだことは、教室の外で学んだことの砲が多いです。



●VICTOR PAPANEK
のことがいろいろ書いています。
その当時、すでにエコロジーや、産業構造に関して異論を唱えていた人でした。
彼が本を読むと、単純すぎるところもありますが、方向性としては
間違っておらず、いいことが書いてあります。

彼はアメリカデザイン協会IDSA から追い出されてしまったので、
いろいろ反論し、本当に大切なのはデザイナーだと。

次の章に移るわけですが、ソフトだけではなく、実物のモデルを
作ることが大事で、リアルな形で人に伝えていくことが益々大事になってきています。
実際に、船の模型で、ディズニーの経営者達に、海に浮かぶアパートではいけない
といったことを伝えることができました。
こういったモデルを作ってみることが大事。実際の船は巨大。
模型を見て、いいな、凄いなと思います。




バイクの模型です。模型をもとにできた実機があります。
ソフトウェアの世界においても同じです。
Facebook 、大量のデータを収集して売ろうとしていますが、
その逆で、データを忘れようというものです。




フレキシブルコンピュータ、
蝶番がついていて、開け閉めするのではなく、折って畳んで持ち運べるコンピュータ。
茹でカエルの話しを聞いたことがあると思いますが、
企業も同じで、ぬるま湯に浸かっていると、熱湯に気付きません。
中国の環境汚染もそのようなものです。
日本は 40年前、同じ環境汚染の問題を抱えていましたが、
それから日本は変わりました。やり方を変えて、問題を克服したのです。
ですから、今日起こったことが明日起こるとはかぎりません。



●apple design 5/83
これは 1983年の 5月に、アップルとディスカッションした時のメモ、
シンプル、小さい、アグレッシブではなくフレンドリー、ベストなデザインをする。
当時にはクレイジーな考え。
アメリカの伝統的なデザインをしない。趣味が良く無いと考えていた。
今みても、なかなかカッコよく、クールで、自立性がある。
手書きの文字は汚いままですけどね。

40年もたってなんでこんなものが残っているのかというと、
写真も、なにもかも全て記録に残しています。
こういった記録をのこしていくというのは重要で、
私ぐらいの年齢になると、本当に起こったことであるというのを
示すことが重要で、それによって次の世代の人が学ぶことができるのです。

将来の心配はそれほどすなくてよいと思いますが、
人に聞いても仕方ないのです。
見た事も無いものをなんで「欲しい」と言えるのか?
誰が分かるのか?

●MOTOROLA 2001
モトローラが 13年前に提案していたものです。
世界のモバイルの 16% ぐらいを占めていた企業です。
電話は電話としての機能はありましたら、ポケットに入るコンピュータがあると
いいなと思って、そのころは馬鹿なアイデアだと思われていましたが。
デザインに3000万ドルかかりました。

2007年、iPhone でその後、世界が変わりました。
いろんなメーカーが携帯電話を持っていましたが、
いわゆる茹でガエル状態だったのです。
1982年段階で、未来のコンピュータはどんなものなんだろう?
板きれなようなもの、タイルのようなものになるんじゃないかな?と
考えていて、
1982年にプロトタイプを作りました。
iPad で指で使えるものがでてきました。
実際にやってみて、推し進めるのに早すぎるということはありません。
一例として本の中に書いてあります。

●SAFER DRIVING
これはうちの生徒にやらせたプロジェクト。
交通事故の 50%は免許をとって5年以内のドライバーが起こしていることがわかっています。
そこで、実際にソフトウェアにどうやったら安全運転ができるのか支持してくれる
ソフトを考えました。それと同時に、車のハンドルも
丸いハンドルではなく、若い人に受け居られる、操縦桿みたいな、ゲームパッドみたいな
そういったデザインを提案してみました。
これは、幸運にも、いろいろと賞を受賞しましたが、現在まで、自動車は今までどうりです。
ですので、悪いデザインは人の命を奪うことにしかなりません。



●MANGA COMPUTER
●HERO BUGS
そこで、Benjamin Cselley 、虫のロボットを作って、アプリはiPad で実際に戦うのです。
BRAIN TURBO
あるいは実際に脳に装着し、電磁波を繰り込んで能力を向上する、
クリエイティビティをさらに発揮するというようなもの。



TRIBONS 2005
テクノロジーが将来どうなるのだろうか?ホログラフィックなものが出てくるだろうと
予測しました。コンピュータが体の一部になったり。



DATOOS 2005
タンパク質ベースのタトゥーを直接肌に印刷して使うとか。
体内の糖分を浸かって、うごきます。
腕の上にディスプレイができてしまう。おしゃれかもしれません。
シャワーで洗えば落とせるものです。
自分で自分のマシンをデザインするこごあできるのです。

●CHANGE IS FUN
私の本の中に、経験、友人達の経験も書いてきましたが、
経験に頼りすぎてはいけません。
経験は学習する、そこから外れてまえに進む方法です。
一端身に付いたもの、習慣を無くすのは難しい。
ゴルフのスイングを同じで、いったん着いた癖は無くすのは難しい。

楽観的であることが重要かもしれません。
ですから、私の本全体を通じてのメッセージは、
保守的になるな、守りに入るな。
バカでもいいから、ジャンプしよう!

Q.
まだ無いものは誰も欲しいと分からないという話しがありましたが、
デザインに共感が得られるということは調べた方がいいのか?

A.
テクノロジーを考えた時、人に聞くことはできない。自分が発明したものであれば誰も知らないので。
共感は大事で、独りよがりになってしまわないよう。
Mac の場合、むしろコンピュータよりも「人」パーソナリティ、人格を持っているように、
意味付け、ひとっぽい味付けがなされています。
多くの人が気に入ってくれるかどうかはわからず、賭けのようなところがあります。
ただ、私たちと、デザインを作ってくれる人との間に障害があるとなると、
「企業」であり、恐れたり、尻込みしたり、邪魔になってしまう帰来があり、
それを越えていかなければならないのが難しいところです。

テクノロジーで考えると、小さく、クオリティも上がっている。
ビデオカメラを考えると、巨大なもの、重いものだったが、
いまや、iPhone にカメラの機能があって、昔よりも画質がいい。
それはテクノロジーの進歩、これからどちらの方向にいくのか、
将来を見据えて考える必要がある。それは一般の人には見るまで分からないこと。

今座っている椅子についてどう考えますか?
そういうもんだ、それで良いや。と考えていませんか?
椅子をかっこいいデザインにすることができますが、
かっこ良くすることで椅子としての機能が失せてしまうかもしれません。
いろんな椅子のメーカーはありますが。

孫娘を連れて椅子の展示を見ました。
孫娘に、なんでこんな変な椅子ばかりなの?と言われました。
ジョブズのように、こんなのは妥協を受け入れないぞ!と言う必要があるのです。
私の本の中に、いろんな失敗例も載っています。失敗から学ぶのです。

Q.
デザインシンキングが良く無いものだと思っているという話しがありました。
デザインシンキングではなく、デザイナー、きちっとしたタレントが必要である。
タレントとして一番大事なところは?

A.
実際にクリエイティブな人とビジネスマンとで、ビジネスマンから搾取されるという
図式があって、それをどう改善していけば良いかと。
ビアニストにとって、THinking というのは、無い。
我々も、デザインのプロをやっている人にとって、わざわざ Thinking は無い。
マーケティングの学生に授業をしたことがありますが、
どういう風に活用できるかを考えてみましょう?
なんでデザイナーお金を払わないといけんだいんだ?という議論になる。
プロフェッショナルとして、デザインを世の中を改善するものとして、
デザインをしていくべき、中庸なもの、あたりまえのもで満足するのではなく、
アメリカも中庸だけれど、
スタンフォードで授業したけれども、どうお金持ちになるかしか考えていない。
それだとエモーションも何もない、
世の中をより良いものにして、子供達に伝えていこうというのが我々の使命。
苦しいを抱えている世界を救う。
そのためにはデザインが世の中を変えていくもの、
複雑なものなのに、シンプルなものだと扱われているような感じがしています。

Q.
実際にデザインをしていて、クライアントの会社から、コストを下げろと言われていて、
なんでそうなるのか? 
その一方、大金をかけて有名人の出たCMを作ったり。
どうやったらデザインの正当な価値を認めてもらえるのか。

A.
それはやはり、どういう経済価値があるのか、
デザインがよいと売れるというのはわからない。
サムソンは 150億広告につかって、10億ドルしか開発費につかわない。
アップルはその逆で、多くの開発費をかけ、広告にはそれほどお金をかけません。
前向きに考える?その場限りなのか、戦略を考えるのか、その場かぎりの戦術なのか?
わかってもらえないなら、もっといいクライアントを探した方がいいです。

私が育った森の隣りには、自動車工場があって、潤っていたのですが、
その時のたとえ話で、2人の人がいて、両方やヤギを買っていて、
お金がかかるから、もうヤギにはエサをやらない! としたら、
一日中、ギャギャー泣き続けました。
「ミルクは出るし、お金はかからない」と。
「今日はお宅のヤギはおとなしいですね」「ヤギは死んだんだ」
そういう風に必要なところにお金を投資しないところはダメになってしまいます。

実際にデザインにお金を使わない会社で、豪華なビュッフェランチを提供する会社は、
どこか違うんじゃないかと思ってます。
ユーモアも持って、頑張っていきましょう。
ダメになる企業とは仕事しないように。

Q.
フロッグデザインの立ち上げのことについて、仲間をどうやって集めたのか?
どうやって仕事を回していったのか。

A.
私はラッキーだったと言えます。
もともとは、いろいろ受賞したこともあって、仕事がやりやすかった。
リクルートする時に、5年の経験で求人することが多かったのですが、
経験を問いませんでした。良い給料を払うことも約束しました。
平均的なデザイナーの5倍くらいの給料です。そうして優秀な人を集めることができました。
彼らを惹き付けていくには、寛容であることが重要です。
ギブ&テイクが重要で、与えたものは必ず返ってきます。
うちの妻も助けになっており、才能のある人はヒトくせある人もおり、
妻が人材のキャラクターの部分の面倒を見てくれました。
一緒にやっていけないような人は、別れた方がいいんじゃないかと話し合いました。
私のところから独立していった人も居ます。
自分の frog だけでなく、デザイナーのコミュニティを作っていったのです。
そして、デザイナーじゃない、いい友達も作っていきましたね。

Q.
審美眼、クリエイティビティはどうやって高めてきたのか。

A.
常にそれを求めていますが、こういう仕事をしていて、毎朝ハッピーですが、
複雑な問題というのが好きです。
妻が言うのですが、ロバみたいに頑固で、非難には耳をかさない。
人として良い人としている。
クリエイティビティというよりも、生き方そのもの。
それは当たり前のことでは無く。当たり前だと思わないことが大事。