10/05/2015

[&] SPECIAL LECTURE by Paul Smith



SPECIAL LECTURE by Paul Smith
ポール・スミスのインスピレーション
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なんとまあ(すごい多くの観客なので)、
皆様ありがとうございます。

本日はおこしくださりありがとうございます。
講義と思わずに、私のストーリーとしてお考えください。
もちろん皆さんの中にはファッション専攻でないひとも居ると思います。
私がどうインスピレーションを受けているのか?をお伝えします。

ここが、仕事場です。
机に座っているのは、この写真を撮る時だけです。
いつも飛び回っています。
ごらんのようにモノであふれています。
あちこちをみて、
想像力を得るには大きく周りを見渡さなければいけません。

こちらは、日本の長年のファンの方が贈ってくださった、
和風の柄がぎっりしつまっていて、シャツにもパンツにも転用できます。

これが私の物語のはじまりです。11歳の時に自転車に乗り始め、
プロの自転車乗りになりたかったのです。
11,,,,,18歳になったある日、足も鼻も骨折し、ひどいことになりました。

悪しき事があっても、災い転じて服になるということです。
自転車乗りの夢はあっけなく破れてしまいましたが、
それが創造性豊かな仕事をすることになりました。
最初の仕事は、小さなブティックで働くことでした。
三年間ブティックの店員で働いた後、現在の妻との出会いがありました。
ファションについて全て教えてくれたのは彼女です。
彼女はRCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)でファッションを専攻していました。
私は大学にもいっていませんが、当時のガールフレンド、つまり妻から学びました。
6年間働いたのち、貯金したお金で小さな自分のお店を開きました。

ほんとに小さなお店です。
私の犬が店長を勤めているくらいです。
おおきな鼻をしています。私と同じにね(笑)
まず犬に声をかけて、それから私に声をかけてくれるという具合です。

the job changes you,
you never change the job

仕事が君をかえていく。
君が仕事を変えるわけではない。
わたしははたと気付いたのですが、
小さなお店で生計をたてていくのは難しいことに気付きました。

そして気付いたことです。
重要なメッセージです。
お店は、金、土曜日限定でオープンしようと考えました。
残りの曜日は仕事をかけもちして、稼げるだけお金を稼ごうと考えました。

今後皆さんが卒業して重要な時、夢は大きく持ちましょう。
金曜日と土曜日は夢のお店、平日は稼ぐための仕事。
夢を追い求めることと、食べて行けることと、そのバランスが大切です。
人生ありとあらゆることがバランスです。

そののち数年後、ガールフレンドがデザインを教えてくれて、
第一回の小さなコレクションをパリで開催することになりました。
これは非常に重要な要素ですが、
ファッションのみならず、法律でも、建築でも
一つだけでなく、多くのことに目を向けなければいけません。

他の科学分野、建築であれ重要なのはアイデアです。
それを伝達するコミュニケーション能力も重要です。
他の人と話すことが重要です。

今日の世の中には非常に多くの人達がいます。
自動車業界であれば、ファッションであれ、多くの人がいます。
独自性ということが重要です。
差別化をつかむこと、それがつかめれば突破口になるかもしれません。
強烈な個性も必要です。
そして、最後、品質も大切です。

大事なメッセージ「規則を打ち破るためのゆとり」が大事です。
当たり前の道を進むのでは無いこと、挑戦し続けることが大切です。

「何事もやってみないと始まらない」これも重要です。
バイトしてみる、いろんな仕事をしてみる、経験をつむことが大事です。
人生において、おおいに役に立ちます。

だだしいことのみをやるように。安易なことはやらないように。
誰かに「やって!」と言われた時に、やるべきか、考えてから答えましょう。

こちらは紋章です。たくさんの腕があります。
紋章はアームスですから、たくさんの腕があります。
「絶対思い込みをするな!」と書いてあります。
かならず振り返りを大事に。
きっとこうなるかもしれないと思い込まないこと。
これが人生において役立ちます。

インスピレーションはあふれています。
なにからも得られます。
得られないのであれば、それは目を見開いていないからです。

会場で、この花を見ています。
例えば、この花からヒントを得て、ニットのデザイン
首の部分、スリーブの部分へ応用することができます。
インスピレーションを得ることができるのです。

そして美術、音楽、建築、旅、ありとあらゆるインスピレーションが得られ、
旅から得られるインスピレーションは素晴らしい。
書物からも得られますが、異文化がどう展開しているか分かる旅は素晴らしいです。

インドで、わざわざ出かけることなく、ネットでも書物でも情報を得ることができます。
美しい緑の色彩に注目してください。
さまざまな模様。
先ほど、最初におみせした和柄の風呂敷を思い出してください。
ここから得たインスピレーションから、色彩のヒントを得ることができ、
さまざまなところに転用できます。

教会も、ストライプをみてとることができ、
それがこのようなシャツに生まれ変わります。
一枚の写真を撮るだけで、シャツのインスピレーションを得ることができました。

これはガテマラの本から得たイメージです。
伝統的な民族衣装、そのアイデアからこちらのテキスタイルをデザインしました。
これは書物から得たデザインをもとにデザインしたもので、
ネクタイにもソックスにもなります。

今どういうソックスを履いていたっけ? 今はいているのは普通の柄ですね(笑)

コンピュータを駆使してデザインします。
私もそうします。コンピュータ大好きです。

ただ、パソコンを使って色彩をデザインすると、
プリンタの品質に左右されます。
この例は、上半分はプリントがデザインしたもので、下半分が糸です。
糸を短冊状の紙に巻き付けます。

そして、徐々に糸を並べていくことでストライブをデザインしていきます。
異なる色彩がどう判明しあうか、近くに並べた時に反映するのかがわかります。
時には手作業の大切さもわかります。

写真を撮る時も目を見開いてください。
白? 青?
シンプルなものを写真を撮るだけでアイデアのひらめきにつながります。

これが....こうなります。
ハリーポッターのように魔法を書けることができます。

例えば、あちらのテクスチャーをもとに、ニットウエアの色を考えることができます。
緑とグレーを応用して、ネクタイにも応用できます。
花もセーターになります。

これは、切手のコレクションです。
アトリエでぎっしり切っておw並べて、色ごとに並べています。
並べて写真をとります。
このような記事をデザインして、ジャケットの裏地に使いました。

これは海の写真です。ここからこういう服になります。




キューバです。
こちらの写真をもとに、スカーフをデザインしました。
どこにいても写真を撮るとおもいますが、
じっくりと見る時間をとるようにしてください。

これは友人のスタジオの前で、ミキサーです。
これもジャケットの裏地に使いました。

昔の古い書物からインスピレーションを受けることがあります。
ビンテージ風の感じがします。
この写真これをたてて、よりモダンなテイストを加えるために切り刻んでみました。
そこからプリーツのスカートを作りました。
そこからこちらの生地になりました。
綺麗だけれど古めか言いなとおもったところから始まりました。

カラーについて:
もし皆さんが、グラフィックデザイナーだったり、シンプルなもののデザインをしていたり、
室内装飾していたり、子供のためのものを作る時、色彩というのはとても楽しい要素です。
ただ、じっくり観るだけでなく、
中国の警備員の制服です。これがファッションショーに登場しました。
前にも言いましたように、インスピレーションは何からでも得られます。

グレーと赤の色彩から、
インテリアデザインにもグラフィックデザインにも応用できます。
こちらは雑誌です。色彩が素晴らしいので、色彩をヒントに、
この写真から色彩だけを選りすぐって、折糸に使いました。
たった一枚から、これだけの広がりを得ることができます。
古い写真からもインスピレーションが得られます。

この写真の色彩に注意してください。
一風変わった色彩ですが、
あるシーズンの色彩をすべてまかなった時があります。

マティスの絵画です。
年老いてきて、筆が進まなくなったマティスがダンボールを使って描いたことがあります。
かたつむりという作品です



色の使い方がとても気に入っています。
青と白の組み合わせが新鮮に感じます。
オレンジと赤と似通った色彩なので、活気あふれる、元気いっぱいな
2色の組み合わせです。

強烈な色彩の Tシャツができました。
この2色はさらに似通っています。
これはかなりうるさい感じの色になります。
この2色を後で観ると、非常に新鮮な感覚になります。

色を使うことによって、全く異なる雰囲気を醸し出すことができ、
室内装飾もグラフィックデザインも何からなにまで、雰囲気を変えることができます。



マティスの作品の一部です。
こちらも、影響力のある色彩です。
この部分の色彩のヒントにしました。

メンズとレディースとのコレクションの類似性を紹介しています。
広告を展開している時も、あかるい色彩を多様して、
写真そのものが目立つようにしています。

ファッションショーの時は、14分、12分で強烈な印象を与えなければいけません。
非常にお金がかかります。
左側はプレスの人、右側がバイヤーの皆さん。

ファッションショーは数分のショーです。
そういった雑誌の人、バイヤーの人、すばらしいアイデアの、強烈な印象を
与えなければいけませんし、売れるものとして商品を印象づけなければいけません。

金曜日土曜日はこだわりのお店をやっていたというお話しをしました。
他の曜日は生計を建てる日。
ファションショーはマスコミに強烈な印象を与えます。金曜日土曜日にあたるものです。
現実的なところは、こだわりのイメージをつらぬくkことと、生計を建てることの
両方のバランスを撮らなければいけません。

冒頭で就職する皆さんに話しましたが、
25年くらい前、当時は、
まだショップの数も少なかったので、釣りをしている人がすくない 状態で、
ビジネスチャンスもたくさんありましたが、
競争が激しくなって、今では異常に競争が激しい世界になっています。

これから卒業していく皆さん、
独自の視点が何なのか、自分の個性は何なのか?
どうやったら自分を雇ってもらえるのか、じっくり考えてみてください。
そうすれば、釣り人がたくさんおしよせても、道があるはずです。

独自性、個性、コミュニケーション、
就職面接に行く、しっかりと面接官の目をみて、
前向きに面接にむかう鍵になると思います。

努力についてお話しします。
「努力そのものは無料だ」と社内で言っています。
ですので、全員に当てはまることですが、努力することにはお金がかかりません。
ニッコリして、前向きの姿勢で取り組めがいいだけです。

ここはイギリスのパブです。いっつもお客がいません。
道をはさんで、このパブがあります。いつも満員です。
非常に楽しげな雰囲気が作られています。
努力の後が見えるからです。
最新の写真はもっと華やかなものになっています。

履歴書を書く時に、就職に向けて履歴書をどうやって目立たせるか?
紙にこだわるのか、書くことに気を配るか?
企業をどこまで綿密に調べるか?そういったことが成功への鍵になってきます。

並んで建っている二軒の家、
ちょっとひねるを加えるだけで、こんなに変わってきます。

too much choice
選択肢が多すぎるということ。
世界には同じようなものがありふれています。
目立たせる為の努力が必要です。
みなさん、八百屋さんだと想像してみてください。
同じ一つの通りに全員お店をかまえていると考えてください。

原宿はお店がたくさん並んでいますよね。
皆さんが全ておなじ八百屋さんなのですが、
なぜこのお店からトマトを買おうとするのか?
これも努力とちょっとした工夫です。
このお店は雑然とならんでいません。このお店は綺麗に並んでいます。

別に八百屋さんでもなんでもいいんですけど。
売っているものは何でもいいのです。
したの緑の紙が綺麗、ヘタがついていて美味しそう!と思います。

まったく同じものを扱っていても、アレンジの仕方で成功失敗は紙一重です。

これは私のお店です。
通りを歩いてきます。5秒くらいで通り過ぎると思います。
どうやって私のお店に向き直させられるか。
ここにも努力が必要。
マネキンを並べる以上のことが必要です。
ワニが靴をくわえていたり。

特別な雰囲気をどう一瞬で創り出せるか?
それでお客様を引き寄せることができます。

履歴書にも、テストの回答にも、すべてに努力が関係していると思います。

雑誌の表紙が並んだ風景、1959年の雑誌です。
これはとても違った雰囲気で、マティスの絵のように見えます。
1948年の雑誌、非常に斬新で、風変わりのイメージがあり、
今の世の中は似通ったものばかりです。

皆さんは、ぜひ人とは違うことができるように、努力してみください。