8/28/2015

[&] IDE INNOVATION DESIGN ENGINEERING



IDE
INNOVATION
DESIGN
ENGINEERING

ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのマイルス・ペニントン教授による、
イノベーション・デザイン・エンジニアリング学科の紹介

マイルス・ペニントン教授:
今晩は IDE プログラムについて説明したいと思います。

IDE とは?
2年の修士課程のプログラムで、非常にユニークな部分は、2つの教育機関が
協同で運営しています。
Royal College of Art と Imperial College の2つで運営しています。

まず、私どもの大学院 RCA が位置しているところは、ハイドパークの西のはしに位置ています。
ロンドンの高級住宅街です。なぜ高級住宅街にあるかというのは後で説明します。

ここにご覧のように、RCAだけでなく、さまざまな教育機関や美術館が集中しています。
ここの地域が開発されたのは 175年前で、文化的教育機関として開発してきたのがきっかけです。
ロンドンへいきましたら、ぜひお寄りください。

たくさんの優秀な卒業生がいます。
デビッドホックリー氏、リドリースコット監督も工業デザインを学んでいました。
ジェイムズダイソン氏も、RCAで学んだ一人です。特に IDE の面で、学び、名誉学生として登録されています。

RCA Overview
世界でもっとも古いデザイン学校として、
1837 年からの歴史があり。
大学院で、大学のコースはありません。
RCA にもかかわらず、70% はデザインで 30%はファインアート

1850年代の様子
この頃は、学生は教授にならってデザイナーになるべく勉強していました。
革新的なデザインの教育ではなく、技術を学び、教授のようにデザイナーになるべく、技術を学んでいた時代です。

IDEのパートナーである、Imperial College は、IDEはその間をつなげるような存在。

Imperial Overview
1907年に創立され、
6000人のスタッフに 13,400人の学生、RCAの3倍
科学、エンジニアリング、医学、ビジネスにフォーカスしています。

IDE cira 1980
IDEプログラムというのは1980年に実験的な試みとして設立されました。
内容というのは、科学を勉強した人間が工業デザインも勉強したらどうなるのか?

大変シンプルな目的のもとに創立されましたが、
革新的な世の中になってので、存在していない、明確に定義されていない
仕事に対しての授業をすることと、教育の目標はだいぶ変わってきました。

Educational Challenge:
” Since we live in an age of innovation, a practical education must prepare a man for work that does not yet exist and cannot yet be clearly defined”
Peter F.Drucker

ドラッガーの言葉のとおり、
革新的な世の中になってきて、明確に実践されていない仕事にたいして、教育すること。
思考や態度を教育し、あたらしい仕事やシステムを生み出していく。

具体的にどのようなことを教えているのかお伝えします。



●DIVERSITY

IDEの中で大きくわけて4つの中の一つは「多様性」です。
80人ほど、25ヶ国から集まってきました。
彼らは、さまざまな国からだけではなく、35年前はエンジニアでしたが、
さまざまな分野で学んできた、各業界のエンジニアが集まっています。
銀行家やデザイナーなどさまざまな職業の人が集まっており、
お互いに刺激しあってこそ、新しい革新的なものが生まれると信じています。

これは、IDEの学生がまず使うスタジオなのですが、
全員同じところに集まって作業してもらいます。
実際は凄くごちゃごちゃしたスタジオですけど。

まず一つの部屋で協同で入ってもらうのか?
50% 以上はチームワークで成されている。
それぞれのバックグラウンドから学び合う機会を与えることで、
それぞれの専門的分野を共有し、何を学んでいくのか?
刺激的な環境になるように、一つの部屋で学んでもらっています。



もっともチームワークを必要とする一例を紹介しようと思います。
10のチームに 2-3人づつ入れて、
ピザのスライサーやフォークなどを作ってもらうというテーマをそれぞれのチームに与えます。
このプログラムは4週間にわたっていますが、
チーム10の胡椒グラインダーを与えられたら、
紙の上でコンセプト作りを一週目にやったあと、チーム2 にそのコンセプトを話します。

2週目にはいると、ペッパーグラインダーのコンセプトを受け取ったチームが
試作品を作ります。すると、チーム4にその試作品を受け取ります。
3-4週をかけて、プロダクトRUn を実行します。
9つのペッパーグラインダーを作り上げることになります。

このチーム作業には2つの目的があって、
利己的にならずに、コミュニケーションをとって、コンセプトを渡していき、
他のコンセプトを受託し、実現するスキルを学んでいきます。

もう一つの目的は、ただモデルを作るのではなく、
実際の製品を作ること、実践的にどう製品を作るのかをチームは考えていかなければいけません。

男性用のビーチサンダルがあって、表面が荒く削られていて、指の間にブラシがついています。
自動的に足の裏を綺麗にするものです。これのもともとのテーマは石鹸でした。

ゆで卵のスタンドを作るというテーマでしたが、
最終的にはパンに穴をあけて、卵をたてられるものを作りました。

デザインは重要な科目としてあって、人々に喜びを与えるものであると考えています。
形であれ、機能性であれ、喜びを与える事例です。

あたらしい茶道の形、3つのうちのトップのところには、お茶をいれるところがあり、
下に二つカップがあります。いかにお茶の温度を暖かく保つか?というデザインがなされています。

次にビデオをお見せします。液体がコッップのほうにいって、化学反応をおこして熱を持つようになっています。
温度を保った暖かい液体が登っていきます。
実践的なものではなく、デザイン的、美しくデザインしたものの一例です。

●ENGINEERING

また、IDEでは、GIZMO というモジュールを毎回開催しています。
全員にエンジニアの機械に触れる機械となっています。
実際にどう機能するかを学生に見せるもの

[キータイプするロボット]

エンジニアリングの大きな目標として、実践的に試作を作ってみること
アイデアを試作していく技術も必要になります。

タッカーという学生が最初は自転車の車輪をどのように小さく折り畳むできる車輪にできるか?を
開発していましたが、車いすの会社にアイデアを買われて、このアイデアを採用しています。
折りたたみ式タイヤのアイデアです。



これは、必ずしも製品につながるかわ分からない試作段階の一例ですが、
指先全部に熱線スチロールカッターで、試作。
アイデアがあって、これからどのように作用していくか、応用していくのか分からない段階です。



これは大変成功した商業的に成功した事例です。
最初は実験的に、いち早くシェルターを作れないか?というアイデア。
コンクリートキャンバス。
布製だが、水を吹きかけるとコンクリートのように強度を持つもの。

最初、実験的段階で取り込んだのは、風船に粘度をかぶせることで、
簡単に膨らむ作業で、使えるものを実験していったのが最初です。

●EXPERIMENTAL DESIGN
彼は、縦に電気を使わずに上に登る方法を考えています。
Flupper by Rombout Frieling
http://www.rca.ac.uk/research-innovation/innovation/innovationrca-start-up-and-fellowship-projects/flupper/

一つは実践的な製品づくりに関わっていくこと、
実験的なものをやって、そこから革新的なものを生み出すきっかけをつかんで欲しい。

もう一つ、製品づくりの一例ですが、
厚紙でつくったヘルメット 2010年に開発されたもの。
発想のもととなったのはキツツキ、キツツキは脳を痛めないような特別な機能を持っていて、
それを真似て新しい自転車用のヘルメットを作ろうと考えました。



結果は、これで、
厚紙はポリエステルより遥かに衝撃に強いことがわかっています。


●GoGlobal

10年前にあたらしい国際的なプログラムを実施しました。
地元の学生や地元の企業と一緒にプログラムに取り込んでもらうというものです。

これは、2008年の筑波大学とのプロジェクトです。
食の未来のプロジェクトです。
動物のプロテインを野菜のように育てることはできないか?というプロジェクトです。

この国際的なプログラムを試みたことで、グローバリズムについて考えることになりました。
IDEの兄弟ような新しいプログラムを開発し、NYや東京から学生を招き入れてプログラムを進めています。

国際的プログラムが発展し、田川氏に来て頂くことになりました。
2001年のIDE卒業生で、いろいろな戦略的デザインについて学び、
プログラムの将来性について、インスピレーションが与えてもらえるとおもい、
客員講師として来て頂いています。

今から田川氏にお話してもらいます。
田川さん:
来て頂いてありがとうございます。
見て頂いているのは IDEで学んだ学生達の、様子、プロジェクトとかが出ています。
RCA IDE で検索してもらえば、みつかります。是非ご覧ください。

ほとんどIDEの概要について解説してくれましたが、
つけくわえることが何かあるとすれば、
ファインアート、ファッションなどある中で、
IDEは変わった学科だと思われていて、
ビジネスマンとかも集まっていて、へんてこりんなことをやっていると思われている、ユニークな学科です。

何をやっているかというと、物をつくるのに長けているわけではない人もいて、
2年でスキルをあげていくのですが、デザイン界で何何するというよりも、
アイデアを物作りに落としていって、実際の社会に届けていくことにモチベーションが置かれています。
10%-15% ぐらいの学生が、
プロジェクトを持って、起業してしまう人達がいます。
40人卒業していく4-5人が、そのまま
デザイナーとして個人のスタジオを作るのではなく、
具体的に製造する道に進んでいく。

RCAはよい仕組みがあって、イノベーションRCA という
インキュベーションプログラムがあって、
物作り学生に部屋を与えて、ビジネスメンタリングが数人いて、
投資するだけの資金もあって、学生を手助けしながら、製造していく後押しをしています。
IDEだけの物ではなく、全学科に解放されていますが、
半分以上のプロジェクトがIDEから巣立っていっています。

変わっているところは、卒業生達が、プロジェクトを卒業展で公開していくのですが、
特許をとったとか、製品にしたとか、具現化の確立が高いのです。

2001年の卒業生で、インタストリアルデザインエンジニアリングという学科名で、
少しシンプルな形だったのですが、
去年から RCA に戻ってから、イノベーション、定義はぼんやりしていますが、
新しいものを作って、世の中に届けることに、完全に力点がシフトしています。

だから多様性、という数学者や、哲学者がいたり、
ものを製造し、届けていく時に、いろいろなコラボレーションする必要があるとき、
だれからアイデアがでてきてもかまわない。
そこからモノを生み出していく、空気感を体感する、
学生が自然に身につける環境でダイバシティーが重要。

すごい気に入っているプロジェクトがあって。
パキスタンからの留学してきた学生で、パキスタンの農機具をローコストで作るというプロジェクト
足の力を効果的に使って効率のよい耕し方ができるもの。
調査やテストをする時に、
彼がライフルを持った三人ぐらいの護衛を引き連れて、現地で実験して戻ってくるという。
社会に対して問題解決的なものもありますし、何に使うのかわからないものも。

X-Men 的な世界で、人間が放電して、火花散るとか!
なんのためかわからない時でも作ってデモしてみて。
そういう雰囲気。あちこちで起こっているという、
クリエイティブというか、なんというか、好きな人達にとっては素晴らしい環境

80人の中でアジアの学生も多いのですが、
日本人は少ないです。今回「金の卵展」
人生観が変わったところがあったので、若いデザイナーエンジニア、どんな人でも、
こういう環境を味わって、新しい仕事のしかたを発見し、
興味を持ってくれる人が日本からも出てくれるといいなと。

takram という会社で、産業と結びついてモノを作ってわたしていくということを
やっていく立場。
そういう人達がまだまだ増えてもいいなと。

Q&A

Q. 興味を持って行きたいと思った場合、入学に必要な条件は?
A. 内緒です(笑)
情熱や、興味は重要なきっかけです。必ずしもデザイナーであることを求めていませんが、
ご自分のポートフォリオを見せて欲しい。
なぜ学びたいか?
何に長けているのか?どのように優秀であるか?
得意とする専門分野は何か?
ということを見せて頂きたいと思います。

Q. RCAの選抜のテストについて、非常にユニークだと聞いたのですが?
A. それはもっと秘密です。
願書を受け付けるときに、理由とポートフォリオをおくってもらうのですが、
それが学生に来て欲しい、第一選考がなされるのですが、
その次に面接を行います。
面接を行う前に1時間、あるテーマに沿って何か作ってもらいます。
その作ってもらったものを1分間で説明してもらいます。
それぞれのパーソナリティが全面的に出てきます。
その人となりを見ていくのが面接の目的です。
いちも楽しいテーマを考えているので、
昨年のテーマは、ゾンビと戦うために、何をどう作るのか?がテーマでした。

もう一つユニークなのは、面接が2人の教授と、一人の学生で構成されています。
かならず面接に学生が入っていて、学生が一番きびしい面接官となっています。
学生面接官が、品格を保ってくれています。

Q. 今日の展示をご覧になって、日本の学生の感想、作品の印象
A. 昨日、ひとつひとつ見させて頂いたのですが、
広範囲にわたった作品が並んでいたのが印象だった。
海外の人間として、とかく期待するのは、清潔でクリーンなものを期待するのですが、
そういうものもありましたが、全然違うもの、
「バクテリアドレス」が印象的で、広範囲、バラエティな作品が並んでいたことに、
いい意味で驚きました。

Q. RCA, IDEに進む学生の平均は27歳と聞いていますが、すぐIDEに進む学生はどれくらい?
A. 想像なのですが、1/3の人は、卒業したばかりの学生、ナイーブで、好奇心に満ちた学生で、
目的も無く入ってくる若い人達です。40-50%の人達は、実社会に出て3-8年の経験を持った人が
入ってきています。目的意識を強く持った人達で、学生が持っている若い好奇心はかけているかもしれませんが、
具体的な目標をもってきています。10% の人はもっと実践を積んできた人で、
人生観をかえて、全く新しいことをやろうと考えて入ってきている人。