2/08/2015

[&] FITCTokyo 2015 - Hisato Ogata



#FITCTokyo 2015 デザイン・イノベーションの振り子
with 緒方 壽人 Hisato Ogata @ogatahisato
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takram デザインエンジニアリングという会社に勤めています。
デザインとエンジニアリングの両方、
ソフトウェアとハードウェアの両方、
デバイス、プロダクト、サービスデザイン、いろんな領域のプロジェクトをやっていあす。

音メガネ。眼鏡をとおすと、隠れた映像が見える。
スマートウォッチの設計。
資生堂のハプティックセンサーをショーウィンドウで展示

他には、ドンペリニオンのディナーイベントの演出。
招待状を置くとその人向けのメッセージが表示される。
カーナビのデザイン、自分たちでプロト、実装までやっています。
未来の和菓子、時間の流れを楽しむもの。
紙にピッタリとあったプロジェクションとか。
同じ仕組みをいろんなところで使ってもらっていて、インテルのショールーム。

有機EL照明のデモンストレーション。
21_21 で展示をしていたもの、100年後の水筒というお題。人間を水筒に変えてしまう、人工臓器。

2048
佐藤雅彦さんディレクションで作ったもの、
自分のアイデンティティがテーマ。
虹彩認証を使って、瞳を使って個人を特定するものです。
自分の目のパターンを撮影し、穴を覗くと、瞳のパターンがデジタライズされて、
精度がすごい高いので、一部でも見えていれば、その人を特定することができます。
体験してもらうために、瞳のパターンを消しても消しても、特定できる。
消しすぎると、特定できなくなり、少し安心してしまう。

SAKURA
自然現象とか、自然の振る舞いを抽出して作品を作る。
スクリーンの前にたって手を振ると、花咲か爺さんのように桜が散っていきます。
日本の情緒で、桜は散っていくのが美しい、
流体シミュレーションをして、前を動くと風で動いたりします。

MIDNIGHTSUN
フィンランドのラプランドのキャンペーンサイト、
フィンランド人のアーティストと一緒に作りました。
白夜がテーマです。地平線上、太陽がぎりぎり沈まずに。
WebGL を使っています。白夜 6月2日のこの時刻の太陽の位置を計算して、
そこの太陽と月の位置をリアルタイムに作っています。
Web サイト、昨年ロンドンでも展示しました。

ARTSAT
多摩美と東大のジョイント
世界初のアート衛星を打ち上げるというプロジェクト
衛星のデザインや設計から参加しています。
10cm 角の小さい衛星なのですが、
衛星は巨大なものすごく予算がかかるプロジェクトだと思いがちですが、
技術としては小さいいろんな目的があってもいいのではないか。
だれでも衛星のデータを使ってアート作品が作れるもの。

夜の打ち上げだったので凄いです。
もし機会があれば、人生に一回ぐらいみておくといいです。

ミミクリーズ
アートディレクションをやっています。
自然にあるグルグルパターン、枝分かれ、三角形などを見つけて、
なんでぐるぐるしている?なぜ六角形?というテーマの番組です。
ボロノイパターンを幼稚園製にも解るように説明してみよう。
これはプロセッシングで生成しています。
そのルールをあてはめて。
ある着眼点を持ってみると、キリンとトンボが似ているとか。

BABYSCAN Project
これは何かというと、福島の子供達の内部被爆を計る検査装置。
原発の作業員向けのものしか無かったので、
子供用のものを作ったというプロジェクトです。
子供は体が小さいので、精度を上げる必要がある。
総重量6トン。
この中に子供が怖がらせずに、居て欲しい。

どういうプロセスでやってきたかというと、
ユーザーテストをやりました。
山中さんと一緒にやりました。
実物大のモックアップを作って、入ってもらうとか。
最初はお母さんの顔が見えていたらいいだろうと思いましたが、
狭い空間なので、怖がる。
どうしたら解決するんだろう?
お母さんの負担も少なく載せられるのだろう?

たまたま、うつぶせに寝たんです。勝手に。
みな全然そういう発想が無くて、
別に親が近くにいれば、顔が見えてなくても良くて、
うつぶせになれば、狭い空間でも怖く無い。
iPad で映像を見せておけば、4分間じっとしていられる。
これはプロトタイプを作らないとわからなかったこと。

このプロジェクトの早野先生と、糸井さんが本を作っています。

Cradle of Light
コニカミノルタの有機EL照明。
ものすごく薄くて、面発光に近い。
これをどう世の中のプレゼンテーションしていくか?

最初に作ったのは鳥の羽ばたきのようなものを作りました。
音楽に照明が連動していて、音楽再生と同期して羽ばたくものを作りました。
うすくてしなやかで曲がる、薄い、これには動きが必要。
動かしてしなる様を見せないと、曲がっていても、固いかどうかわからないので、
そういう提案をしました。
最初はただ動かす提案をしていました。
ロボットアームを使ってはねを動かす提案をしていましたが、

社長が、ちゃぶ台返しをして、それは最もで、
僕らは良くストーリーウィービングをやっていて、
物の性能や機能だけではなく、そこにストーリー、発展していくものが
入っていないといけない。
あらためて気付かされて、今後進化していくパネルをずっと表現できるモチーフを考え、
光の羽根を考えました。

http://www.konicaminolta.jp/oled/user_case/exhibition.html

さらに進化していろんなパネルがつくられました。
この時は三種類のパネルを使いました。
一つは、Irodori クジャクの羽根のような様相。
色が変えられるパネル。色が鮮やかに見えるようなデモンストレーションを作りました。

細い筒の中に浮かんでいるパネル。Ibuki 研究開発中の薄いパネル。
サランラップ、アルミホイルくらいのもの。
風で浮かぶんじゃないの?という発想から、
一枚の羽根が空から舞い降りてくるようなもの。

はばたく機構を作るところから、Processing でシミュレーションするところから。
パラメータがすごく複雑で、ちょっとでも変えると動かなくなる。
一個のモーターで二つの羽根を動かしていますが、
羽ばたきが狭くなったり、モーターの回転数を変えると、せわしなくなったり。
これで一番優雅で軽やかにみえるものを探っていきました。

それから設計し、光造形で整形しました。
小さいピンも光造形でつくり、一回パチンとめると完成。
制御は Ardino を使って。Max と Logic を組み合わせて。

Ibuki は、
どやって電気を送っている?
極細の導線で下から。
なかで暴れてしまうので、四隅に穴が開いていて、テグスが通っている。
適度にゆるめて、ギターのピグで、きもちい揺らぎができるよう探っていっている。

Irodori は、
どうなっているかというと、
アルミの基盤を使っています。
その基盤上にパターンを実装し、それ自体を折ってまげてしまう。
それもチャレンジでした。
黒く塗りつぶされているようなものは全部回線。
並列化できなくて、26枚分の配線をやっています。
数字は折る角度です。
CAD上で設計したのを展開して角度を決めています。

1度ごとに曲げられるジグを用意しました。
アルミなので、折りすぎると戻せない。
制御も大変でした。
スタジオでこんな感じで撮影しました。

ON THE FLY
紙の上に映像を投影するインタラクティブなプロジェクションマッピング
キモは紙の上に穴が開いていて、穴のパターンを使って識別や位置、傾きを検出している。
穴なので、指で塞ぐことができる。
手前の一列の穴を塞ぐとコントロールできたり。

構成は単純で、プロジェクタと、赤外線カメラ。
モーションキャプチャー用と同じ、
再帰性反射材をテーブル全体に貼ってあります。
穴が空いているところがわかります。
カードを触っている時は手が触っているのかも解る。

一番最初に作ったのは2008年で YCAM でミニマムインタフェースという展覧会があって、
展覧会のナビゲーションとして作ったもの。
作品がどこにあるのか差ししめして、キャプションにスポットライトが当たるとか。
なんで思いついたかというと、グラフィックは、水野学さんでした。
最初に打ち合わせした時に、インタフェースってなんですか?と言われました。

インター + フェース なので、フェイスとフェイスが接するところという話しをしました。
そこで水野さんが、紙の間になんかがあるというのをできないかな?
穴を開ける? 僕が考えたわけでなくて、
それを展覧会のコンセプトとして表すものとして作ったのですが、
これが何かに使えるかもしれない。で、こういうものを作った。
そういう意味では、いろんなところに発想のヒントがある。



「デザイン・イノベーションの振り子」
道具を人間が使い始めて、道具を作るための道具を作る。
メタクリエーションをやってきた。
こういうも野津rくりが続いてきて、
ハードウェアの時代が続いてきて、そこにエンジンの時代、
エレクトロニクスの時代、ソフトウェアの時代がやってきて、
インターネットの時代、ソフトウェアとネットワークサービスの時代。

今どうかというと、
ハードウェア、ソフト、エレクトロニクス、ネット、サービス、全て。
一人の中にデザイナーとエンジニアの二面性を持っていることで、
ある対象をいろんな角度から見れる。
答えを出せるかもしれない。
いろんな領域を飛び越えて発想でき、
俯瞰して発想できるようになる。
こういう人材をコラボレーションではなく、一人の中に持っていること。

本の中で、どういうプロセスで物作りをしているのか?
プロトタイピング、いろんな役割がある。
ベビースキャンみたいに、やると絶対に良くなる。
改善のためのプロト。

逆に物をゼロから1を生み出すときに形にしてみる。
クライアントワークで大切なコミュニケーションのためのプロトタイプ
そこにリアルなプロトタイプがあることでディスコミュニケーションがなくなる。

スケッチもプロトタイプ、そのへんにあるものをあつめて作るのもプロトタイプ
ソフトウェアと違って、ハードウェアもそうなっていく。

振り子、
問いと答え、違うことを振り子のようにいったりきたりしながら
物作りをしています。

Tokyo オフィスだけでなく takram LONDON を作りました!