3/04/2015

[&] Watch Face Design Guidelines (by ustwo)



ustwo が教えるウェアラブル端末の時計文字盤デザインガイドライン。
まずはインタビュー記事の日本語翻訳版です。
デザインガイドラインそのものは鋭意翻訳中!
(4/14追記:デザインガイドラインの翻訳も公開しました!
 http://memo.goodpatch.co/2015/04/ustwo-designing-watch-faces-for-android-wear-jp/

●重要なのは、ちら見で済むこと
●明るい色で大胆なデザインに
●ストレステストを充分に
●画面表示の限界や特性を知ること
●個性をもたらすカスタマイズ性を

■ 時計文字盤のデザインガイドライン

WATCH FACE DESIGN GUIDELINES
By Shaun Tollerton 25 February 2015(日本語訳 Yukio Andoh)

訳注:UK/NYを拠点とする著名デザインスタジオ uwtwo の Shaun Tollerton さんが、Android Wear のデザインに関する素晴らしいガイドラインをまとめました。そのガイドラインに関するインタビューを Shaun さんの了解を得た上で、日本語で紹介するものです。
( 原文 : http://wear.ustwo.com/stories/2015/2/25/watch-face-design-guidelines )
ガイドラインそのものは現在翻訳中です。乞うご期待。まずはインタビューの翻訳版です!

----------------------------

昨年12月、ustwo は Android Wear 用文字盤アプリの第一陣をリリースしました。ウェアラブルテクノロジーのためのデザインに飛び込むというニューヨークスタジオの初めての挑戦でした。時計仕掛けのフレームワークのリリースに続いて、Android wear 用文字盤の輝かしいデザインを可能にしたガイドラインを発表できることを喜ばしく思います。このガイドラインにはコンセプトの構築から商品展開までの全てのノウハウが詰まっています。ustwo のプロダクトデザイナーの Shaun Tollerton が設計ガイドラインを簡単に紹介します。



■このガイドラインはなぜ作られたのですか?

我々は2014年初頭から Android Wear の文字盤デザインに取り掛かりました。そして多くのことを学びました。ガイドラインは我々が学んだことを総括・共有し Android Wear の文字盤デザインが次の段階へレベルアップできることを期待して、コミュニティに還元するためのものなのです。

■Android Wear の文字盤デザインに対するあなたのデザイン工程と係わり合いについて少し話してください。

ずっと昔から時計の大ファンで、Android Wear の文字盤デザインをできる機会に恵まれて、非常に興奮しています。文字盤に情報をまとめることはとてもやりがいのある挑戦ですが、どう実現するかについて考えるべきことが、たくさんあります。今は、なんだかとても新しい手法を生み出せた気がしています。Albumen を例にしてみましょう。カレンダーの行動予定の12時間分を昔ながらのアナログ時計の文字盤に表示してみます。もしかすると表示するには膨大な量のデータかもしれません。予定のタイトル、概要、参加者、場所情報、などがあるでしょうからね。そこで我々は情報を、会議の長さによってシンプルに形作られる「染み」に抽象化することにしたのです。こうすることによって、ぱっと見ただけで持ち主は今後12時間のうち、どれくらい忙しいかがわかるのです。文字盤デザイでもう一つ考慮が不可欠なのは、その見栄えです。腕時計はスマートフォンのアプリと違って閉じてポケットにしまうといったものではありません。むしろ持ち主の自己主張なのです。時計はつけてこそ意味があります。こういったことが Google の Android Wear 設計ガイドラインの中でも語られています。


美意識を持って重要な情報をまとめること。それが文字盤デザインで考えるべきキーポイント

■ デザインガイドライン中に収められている最大の発見は何ですか?

ガイドラインは、デザインの基本原則から商品展開までの5つの章から成り立っています。基本原則の章では、最大の発見は Glanceability(ちら見)であると書かれています。よくある間違いは、多量の情報を小さな画面に一度に詰め込もうとすることです。持ち主には時計をちょっと見るだけで、全てを読み取る時間なんてないのです。とりわけ腕時計のような小さなスクリーンでは。UI 要素の縮尺も見過ごされがちです。27インチの超高解像度ディスプレイ上にズームしていろんなものを足していくことはできますが、たった4cm程度の画面に画像を置いてみたときにがっかりするのです。経験から学んだことは、全ての要素は極端に明るく大胆にすべし、ということです。


全ての要素デザインは、時計の上で映えるように明るく大胆でなくてはならない。

■ それでは、チームがハマった最大の失敗は何で、デザインガイドラインではそのことをどのように述べていますか?

我々は時間を表示するのに、斬新な方法を試して楽しみました。いくつかの設計は抽象的な方向に少し行き過ぎてしまうと、「いま何時だ?」という単純な質問にも答えられないものになってしまいます。こういったことの再発を減らすために、チームで新しいコンセプトのスケッチとレビューをすることにしました。こうすることによって、我々はどの設計に可能性があるか、どれが明らかにダメなのかをはっきりさせることができました。他の人もこれが試せるように、スケッチ用のワークシートを用意しました。デザイナーは(四角と円形に対応した)スケッチができ、おおまかに正しい縮尺も確認できます。



■ ある章では「ストレステスト」について書かれています。これはどういったもので、文字盤デザインにどうして重要なのですか?

デザインしたものは、様々な局面を想定していなければなりません。例えば、非常によく見過ごされがちな場面として、表示すべきデータがない空の時、丸一日など想定外の時間帯、イベントの重複、などがあります。ストレステストというのは、防弾装備みたいなもので、リリース前に設計を確証し、否定的な評価を未然に防ぐために行います。



■ ガイドラインでは文字盤デザインの際に考慮すべき制約についても言及されています。最もやっかいな制約は何ですか?それをどうやって克服しましたか?

ピークカードは Android Wear の欠くことのできない機能の一部です。ピークカードは文字盤の上に現れるものですが、持ち主が単に時間を確認するだけなら、わずらわしく感じるかもしれません。文字盤の設計者は、重要な情報は画面上部に配置して見えるようにし、下部に表示されるピークカードをうまく順応させることができるでしょう。または表示サイズを変えたり、透過性を調整したりすることも可能です。「Next」のようないくつかの文字盤では、カードを再配置しています。

また、制約にはハードウェア的なものもあります。Moto360 には画面下部に 30ピクセルの黒い縁があります。我々は特にデザイン要素を動かしてこれに対応する必要性はありませんでした。とりわけ画面が四角い LG G Watch R には縁がありませんが、考慮すべき点はありました。例えば「Air」には 30px のパディングがあり、縁のせいで表示が切れてしまわないようになっています。Moto360 で他に考えなければならないのは、面取りされたガラス面の表示でした。スクリーンの端で要素がゆがんだり切れてしまったりしないように、それぞれの要素が縁に近づきすぎないように配置しました。


Moto360 の画面の切れ目

■ ustwo が文字盤アプリの第一陣をリリースしてから3ヶ月がたちますが、評判は今のところどんな感じですか?

我々の文字盤アプリは5万個以上インストールされており、素晴らしいご要望も返ってきています。くっきりとしたテーマとカスタマイズ性が人気です。購入者の皆さんには非常に気に入っていただいています。もっとたくさんの時計デザインが欲しいと言われます。色、タイムゾーン、日付、バッテリー状況、ピークカードの表示調整、あらゆることについてです。全てのご要望を次のコレクションを更新する際に参考にするつもりです。

■ ustwo は今後デザインガイドラインの更新版を発表する予定ですか?

もちろんです。我々はコミュニティにお返しがしたいのです。これからもコミュニティからのご意見を取り入れながら、新しい発見を共有していきます。

「Glanceability(ちら見で済むこと)、データを上手く扱い、カスタマイズ性があることは、機種に関係なく、いかなるスマートウォッチの文字盤デザインにも必要不可欠な要素です」


ustwo のプロダクトデザイナー Shaun Tollerton 氏のインタビューより。許可を得た上での翻訳記事です。
(原文 : http://wear.ustwo.com/stories/2015/2/25/watch-face-design-guidelines )