2/14/2016

[&] FITC 2016 - Ori Elisar



FITC Tokyo 2016 Day2
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「リビングランゲージ」プロジェクト
with Ori Elisar
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http://orielisar.com/

イスラエルから参りました。
皆さん、手をどうしたの? クルマの事故にあってしまいました。
止まっていたクルマに向かっていってしまいました(笑)

本日は私のプロジェクトである、リビングランゲージを紹介します。
エルサレムの大学での学術論文です。
ヘブライ言語、考古学に関して学んでいました。
どちらの分野においても、ヘブライ語に魅力を感じて勉強してきました。

言葉の起源、仕組みなどについて勉強してきました。
その後、タイポグラフィーを勉強。
ビザレル美術大学に入り、言語の見かけについて
視覚的側面について目を向けることにしました。

自然からインスピレーションを受けたデザインというのが
私の興味の対象でした。
通常、一つの分野で疑問がでたら、他の分野から
解を導き出そうとしていました。
自然の形状や線に、魅力を感じています。
自然の形状に目がいくのです。

また、ヨーロッパにおけるアールヌーボの影響をうけており、
私の作品にも影響を与えています。
アールヌーボーの一つとして、タイポ、建築、
プロダクトデザインにもアールヌーボの影響が観られます。

有機体を使ったプロジェクトができないかと考えました。
一番最初の実験はキッチンで、フートプロセッサでカビを
育ててきました。
ボルテックス最近に出会いました。テルアビブ大学で
扱うことができました。

ヤコブ先生のラボで一緒に働くことになりました。
この最近は知性がたかく、美しい最近です。
処置の仕方、ツールは方法論など、非常に注意深く扱わなければいけない
繊細な最近です。

これが一番最初の実験、
ヘブライ語の一番最初の文字。
これがアルファベットの最後の文字であるという皮肉にもなっています。

科学者として、デザイナーとしてやっていくことを考えました。
まったく知らないツールや方法論を使っていこうと考えました。
普通のメソッドとは違う、長い旅路を進むことになりました。
何が言いたいかというと、自分の世界以外のツールを使ったとしても、
ちゃんと自分としての解は出るよ!ということが言いたかったのです。

いままでの古いやり方ではなく、ユニークでスマートな解を
出すことができます。

生物学というのはアルゴリズムで出来上がっています。
この生物学の美しさというのは、
無作為にいろいろなことが起こっていて、
いろいろなパターンを生み出すことができます。
ただ、これはプロジェクトそのものの目的ではありません。
タイポの世界で解を求めている事柄がありました。

デザインを科学的な実験として試すことにしました。
研究室の皆さんがいろいろ教えてくれました。
プロセスとしてどうしなければいけないか、
生物学のコツも教えてくれました。
自分自身の質問に回答を得るような実験をしてみました。

具体的にどうやっていったのか、プロセスを紹介します。
実験で培地を作ります。
ペトリ皿の中に作るものです。
培地の中で寒天を使っていきます。
そして、細菌のえさになるようなものを入れます。
細菌は自由に移動できます。
ペトリ皿の中にバクテリアを入れておきます。
文字をかたどり、それにしたがって作業していきます。
免菌環境で実施します。

視覚上の行動を完全にコントロールできる環境で実施しています。
媒体、培地、えさの量を変えたりすることができます。
バクテリアの量も調整することができます。
このプロセスの後、羽化デバイスを入れておき、
時間の調整も可能です。

500のペトリ皿の実験を何度も制限することができます。
有機物なので、結果はちょっとづつ違っていたりします。

2500年前の古代ヘブライ文字、
この細菌を用いて、古代ヘブライ文字が、現代の文字に
変化してきた様子を再現できないかどうかと考えました。
昔ながらのやり方ではなく、あえて有機物を選びました。

上の文字は、古代ヘブライ文字「ネム」になります。
海の波の様を示しています。
ヘブライ語では、水のことをマイムと読んでいます。
波の様子を示しています。
まずは、古代ヘブライ文字で形作りました。
細菌のえさの形は、近代文字の方で形を作りました。

このように細菌にたいしてエサを配置することで
変容を作ること、変化をとらえることができるようになっています。

これが次のステップです。プレートに色を着けます。
透明の青の色を入れています。
プロセスを固定するためには、色を入れ、そうするとプロセスがストップします。
色も着けることができ、バクテリアの進化を停めてしまう薬品も入っています。
アートの哲学では、青は、開放、自由を示します
すごく面白いと思います。

ペトリ皿の中のバクテリアは自由に動いているわけです。
えさもあり、自由に動き回っています。
バクテリアの目から見ると、自分でコントロールできていると思っています。
しかし、ペトリ皿の中で、望む形状になっていくのです。

わたしが与えた形に向かって、私は神のような立場です。
私自身も言語のルールに縛られていきています。
私自身、かなり厳しい条件、殺菌状況の中で実験しています。
つまり、私も、細菌も言語の壁の中で暮らしているということです。

それ以降、いろいろやってきたプロジェクトがありますので、
是非見てみてください。
かなりはっきりと形が観られると思います。
これも古代ヘブライ文字のプロジェクトで完了しなかったものです。
失敗かもしれませんが、こちらの方が美しく見えます。
500プレートありますが、Webに掲載しています。

私は進化をとらえる意外に、いろいろ疑問を持っていました。
バクテリアがいろいろなフォントとどう反応するのかを
見て行きたいと思っていました。

ただ、その疑問に対するしっかりとした回答はありませんでした。

今度は、このプロジェクトをどう展示したら良いのかを考えました。
美術館の中にラボ環境を作るのが良いのか?と考えました。
ご紹介した内容を示すだけになってしまいます。
なので、違う世界から表現してみようと考えました。

自然科学博物館という設定で展示してみようと考えました。
自分のアイデアを表現したい時、
今までとは違うオーソドックスではない方法を使ってみてください。
どんなツールを使ってみようかな?と思ったとき、
面白いと感じる素材を手にしてみてください。

自分が色を選ぶ時、素材を選ぶ時、特定のツールを選ぶ時、
その意味も考えて選んでみてください。

もう一つ、最終論文の一週間前にパソコンにお茶をこぼすのも
オススメです。限界環境でどうクリエイティブになるのか?
コンピュータ無しでもデザインできるようになる。
そういうクリエイティビティを発揮することができるようになります。