8/28/2014

[&] Design dot BEENOS Vol.3 - freee (sousuke sekiguchi)



Design dot BEENOS Vol.3
「会社の成長とUXのスケーラビリティ」
freee UX Director 関口聡介
http://designdotbeenos3.peatix.com/

クラウド会計ソフト freee という会社で、UXディレクターの関口です。
すばらしいオフィスで、なんて綺麗な見晴らしの良いオフィスなんでしょうか。
いろいろちょっとありがとうございます。
この話しが来た時に、どんな話しが聞きたいのかわからなかったのですが、
僕がやってきたこととか、多少 UX の話しとか、懇親会で話せる内容につなげていければ。

今日ってどれくらい話せばいいんですか? 1時間と言われ、
一応用意はしてきましたが、かるく 20分くらい。

今日は、ほぼほぼ私がやってきたことを
UX的な視点から話します(たぶん)
スタートアップに関わる UX,
自己紹介。UXおじさん。どう振る舞ったりすれば良いのか。

クラウド会計ソフト freee フリー、話題のスタートアップ。
調度エンジニアが 20人ぐらい、全部で 4-50人、
ローンチから1年でこれくらいなので、急成長かなと。

2000年〜
なにを勘違いしたか、起業する。
どういった会社か? CGを作りながら、事件の再現CGみたいのを作って、
テレビ局に納品するという仕事をやっていました。
本業は 3DCG とかビデオパッケージを作るお仕事。
おいしいごはんを食べていた時期がありました。

短い映像素材って数秒とかの短い間に
視聴者の眼が一瞬でどこにいくとか、
そこで何をアピールするとか、
結構今のお仕事に通じるところがあった(気がする)。

ユーザーが画面や操作ボタンを見て、どういうふうに認知しているのか、
そのころから興味をもって、進めてきた。

なんだかんだあって、2007年 Google に。
当時は、日本オフィスに UX チームが無くて、渋谷オフィスで
200人ぐらい、唯一 UX デザイナーという肩書きで入り、
そこで仕事を始めた。NYには UXチームがあって、
その頃はまだ小さいチーム。
デザインに関しては、それぞれの国で、マーケティングが外注したり、
思い思いに進めていったころ。その頃の日本オフィスに居たので、
プロダクトマネジメントが5人くらい居るチームに入って、
彼らから要件があれば、画面のUIを作るのが Google で最初にやった仕事。

当時の Google は、今は失われてしまいましたが、
組織図を持たないというポリシーがあって、
小さなエンジニアのプロジェクトの何人、このプロジェクトの何人とか、
うまく機能していればいいという考え。なんというかプロセスなきプロセスという
カルチャーを持っている。

とはいえ、Google は設立して8年経っていたのですが、
そういう感じで機能していた。
そのへんはエンジニアの個々の意識の高さが寄与していて、
そういうのを採用の時に、ハイレベルで採っているのですが、
グーグルらしさを凄く重視する、そういうところが、有機的につながっていくのに役立っている。

実は 2007年に Google に入って、その前にサンマイクロシステムズに居て、
サンも良い会社で良い人材がたくさんいるのですが、Google の人材は圧倒的に凄かった。

あえて、組織化しなくても、個々が意識を高めて大局を見ながらやっていけば、
いい組織になるんだろうというのを見据えてやっていくのが理想かなと。
Google は何千人も居るのにスタートアップに近い。
freee に入って、またそのことを思い出している。

2007年、Project Yebisu のお話し。
いろいろやったのですが、これが大きなお話し。
名前からわかるように、日本オリジナルのプロジェクト。
当時検索のトップページが真っ白。一日に 9000万PV,
これを日本向けに改修するプロジェクト。無理..... ほんとうにそんなこと出来るの?
世界中どこにいっても Google のホームページ、真っ白なのが良い。
ブランドイメージの象徴であった。それを変えようというプロジェクト。
シンプルだけど重いプロジェクト。

プロジェクトのゴールは、
アメリカや Gmail やカレンダーも伸びていて、シェアを奪っている状況だったのですが、
日本の市場において、すごく弱い。2007年の頃は Yahoo! Japan の後塵を配していた。
Yahoo!風が好まれていて、検索広告で儲かっていたが、
会社のビジビリティ、プロダクトディスカバリビリティを上げる。
トップページに来た人は、Gmail やカレンダーを出して、
知ってもらおうとしたのが Yebisu プロジェクト。

当時 9000万PV を改修するのが辛くて、
ひたすらモックを作り続ける日々。
慎重に検討し、なんとか良いもの.... というスタイルで始めましたが、
とにかく出していって、それを良くしてばいいのではないかとマネージャーに言われ、
アウトプットの大切さを学びました。

アイトラッキングは魔法のツールだった時代、
世の中にはやはり魔法なんてなかった。
やたらとコストがかかるから魔法扱いだったという説も。
当時は、それさえやれば、テスト結果がばっちりという考えがあったが、
アイトラッキングからはそんなに得るものは無かった。

いろいろやってみた結果、
こういう画面を最後にうっかり出しました。
微妙ですよね。
白いページにこだわりをもっている人が多く、
プロダクトやリンクをつけたりしましたが、結果としてこの辺に
落ち着かざるを得ない。半年ぐらいたって、この画面にたどり着きました。



トップページとして、1年くらいこのページでした。
Google 急上昇ワードとかも表示していました。
100ぐらいのモックを作ったと思います。
最終的には Google も今見ると分かると思うのですが、
プロダクトのリンクが並んで、one-Google という名前だったのですが、
真っ白に戻ったのが最終的なオチです。

Mozc プロジェクトのお話し
一年後ぐらいに Mozc プロジェクトが始まりました。
Google 日本語入力。皆さん使ってますか?
この UIを担当しました。
この画面だけというわけではありませんが
裏にある設定画面とか、タブを押した何ミリ秒あとにサジェストを出すとか、
Google 検索とのサジェストとの関係とか、これはこれで時間がかかったプロジェクトでした。



ここまでが自己紹介です。

Google で働くようになって、2年目ぐらい。UXチームが日本にも出来ました。
Google 社内の UX ってどうなっているの?とはいえ、どうなったかというと、
それぞれ UX デザイナーが 2人、東京に入って、それぞれ担当範囲が決まって、
でも特にレビュー体勢ができたわけではなく、プロセスが決まっていたわけではなかった。
意見を吸い上げつつ、ひたすら画面を作っていくのをひたすらやるチームが日本にもできた。

UXで作られた日本人に合っていない UI を日本向けに最適化するのは
結構やっていました。
会社がどんどん大きくなって行く中で、リソースがどうしても限界があるので、
比例して増えていく、スケールしないなと。
でも、グーグルは仕事が増えていくのに、製品を良くだすのに、
デザイナーを増やさずに3人でヤルんですよ。
個々のエンジニアの意識が高いので、ガイドラインを提供すると、
ある程度ハイクオリティのものが出来上がってくる。
UX専門の部隊が手直しするだけで、ある程度クオリティを守りながら、
いろんな画面ができてくる。それが Google の社内 UX の学べるところでした。
どうしてもデザイナーは時間がかかるので、こだわりすぎて時間をかけてしまい、
専門知識も必要だが、ある程度のレベルまではエンジニアの意識を底上げ
してあげるだけで、学びがある。

ぶっちゃけ最初は思い思いに作っていて、
その思い思いのレベルが凄い。
UXチーム自体は組織としては無くなりました。
Map とか Gmail とか、Google+ とか、社内でプライオリティの高いプロジェクトが
一人一人アサインしていく、そこだけでやって、
他の小さいアップデートは、それまでにガイドラインを整備しておいて、
個々のエンジニアがやってしまう。最終的にそこまでできるとすごい。
UX は最終的に無くなってしまえばいいんだという考え。

さて、7年も Google にいたら.....
「飽きました」もういいよね。
Google 時代の友人、佐々木大輔。freee というのを始めた。
すごい面白そう。ここに居ても得るものは無いかなと思って、
共通の友人が結婚式で、久々に再会して、
UX の人が欲しくて、口説くことを決めていて、二ヶ月ぐらい悩んだ後に freee にジョイン。
今年の 2月。今年の 1月は有給を使って、freee でボランティアで、手伝っていて、
うまくフェードインしていった感じでした。

スタートアップだから新機能ばんばんリリースするし、
当然作らなきゃいけない画面がとくに多い。
デザイナーも居なければ、UI/UX の人間も居ない。
エンジニアが個々の考え方で実装していた。
エンジニアの資質は高く、人によってばらつきはあれど、
UIに体する意識は高い。

結構人によるじゃないですか。UIをないがしろにする人と、
変にこだわりを持つひとと分かれるじゃないですか。
会計ソフトなので、むちゃくちゃ機能が多いんです。
元帳を出すとか、簡単な機能から難しい機能まで。
悪くはない。最悪な感じは無いが、統一感が無い。
統一していかないとマズい。
そして画面を作らされる毎日が続く、
エンジニアの意識を底上げして皆ができるようにならないと、
このままいくと死んでしまう。
人を増やす?それは愚の骨頂。

その後、山田サンが来て、そんな毎日。
寝る間を惜しんでひたすら画面を作る日々。

まとめ:スタートアップで UX おじさんがやるべきこと。
結局、やっぱり人一人ができる、2人になったらこれができる、
追いかけていっても全く意味がない。
そこをなんとかするには、ガイドラインを作るとか、
UXの啓蒙活動をするとか、新しいチャレンジ、
毎月小さいユーザビリティテストをやっている。
あんまりテストを信頼してなくて、その回の4-5-10人くらいの
呼んだ人によって、ぶれる、そこにフォーカスしすぎないで、
それがエンジニアと共有できていることが重要で、一つの啓蒙活動。
ユーザビリティテストの内容は、テレビで皆で見て、
エンジニアの方にもみんなで居ながら、ああじゃないこうじゃないと議論します。

1.とにかく啓蒙活動が大事。
2. 仕組みづくり、どのタイミングでレビューするか?
手戻りを一回にするのを目標に。
3. 忙しいアピール。エンジニアがなんとかしなくちゃと思わせる。

皆さん出来上がっている組織にいるかもしれませんが、
一つの参考に。