9/10/2010

[&] DESIGN DOING

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DESIGN DOING

「Design is a verb, not a noun.(デザインは名詞じゃない、動詞だ)」

https://www.liaison-center.net/?p=1682

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、イノベーション・デザイン・エンジニアリング
Professor Miles Pennington

各部長と教授をつとめています。
デザインは名詞じゃない、動詞だ」が今日のテーマです。
どのように考えているか。教育であると産業界であろうと、
イノベーションにはどういう原則が必要なのかを説明します。

RCA & IDE
IDE Key Elements
Ambition

RCA について。西ロンドン。
子供のころは、ロンドンの煙で真っ黒だった。
黒いレンガを特注してビルを作った。
2012にダイソン財団がスポンサードした新しい建物ができます。
RCAは 1837年に始まりました。政府が職人にデザインを教える
18-19歳くらいの学校だった。
基本的な考え方は文法や言語である。
その言語を学ぶために学校にくる。
文法や単語を知れば、なんでもデザインできるようになるというのが前提。

その後、大学としては有名な卒業生を出しています。
David Hockney 他、有名で才能のある卒業生を出している。
Ridley Scott グラフィックデザインの卒業生。ブレードランナーは大きな影響を与えた。
Thomas Heatherwick 2000年デザインプロダクト学部を卒業。
上海万博の英国館を手がける。
takramの田川さんも RCA の卒業。非常に優秀で、助けは必要ないと思ったほど。

デザインとイノベーションから学生が新たな試みで
修士課程に 70人。
学部について 19の学部で構成されています。
ペインティング、ガラス、彫刻、応用、デザインインタラクションにまで及ぶ。
カレッジ全体で 900人。他の大学に比べると数は少ないが、
集中的に質の高い教育を受けられるということを意味している。

Innovation Desing Enginnering
RCAと ICL のジョイント。
RCA のデザインと ICLの技術的な専門的知識を得られる。
IDE 30周年。創立者。エンジニアに対してデザインを教えることができるのか?という試み。
当時単に議論を呼び起こしただけではなく、革命的と言われた。
デザインを志す人に対してもエンジニアリングを教えることができた。

30年前のデザインを振り返ってみる。
デザイナーは仕事の要点を与えられて、作業して、作業して、
制作担当のエンジニアに成果物を渡して、
部門間のコミュニケーションは限定的なもの。
80年代はデザイン発展の年。デザイン事務所が発展した年でもある。
デロリアン、Macintosh, Walkman
デザインの影響力はおおきくなった。
デザインのスケールもスキルも大きくなった。
デザインは成功の為のポイントとなった。
戦略的な計画にも関わるようになった。
デザインは商品の発表に影響力を持つようになった。
デザイン Thinking は普遍的。
企業は全てのレベルでデザインとエンジニアリングとビジネスを統合させる必要。

新しいタイプのデザイナー。
深い用件に応える人材を導く。
実際にクリエイティビティを駆使。
先端的なプロダクト、実験の場と考えて、
プロトタイピングに力を入れる。
「デザインは名詞じゃない動詞だ」

求める成功を達成するためのキーワードがあります。

Diversity
Experiment
Design
Enginnering
Proving It
Edge

正しい環境を作り出すための要素。

●DIVERSITY

多様性。
全員が同じに歌ったらハーモニーは生まれない Doug Floyd
全員からアイデアをもらう。
他者と違うことがアイデアのみなもと。
さまざまな背景の学生が集まる。多種多様となることを目指している。
機械系のエンジニアだけではなく航空宇宙のエンジニアを受け入れるなど。
グラフィックデザインも、3Dデザインなども。
非常に多様性のある背景。新しい要素となっている。
複雑な異なった文化背景を持った人を集めようとしている。
もう1つの多様性は、文化と背景。
5-10年、世界的に関心が強まっている。
パキスタン、メキシコ、韓国などさまざまな学生が集まるようになった。
異なったアプローチ、アイデアをもって集まる人々が多様性を持たないはずがない。

「あなたが失敗しないとすれば、革新的なことをやっていないから」Woody Allen
失敗を恐れずに、結果を知らずに何かを求めることが大事。
学生には素晴らしい失敗を求めている。
失敗してもいい、それがイノベーションの鍵を提供すると思えるから。

産業界に対して、どのようなアプローチがあるか?
産業界はリスクを伴うので、あまり挑戦的ではない。

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模倣。差別化。外見上ちょっと違うもの。反復。少しづつの変化が継続しているもの。
かなり大きな変化が及ぶイノベーションは凄く小さい。実験。
学ぶための手段をとっている。
成果物を、市場にとらわれずに革新に挑戦することができる。
最終商品を求めているわけではない。
将来性がどこにあるのか?
開発に対して、複数のドアを見つけること。
概念のための概念ではない。

ビルの中で縦に動かす実験。Romburt Frieling 氏。
Flupper という仕組み。下におりる時のエネルギーを蓄積しておき、簡単に建物を登れる。
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商業化にむけたプロジェクト。
エレベーターメーカと協力してプロジェクトを進めている。

●DESIGN
非常に定義が難しい概念。
デザインの意味が広く。
タッチポイントを持っていて、デザインとは何?

すぐれたデザインは、商品、色彩、形、材料、機能という様々な形で表現できる。
メリットを提供できる。優れたデザインの側面を示している。
最終的には「喜び」を提供するのが共通している。
 Professor Ranulph Glanville
優れたプロジェクトで喜びを感じたい。
SENSE - Katrien Ploegmaker 食卓の作品。

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良い香りが食卓で感じることのできる作品。
お茶をドラマチックに楽しむとともに、保温できる仕組み。
二重のカップに伝わり、保温できる仕組み。見るのも楽しい仕組み。
科学の力と、素材と形を工夫して、すばらしい体験が得られる例。

●ENGINEERING
エンジニアリングの伝統に強い学部である。
エンジニアとデザイナーは協力する必要がある。
そして、デザイナーとエンジニアがお互いに話始めないと、
何も成し遂げられない。
RCA の学生がウェリントン公の葬列のデザインをした。
なかなかの物だったが、車輪が外れてしまった。
つまり「デザイナーとエンジニアがお互いに話始めないと、
何も成し遂げられない」ということ。

工学部をコースの中に導入するために GIZMO という講義を担当している。
ギア、ベアリングなどについて学ぶ。
3つの要素を使った機械を作らないといけない。

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それを実際に作る前に計算で生み出さないといけない。
まじめな製品作りではないが、学生達がおもしろがって作る。
学生は考え始め、協力し合い、イノベーションをより容易に実現できる。
カクテルを作る装置とか。
(私は飲みたくないですけど)
誰も作ったことが無い装置を作って、かなり複雑な動きを実現することができた。
学生に自信を与える。

Gregg Epps は、あたらしい金属の折り方を発明しようとした。
Robofold という型押ししなくても、金属を曲げるしくみ。車の車体など。
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ロボットが圧力を加えて、金属で折り紙を作るようなもの。
製品というよりも、プロセス技術。
生徒にはこういうものを期待している。

● PROVING IT!

新しいことをしようとすると、まわりから懐疑的にみられる。
実証しないと、考え方を支えてもらえない。 Larry Ellison
コンセプトであっても、何かの形で実証、稼働を証明しないといけない。
必ず実証することを求められている。

Duncan Fitzsimons - Folding Wheel
車輪の再発名。小さい車輪の折りたたみ自転車はあるが、
載りやすい大きい車輪をもった折りたたみ自転車を考えた。
車輪も折り畳める車輪を考えたもの。
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実際に自転車に載ってもらった。何回これを見てもちょっと怖い。
最初の原型プロトタイプ。
車いすメーカーのニーズが高かった。
飛行機の中に手荷物として持ち込める車いすを考えた。
小型の畳める、小さい車いすを作りたかった。
願わくば、製品となることを期待している。

次のアイデア。
TONGUE SUCKER 舌の吸引装置。
意識を失った時に、のどに舌が詰まって窒息死しないように防止する装置。

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もうこれ以上、救急キットは要らないと言われた。
実際に救急車が到着する前に舌を巻き込んで窒息しないように。
簡単そうに見えるがかなり複雑なプロトタイピングを経て完成した。
3Dプロトタイピングをやろうと考え、
どう舌を動かすのか?舌そのものをどかそうとした。
医療用マネキンを作ってテストしました。
2世代目のプロトタイプは舌を挟むか吸引するかどちらにするか決めた。
二世代目のプロトタイプを牛の舌でテストした。
挟むよりも吸引の方が良いと判断された。
ワックスやポリウレタンを作って最終的なデザインを決めた。
三世代目のプロトタイプは舌の大きさ、吸引部分大きさなどを
何度も研究した。舌の一部だけを吸引すると細胞に良くない。
血流を損なわずに舌全体を飲み込まないようにした。
プロトタイピング、それぞれの段階でテストした。
実際事故の現場を再現して、精神的なプレッシャーの中で
装置の使い方が分かるようにするのか?
最終的に吸引方式が有効であるということが分かった。

●EDGE

最後の要素はエッジです。
イノベーションは人類全ての重要な部分である。Ted Levitt
Innovation is the vital spark of all human change, improvement and progress"
あたしい経験や機械に関わっていきた。
デザインのグローバル化に対する活動。
デザイン、デザインの活動もグローバル化している。
学生を地元の大学に送る GO GLOBAL というプロジェクト。

筑波大学と協力した例。
感性工学を研究している。
食品の未来を考えるプロジェクト。
地方で食料を栽培するのではなく、都市部でビルの屋根などで食料を栽培。
野菜のようにタコを栽培できないのだろうか? など
楽しく食品の可能性を検討した。
機械工学のバックグラウンドを持った人なども協力。

西アフリカのガーナの大学と協力したプロジェクト。
デザイン会社のモデルを途上国向けのプロジェクト。
2010年、精華大学、都市/地方プロジェクト。
地方に学生を送って、何日間か泊まらせた。
とうもろこし共同農家に泊まらせた。地方に泊まって
地方に必要なもの。地方と都市部を精神的につなぐようなもの。
人の談話を録音して再現するようなものなど。
国際的に考え、行動し、自信を持たせるプロジェクト。

Sustainability 持続可能な技術を模索する。
学生は環境問題に意識が高い。
いくつ地球があれば、今の生活を維持できるのか?
なるべく自分たちの活動で、環境に悪影響を与えないものにしなければならない。
エネルギーをあまり使わない生産方法を考える。
自然のプロセスで物を作れないか? 石灰化。
泥状のものにバクテリアを入れると、石灰化のプロセスを加速する。
柔らかい土をどうやったら固くできるのか研究。建物の基礎に使える。
今までの方法以外の物作りがあるのではないか?

ゴミの問題を取り上げる。
トースターやヘヤードライヤーなど。小さい家電は直すよりも
新しいものを買う方が早くて安いと言われる。
サスティナビリティ・トースターを3つの方法で考える。

1番目:耐久性を長くする、何世代も使える、修理しやすい、つくり。
カウンターがついていて、何枚焼いたのか、数えられるトースター。

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2番目:実際主義。消費者は故障したトースターの部品を
郵便で送り返して、新しい部品を送ってもらう。
郵便ポストに投函可能なサイズにする。

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3番目:現実主義。グローバルな会社が大量生産しているもの。
解体が容易にできるもの。パチッとはめ込む部品で作られている。

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Edge: Systems Thinking

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1. Business model
2. Networking
3. Enabling process
4. COre process
5. Product performance
6. Product system
7. Service
8. Channel
9. Bland
10. Customer experience


企業によって色々なアプローチをとっている。
イノベーションの状況をマッピングしてみると、
ほとんどは製品に関するサービスそのものに力点がある。
新しい製品を考えて、それを売ることによるもの。
一方、付加価値はどこにあるか考えるか? デリバリーモデルの方に革新性がある。
彼らの影響力がどれくらい公使できるのか、
 外から内側に向かって影響を与えるよう、考えてもらいたい。

これを「デザインエンタープライズ」と呼んでいる。

XIUZEA :Gianpaolo
女性の貧困度の高さ。肥満の問題。
実際に全ての潜在的な利害関係を把握するところから始めた。
路上の食品販売システムを考えた。どうやって資金調達するのかも考えた。
システム作りの後にブランド作りをした。外側から内側へのデザイン。
機能性よりも、むしろ、色々なリサーチをした結果「ツール」を作った。
食品の開発にもスキルを発揮した。

自分で起業する人も、企業の中でコンサルタントとして働く人も。

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Omlet :Johannes Paul, Simon Nicholls, William Windham , James Tuthill
都会に住む人にニワトリを貸し出すサービス。
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Edge: Tangible Futures
学外のパートナーと接触し、企業と、将来のチャンスを獲得する。
新しい形で「手で触れられる未来」プロジェクトを進めている。

vodafone: futureagenda http://futureagenda.org/

自宅が電気が無い時にどうやって明るくすることができるのか?というプロジェクト。
太陽の恵みを共有する。どこかに常に太陽は照っている。
オプティカルファイバーを使って、多用なエネルギーを活用できる。
世界の色々な地域において可能ではないか?
全世界で太陽の光のエネルギーを共有できないだろうか?都市を明るくできないだろうか
ネットワークの構築。太陽の恵みの共有。
Sun Sharing : Hong Yeul Eom, Yan Lu, Gaetano Ling
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Edge: Social Enterprise
全てがメインストリームではない。
社会的企業のイノベーションにも興味を持っている。
企業はただ営利目的を持っているわけではない。
Clare Brass: SEED Foundation を運営。
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Seed モジュールというのを考えた。
都市のコミュニティ、そこに根ざすプロジェクト。Bee というプロジェクト。
最近ミツバチの数が劇的に減っている。
これからミツバチを飼育していこうという。
コミュニティを都市でも形成していこうというもの。
ある程度商用的な魅力のあるもの。
ミツバチのことを人々に啓蒙していく。
一般の人々がミツバチ関係の商品を買っていく。
システムは重要であるが、学生達に求めているのは、実社会としての接触。
教育的なプログラム、ブランディング、どうブランドとして発展させていくか?
実際に一般の人がお店に来て、ハチミツを買うと、種がついている。
ミツバチにとっての植物を育てることにつながる。

D-Light : Robin Chilton
インドの農村地域に対して、太陽光で発電した電気を売っていく。
灯油のランプに比べて扱いやすく、安い。空気も汚さない。
http://www.dlightdesign.com/dataDoc/media/dlightpresskit-updatedJan10.pdf

我々は学生にイノベーションを起こすよう、促している。
卒業後の進路は多様化している。

”There is no book of spells, ... but there is magic"
Ranulph Glanville Visiting Professor IDE
学生が道を見つけるための導きを見つけること。
呪文の本というものは無いが、そこには魔法が働いているんだ!