12/28/2016

[&] 5 books the head of MIT Media Lab thinks you should read



年末年始の読書のオススメ。
MIT Media Lab 所長の Joi Ito 氏が年末に推薦する、2017年読むべき5冊。

"Deep Work" by Cal Newport
"Change Agent" by Daniel Suarez
"The Industries of the Future" by Alec Ross
"The Seventh Sense" by Joshua Cooper Ramo
"Wonderland" by Steven Johnson

日本語訳が出ているものは下記の2冊。

●大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法



●未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった(アレック・ロス)



残りの3冊もそのうち翻訳されるような気がするのですが、
まだ翻訳権が取られていないのであれば、出版社の皆さん、是非日本語訳を!

日本語訳がまだのものは、同じ作家の前の作品がオススメです。
未来を知るためにはSF小説も読むのだ!というJoiの姿勢は素晴らしいと思います。

●ダニエル・スアレース:デーモン(上)
●ダニエル・スアレース:デーモン(下)



●ジョシュア・クーパー・ラモ:不連続変化の時代: 想定外危機への適応戦略



スティーブン・ジョンソン:
●世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史
●ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている
●イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則
●ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法




しばらく休んでいる「千冊紹介」も年明け再開します!



via. 5 books the head of MIT Media Lab thinks you should read
http://www.businessinsider.com/joi-ito-favorite-books-of-year-2016-12/#the-seventh-sense-by-joshua-cooper-ramo-4

12/14/2016

[&] Amazon GO

未来のスーパー Amazon GO が話題になっている。
レジが無い Amazon GO 対応のスーパーに入って、勝手に自分の鞄に欲しい商品をつめこんで、
スーパーから出ると、全部自動的に精算されているという仕組みだ。



もともとこういうアイデアはあって、2006年の IBM RFID のCMで、
いかにも万引きしてそうな客が、実は RFIDでちゃんと支払いしている仕組み!
という未来のスーパーが描かれていました。



けれど、実際のところ、どんなに RFIDの単価が安くなったとしても、
一本 19円のニンジンに RFID つけるのか?というコスト的な課題がいつも着いてまわりました。
服飾などの比較的単価の高い消費であれば、RFIDを活用した仕組みでもコスト的に成り立つ場合もあります。
また、セルフレジで、レジのコストを下げる案もあり、
米国のスーパー、コンビニ、日本でも一部のキオスク、コンビニなどで、
ごく普通の仕組みとして運用しはじめられていますが、全員が全員使うわけではありません。



そんな中、Amazon GO の実装に関して、USA Today が Amazon が提出した特許情報(US 20150012396) から読み解いている記事が公開されました。凄い目の付けどころで、こういう切り口が老舗のメディアならではというところ。
(ちなみに他の何かのWeb記事で「Amazon GO の店舗に行ってきました!まだオープンしてませんでした!」みたいなレポートがあって、ガッカリしました。笑)

普通考えると、全商品にRFIDを付けよう!とか、セルフレジのオペレーションがうんぬんという話しになってしまうのですが、すべて今現在存在するテクノロジーで、ある意味力技でやってしまうのがAmazonらしくてすごいです。技術者観点からすると、正答率100%には絶対なりえなくって、エラー率はある程度高そうだけれど、万引きによる損失に比べると全然許容範囲なのかも。例えば書店だとたった1冊の本が万引きされるだけで、その損失を補填するために、その何十倍かの本を売らねば穴埋めできないわけですし。

仕組みとしては、こんな感じ。

●入店時には専用のアプリに表示される菱形のバーコードをゲートに認識させる&カメラで顔を認識。店舗内で常に位置をトラッキング

●商品パッケージの画像認識で商品を特定

●ユーザーの手の色を判別。手の色はけっこう個人差があって、となりの人が手を伸ばして商品をとるような時にも対処できる。

●商品が棚にある画像、手の差し伸べられた画像と、商品が無くなった画像を比較して、商品が取られたことを検知する(検知の方法は、それだけじゃないけど)

●店内に多数設置されたマイクから得られるノイズ音で客の存在位置を解析(全く無音で歩き回れる人は居ないことから)

●棚には赤外線センサー、圧力センサー、重量センサーを設置し、商品が無くなったことや、場所がずらされたことなどを検知

●決済は出口のゲートを通過するだけ。レシートは瞬時にスマホに送られる。

そして、YouTube の映像を見ると、なんか菱形の特殊な QR コードなんですよね。
他の一般的なタイプの QR コードやバーコードで、万が一解析されてしまうのを回避していると思われます。
なので、誰かが何かの方法で、1度コードをコピーしても、安易に利用できない仕組みになっているハズ。


(Amazon Go の YouTube 紹介映像 [ https://www.youtube.com/watch?v=NrmMk1Myrxc ] より、キャプチャ)

参照情報:

USA Today の記事はこちらです。
How Amazon's line-less grocery service might really work
http://www.usatoday.com/story/tech/news/2016/12/06/amazon-go-surveillance-cameras-shopping-grocery-supermarket/95055200/

Amazon GO の元となっていると思われる米国特許 [ US 20150012396 ] の情報はこちらです。
https://www.google.com/patents/US20150012396

12/14 AM1追記:
●Amazon GO は、棚から商品を手にとった瞬間に、法律上は「占有を移転」した状態になります。
米国では、コンビニ等で会計前に飲み食いし始めている人がいて相当違和感がありますが、
日本でも軽犯罪にならずに、スーパー内で飲み食いできるということかもしれません。
日本人にとっては相当違和感ありますが.....

●また根本的に、レジに長蛇の列が出来てイライラするのは相当なストレスで、
それが無くなってスッキリするのはとてもうれしいことです。
その一方、日本は現金がまだまだ主流なので、生活習慣として
どこまで受け入れられるのか、未知数なところはあります。

●米国ホールフーズマーケットでテストされているのは、スーパーのカートそのものにバーコードリーダーがついていて、
カゴに入れながら会計が済んでしまうという仕組みです。
これは、カゴを持たない人<カゴを一つだけ持って買い物をする人<カートを転がしながら買う人
で、圧倒的に購買金額が違うということから、コストをかけるだけの意味がある有効な仕組みであるとも言えます。

●デザイン思考の成功事例としてよく取り上げられるIDEO のショッピングカートにも
カートの段階で使えるセルフレジのアイデアが含まれています。
https://www.ideo.com/post/reimagining-the-shopping-cart

●一方、日本はカゴから自動で精算、袋詰めできる装置という方向へ....
サービス提供者側からすると、レジ要員の削減や保安に繋がるかもしれないが、
消費者側からすると、目新しさ以外のメリットが無いのが、体験としては悲しいところ。
Panasonic’s new shopping system automatically bags and tallies your bill
https://techcrunch.com/2016/12/12/panasonics-new-shopping-system-automatically-bags-and-tallies-your-bill/