1/28/2012

[&] Android Usability Seminar 2012 - Toshiyuki Masui

Android Usability Seminar 2012 - Toshiyuki Masui

増井俊之氏
スマートフォン向けアプリの最新事例から、
使いやすいユーザインタフェースを分析すると共に、
スマートフォンがひらく新しいインタフェースの可能性について解説する。


ビューティフルビジュアライゼーション


masui@pitecan.com
http://pitecan.com/

UIの話をしていこうとおもいます。
pitecan 変な名前ですが....

シャープ、ソニーCSL, 産総研、Apple,
携帯電話の予測変換が良く知られている。
予測入力システム、ケータイでよく使われている。
昔は画面が狭くてあまり表示できなかったが、
2006年突然 Apple に呼ばれて、急に Apple で仕事することになった。

iPhone 入力
「フリック」入力。
研究的には Tキューブ, パイメニュー(方向で選べるもの)
これを日本語入力に応用したもの。

雑誌/ブログ記事。連載。
各種著作。最近では Beautiful Visualization の監訳。

研究テーマ
 情報視覚化
 情報検索
 例示/予測インタフェース
 テキスト入力システム
 ユビキタスコンピューティング
 認証

Android の開発
入力システムのデザイン
実世界GUI

●Android の特徴
 センサが豊富
 NFC, 傾き、回転、気圧
 「サービス」によるバックグランド処理
  入力システムなど
 「インテント」によるアプリ起動/連携
 起動が簡単な「ウィジェット」

●Javaベースの開発
 サーバー上でコンパイル可能
 (携帯電話ごとに違うバージョンを自動生成するような用途)
 豊富なライブラリ
オープンなマーケット
 すぐに公開できる
配布制限なし
 誰にでもアプリを送れる
 社内の秘密アプリOK
自前ハードウェア接続可能

●特徴
 いろいろ実験ができて楽しい 
 様々な製品があって面白い
  安価なものも多い
 組み込みからWebまで何でも
  センサとしてぶら下げておくことも可能
  とつぜんセンサが欲しい時とか。何もハードを作らなくても良い。
  在庫管理に使うなど。ビールが無くなったらAndroidのセンサーが反応するとか。

●iPhoneの場合
 Macのみで開発
 Objective-Cのみ
 Widgetが使えない
 バックグラウンド処理ができない
 センサが少ない
 入力システムを自分で作れない(Appleの外には、まだ複雑すぎて公開できないから)
 すぐにマーケットに出せない
 社内用アプリを作れない

●HTMLによる開発
 5分で作るAndroidアプリケーション。実際は7分かかってしまった。

DroidGap を使うと、Androidのアプリケーションができる。

ブラウザの上でJavaScript利用
センサも利用可能
新しいWeb技術を利用可能
jQuery
WebGL

●問題点
 バージョンがたくさんある
 機種によって動いたり動かなかったりする
 エミューレータが遅い
 実機開発が必須

●入力システムのデザイン
 入力システムの開発は大変?
 最近は簡単
 MacのIMKit
 Androidの入力ライブラリ

●Gyaim - Macの日本語入力
 Rubyで500行ぐらい
 簡単にできる
 https://github.com/masui/Gyaim
 バインディングがあるので、Macのアプリは全てRubyで書ける。

●Androidの日本語入力システム
 作成が簡単なのでたくさんある。
 simeji, ATOK, Google日本語入力
 変な入力もある。

●入力システムの難しいところ
 真面目な仮名漢字変換
 トータルデザイン

●連文節変換の問題点
 正確な入力が必要
 間違いがゆるされない
 正確に打てない人には使えない

 読みが長くても全部入力が必要
 高速に正確に入力できる環境や人は稀 

 本質的に誤り訂正が必要
 「きょうはいしゃにいった」歯医者?医者?
 訂正用のよけいなキー操作
  文節選択など
 単語登録などカスタマイズが面倒

●問題点のまとめ
 間違いが許されない
 必要な操作が多い
 訂正が必須
 カスタマイズが難しい
  →良い点がほとんど存在しない

連文節変換は、誰かにだまされてたんじゃないか?

●解決方法
 キーの数を最小化
 キー操作数を最小化
 
●具体的方法
 短い文節で確定
 単純な変換アルゴリズム
 単純な辞書
 曖昧指定
 資源をすべてネット上に置く

●インラインにこだわらない
 アプリやOSとなるべく独立させる
よけいな機能は容易しない
 かな入力、記号入力、全角変換などは無視
熟練を要求しない

●ネット資源や実世界情報を活用
 辞書をネット上に置く
 変換システムもネット上に置く
 ネット上の情報の辞書として使う

●iPhoneのフリック入力。
 覚えるのがたいへん。なぜ「う」が上?
 テンキーの黒歴史
 慣れれば高速? 早さなら2ストローク漢字入力の方が早い。

●テンキー配列
 日本語入力に最適ではない
 日本語向きの配列が必要
あいうえおは同等であるべき
 ×マルチタッチ
 ×「あ」だけ特殊あつかい
  方向の記憶が必要

●I/F 開発のタブー
 素人の意見を聞く
  一般ユーザーの意見は信用できない
 多くの意見を聞く
  個人の要求はきりがない
 古いものを無意味に模倣
  文句は言われないが良くもならない
  (慣れているから良いように思えるが、それ以上に良くならない)

●正しいデザイン
 有能な人間が少人数でデザイン
 シンプルを追求
 捨てる勇気
  古いものを捨てる
  無駄な仕様を捨てる
 ユニバーサルなデザイン
 素人の感想は聞くが意見は採用しない

●初代 iMac
フロッピーを捨てた
本当に将来良いものを選択
シンプルに美しく

●GUIの進化
 スクロールバーは全然進化していない
 それ以上のことを誰も思いつかない
 新しいものが受け入れられない
  
●iPhone の例
 謎のキーがたくさん。
  →は何?
  次候補と→との違いは?
  最初の4つと、→との違いは?

 なぜかガラケー似
 タッチパネル用になっていない
 謎の候補選択画面

●Android まで真似している。
 さらに良くわからなくなっている
 真似しなくてもいいのに.....

●美しいデザイン
シンプル
可逆的(戻ることができる)
混乱しない操作
旧手法からの連続性
大胆な新手法
 まだこれから考えていく。

●50音入力
 アホなものを実験してます。
 これくらい大胆なものを提案してほしい
 非常にけしからん。

●Slime - Slick & Slim IME
 アイコンデザインする力が無いので「らき☆すた」みたいなアイコンになっていますが
 両手で持っていると、子音を早く入れられる。
 ネットの資源を使っている。
 出にくそうな単語 例「らきす」など。辞書に無かったらググる。
 「例:おっとが」
 ネットを使えば固有名詞を辞書に入れておかなくても良い。
 放っておくともとに戻るので、モード変換しなくても良い
 →が一個しかない。悩まないようにかんがえている。

シンプルなものを目指している。
キー数が少ない

●T9 方式
NEC携帯電話に搭載
子音だけ利用
実際使ってみると悪く無いが流行っていない
単漢字変換に弱い

●Slime の使い勝手
「あいうえおの並びが簡単」
http://gyazz.com/SlimeDict
プリミティブなことしかしていないが、理解しやすい
Web上で共有
誰でも簡単に変更できる

●Gyaim
Mac入力システム、同じ辞書を使っている

●今後
 シンプル
 ユニバーサル
 どこでも同じ変換
  変換手法
  辞書
 他人と共有

辞書の共有は流行らないかもしれないが、できてしかるべき

●正しいIFデザイン手法
 有能な人間が少人数でデザイン
 シンプルを追求
 捨てる勇気
 ユニバーサルなデザイン
 素人の感想は聞くが意見は聞かない

●Android と実世界GUI
NHKホワイトボックスでの紹介
 「お姉さんに受けが良かったので、気を良くしている」

ユビキタス
ウェアラブル
インビジブル

●そもそもやりたいこと
 どこでも映画
  居間/風呂/台所
 台所でWeb
 自動的に在庫管理

●自動ドア
 誰でも使える
 一度使うと使い方を忘れない

●Suica
 そもそもの目的はどこかに行くこと
 切符を買うことは手段にすぎない
 犬でも使える

●リモコン
 「リモート」に機器を「コントロール」
 = 機械中心主義的
本当にやりたいことを直接指定できるばき
 ×DVDをプロジェクタに接続
 ○映画を見る

●直感的なCDプレーヤ
「奥だけ主義」による情報家電制御
 CDを置くと使える。
 酔っぱらっていても使えたから確かなはず。

●直感的なデータ転送
 CDをさすとコピーされて別のCDが焼かれる

●グラフィカルインタフェースGUI操作を実世界で実行
 ボタン、メニュー、スライダ、ドラッグ/ドロップ を壁や机の上で
 Field Mouse, Mouse Field を使用

●Field Mouse
バーコードリーダーにマウスをつけたもの

●Mouse Field
マウスをひっくり返したもの。
RFIDリーダと動き検出装置を一体化。
「置いて動かす」だけで情報検索/制御

●書斎のMouseField

●テーブル型 Mouse Field

●Goldfish
Android 用実世界GUIフレームワーク
NFCを読む →ブラウザが開く →JSが走る →センサ利用
動作をJavaScriptのみで記述
 プログラムはWeb上
 簡単に修正可能

●Goldfish のアーキテクチャ
NFCインテントによる自動起動
マニュアルの表示例
NFCタグでボリュームみたいなもの。

●ドアが開く仕組み。
 フィジェッツを使っている。

●実世界コピペ

●Golsfish 応用例
 汎用に利用可能
 家電の制御
  机の上から音量調節
  Wifi or 赤外線
 家電のコントロールパネル
 ドア認証
 文書の上に置いて文書編集
 柵に置いてフォトフレーム
 棚に置いて時計
 どこでも掲示板
 サイネージ連携

●まとめ
 大胆でシンプルな新しいIFが欲しい
 Android はそれを可能にしてくれる
 NFCつきケータイで実世界GUIしましょう

Q. 実世界GUI では、CDと音楽が結びついているから?
 モノ自体のメンタルモデルがずれてきた時にどうなる?
A. 使う人がなんにでも使うことができる。
 アイコンがあったら、クリックするものだという思い込みがある。
 これからなんとなく決まってくる、収斂くると思われる。
 誰かが実装してそれがデファクトになってくるだろう。

Q. 大胆で新しいUIを考えた時、その操作をどうやってユーザに知らせるのか?
A. 私も最初に iPHone 使った時はピンチのことがわからなかったが、
 一度使うを覚えてしまう。これを
 イデオムと言って、イデオムがうまくできていれば、流行る要素になってくる。

Q. インタフェースを考える時にシンプルにした方が良い。どこまでシンプルにするか?
A. 新発明すると、いらなくなるものが色々ある。
 GUI はいろんなことがある。フォルダとかメニューとか、スクロールとか、
 それらは切り捨てる候補かもしれない。
 選ぶのに、いろいろな方法がある。
 こういうものだと思っていると、つい勉強してしまう。
 そもそも何をしたいのか? と考えていく。
 やりたいことはそもそも昔から変わっていない。

[&] Android Usability Seminar 2012 - Shunji Yamanaka

Android Usability Seminar 2012 - Shunji Yamanaka
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デザインの骨格


山中俊治氏
iPhoneをはじめアップルの製品はなぜ使いやすいのか?
実際のユーザビリティ試験などを通じて、
使いやすさの本質を読み解く。

前回もいらした方はいらっしゃいますか?若干話がかぶっているところはご容赦ください。
今日はアップルの話を来てくれとして来たのですが、
もともとハードウェアエンジニアで、ソフトウェアに関してはこのあとの増井先生が専門。
アップルのハードウェアが専門になるかもしれませんが、
アップルの仕事と自分の仕事を対比して未来を紹介できればと。
最初にざっと。
インタビュー記事に答えたら「Appleのやり方はもう古い」と雑誌記事になった。
アップルのやり方は最先端だが、「Nextは違う」と言ったのだが、大胆な記事になった。

Shunji Yamanaka Works
漫画が出てきたのですが、東京大学の工学部を出ているのですが、
卒業に6年かかっていて、途中2年間ぐらい漫画ばかり書いていた時期があります。
AXISとう雑誌のために書いたもので、漫画がきっかけで工学デザイナーになりました。
工学と漫画の両方が生かせる仕事が無いかと探していて、
日産のデザインセンターに雇ってもらうところからキャリアがはじまります。

インフィニティという車のデザインから。
フリーランスになってからはカメラをデザインしたり、
ちょっと危うくなっているオリンパスのカメラとか、
鉄道車両とか、腕時計とか、ウィルコムの携帯電話とか。
家具、オフィスチェア、携帯電話のコンセプトモデル。

自分自身でも人間とマシンとの関わりで
提案的なモノ作りをやっていて、
両手親指で打てるキーボード。
友人に車いすで小児まひの後遺症で親指しか使えない
劇作家のためにデザインした。世界に20台しかない。
NY近代美術館のパーマネントコレクションとして収蔵されている。
未来の車のプロトタイプとか、研究者と一緒に色々なものを作っている。

未来の車のための実験車両。
小さいプロトタイプ。ケープタタウンでデモンストレーションした時の映像。

こんな時、製品をデザインしながら、
役に立つことが当たり前だと思っているが、
ソフトウェアも、使えるようにすると苦労している。
デザイナーはアーティストと思われているが、
実際は役に立つために地道にやらなければいけないことが
いろいろある。
サイエンティフィックに探る、
気持ちよかったり使いやすかったりすることとバランスをとる。

自動改札機のデザインの話をしたい。
Suica 自動改札機アンテナ面の最適化。
自分がはじめてやったユーザビリティテスト。
ヤコブニールセンがユーザビリテイエンジニアリングという本を買って、
それまでユーザビリティテストは一般化されていなかった。
このテストは 1995年ころ、
たまたま ヤコブニールセンのもとで学んでいた知人がいて、
それを聞きながら、ユーザビリティテストを実施した。

Suica改札機、ちょっとだけあてがう面が傾いていて、
これは長い実験のものに作られたもの。
プロトタイプは技術的にはほぼ同じものだったが、
全然うまくいかなかった。

カードを当ててから少しだけタイムラグがあることを認識しているが、
当時はなかなか慣れていなくて、カードを正しくあててもらえなかった。
アンテナをへこませてみると当ててもらえるのではないか?
いまはあたりまえに使ってもらえている。
その人は、光っている部分に当てたり、スキャンさせたり、
そもそも「ピッ」とあてるという作法を分かってもらえない。
歩行速度で通過してしまう人とか。
読み取りに0.2秒とかかるのだが。
定期券だと人が見てくれるので、見てくれるのではないかと勘違いする。

今は法律の関係で電波を非常に狭い範囲に閉じ込める
ことしかできない、15cm くらいでしか通信できない。
そのためポケットから出さなければいけないが、
将来はポケットに入れたままで使えるようになる。

技術の完成を待たないで、投入したい時もある。
人々に新しい作法を教えないといけない。
その作法が伝わらないのでいろいろなことが起きる。

この被験者達、ユーザビリティーテストは
5種類くらいのいろんな形をしたマシンに対して、
使ってみてもらっている。
そんなにたくさんの人数をやっていない。
年齢幅を広げて5人ずつ。25人くらい。
どの順番でマシンに接するのか、順番を決めた。
だんだん慣れていくのを検証した。
全く初めて使う人も20人くらい。
マネジメントして、一人一人設定して実験していった。
どのマシンに対しても変なところのかざす人もいた。

ちょっと傾けると良いことがわかった。
少し手前から準備する効果。
あてがいやすい方向(斜め)に傾けると、
あてがいやすくなるが、一瞬留めてくれなくて、エラーが多い。

新しいテクノロジーに対して人がすることは
「え!??」となることが多い。
そのためにユーザビリティテストが必要になる。

1997年1月にテストを何回かやったのをもとに、
試作機を作った。
光に誘われる、手前に傾いているとよい。
「触れてください」>「タッチアンドゴー」キャペーンになった。
そうすると、通れない人が 100人に1人になった。
こんなに劇的に良くなるとは想像していなかった。

最初はエライ仕事をうけてしまった。
この実験に勝算は無かった。
ユーザビリティテストをやりたくなかった。
企画書を無責任に出しただけたったが、
やるはめになった。
やってみると劇的に効果があった。
僕自身がユーザビリティテストの大切さを知った実験だった。
Suica が出回っていて、全国の全部 13.5度に傾いている。
角度を全部試したわけではない。
バッグがぶつからない。
アンテナのサイズから、ぎりぎり傾けてみたり。
いろいろな状況から 13.5度に決まっていて、
これがベストではないかもしれない。
ただし、全国共通であることが重要。

場所によってインタフェースが違うと戸惑う。
それがうまくいって、全国同じ形になっている。
デザイナーという仕事で、これがデザインにあたるのか
関係ない。
大阪の改札機がかっこいいかどうかには関係ない。
インターフェースの原型、
人が機械に接するオリジンはデザインした。
気持ちよくするデザインもあったが、
結果的に、僕がデザインしたもので、もっともユーザーが多いものになった。

■お財布ケータイ
お財布ケータイをドコモさんとやった時の話。
プロトタイプを作りました。
動線が通っているのは、手作りのアンテナです。
携帯電話の両側のどっち側にもアンテナがついていて、
携帯電話のフリをする試作機。
画面はパソコンからの画面を受ける。
その試作機で実験した。
あくまでもプロトタイプ。
その実験機を使って、いろんな向きでかざしてもらって、
結局 Suica が張り付いているのと同じ使い方。
モニタリングするべきではないか?とか、
ONにするボタンをつけるべきではないか?とか
いろいろ試した。

リーダーライターを作ったが、
何をやってもうまく行かない。
リーダーライター側の反応が重要であった。
うまく読み取れたことを携帯電話側でやるのは良くないことがわかった。
読む側のデザインが重要であることがわかった。
最初DOCOMO IDのリーダーをデザインした。
大切だったのは、音。決済音。
音楽家の方と実験しながら作っていった。
音は苦労して作った。
最初は「ビー」という音で、誰もビックリして使わなかった。
音も一緒にデザインした事例。

■キッチンツールの開発
OXOオクソという会社はアメリカの会社で、
とても握りやすいハンドルで世界中で高く評価されている会社。
2005年当時は、日本ではいまひとつ成功していなかった。
理由の一つは、日本と米国ではユーザーの使い方が全く違う。
例えばレードルの使い方が違う。
アメリカ人にとっては衝撃の持ち方。
ディズニー映画で鍋を混ぜるシーンを思い浮かべて欲しい。
たいていテニスラケットのように握っている。
日本のような繊細な握り方をしない。
テニスグリップのように握りやすいものを
キッチンツールに使っていた。

ユーザビリティはローカリテイも重要。
ごついことは分かっていた。
新しいブリップを提案した。

トング。5−6年前まではあまり日本には普及していなかった。
日本ではトングをピンセット持ちをする。
米国のトングはチキン一匹を持ち上げられるぐらいに作られている。
持ち方から、トングを考えた。
プレシジョントング。
とても繊細につかむことができるピンセットのようなトングを作った。

大根おろしをデザインしてくれないか?と言われた。
アメリカで大根おろしは食べないのに?
OXOはジャガイモのピーラーで成功した会社。
どこにでもある道具で、いまいち決めてになるものでなくて、
各家庭に何個もあるようなものは何か?と考えて。

各家庭、2個とか3個とかある、
どれもいまいち気に入っていない。
大根おろしを丁寧に調べるところから始めた。
大根おろしの歯並びを調査した。
一つ発見したのは、
大根おろしをおろそうとすると、同じ向きにしか動かなくなって、
無理するとうまくいかない。たいていの大根おろしに起こるが、
職人の手作りの大根おろしにはそれが起きない。

ランダムが重要。機械で作ったものは、一定で、
車の轍のように、溝が出来てしまう。
これが昔ながらの職人が作ったものは、
一定ピッチで作ろうとするが、自然にランダムネスが発生するので、
いつも削りやすい感覚が保たれる。

CAD/CAM でランダムネスを再現した。
すっごいいろんなことをやりました。
発見したのは、とってがついているものは
たくさんあるが、実際にはとってを使っていない。
歯の近辺で押さえないと意味がない。
歯を意図的にランダムに配置している。
しらみつぶしの実験をやって確認した。
しらみつぶしのテストをやらざるを得ない。

ゴムのスロープを作って、そこに手をかけて
押さえるようにした。
注ぎぐちも丁寧に実験して最適な形、アングルが存在した。
収納性を考えて、立てるような工夫をしたり。
Gマークの金賞を得た。
3000円もするものだったが、ヒット商品になった。

これらのいくつかのユーザビリティテストをやってきて、
ソフトウェアにも共通するのではないか?’

ユーザビリティテストの肝
 開発の初期に行う
 少ない人数でも良い
 かようてき的(変更し続ける)なプロトタイプ
 周到に計画する
 予想外大歓迎
 クライアントを巻き込む。

開発のアイデアを固めるために、考えるためにテストを行う。
案外少ない人数でも良い。
ヤコブニールセンのグラフ。発見する項目数と、
人数のグラフを比べる。
5人もやるとたいていの問題は見つかる。
時間の無いなかでユーザービリティテストをやるとなると、
何十人かやっていないと報告書にならないと思えるが、
意外に少ない人数でも良い。
プロトタイプを作ることの方が重要。
刻々と変化させられることの方が重要。
ユーザビリティはへとへとになる。周到に準備して、
ユーザーに気持ちよく実験してもらう環境を作る。

ネゴシエーションに時間がかかる。
自分の経験に基づいて、空想しながら、机の上で意見を言い合う。
これはまとまらない。
思い描いている状況が違う。
その状態でユーザビリティを議論しても意味が無い。
同じ実験をみんなで見ることが共有することが重要。
それがあると非常に短期間で決断できる。
キーマンにはユーザビリティテストを見てもらうのが重要。

●Appleに学ぶべきいくつかのこと。
どうしてこうなんだろうと思うことがいっぱいあって。
新しい製品が出るたびにばらして研究している。
MacBook を分解して確かめた。

裏が奇麗なパソコンはなかなか無い。
プロダクトデザイナーがどういうこと?と思うのは
「ねじ」
ねじが刺さっているだけなのだが、面に垂直に刺さっている。
たいていネジは垂直に立っているのが普通なのだが。
プロダクトデザイナーはギョッとする。
わざわざねじ穴が斜めに切ってある。
そうすると専用のロボットが必要になる。

単純なキーボードだが、
一般的にはキーとキー間が隙間無く並んでいるが、
穴があって一個一個のキーをはめている。

非常にソリッドな固まりとしてコンピュータを作ろうとしている、
どうやってあわせて組み立てたのか分からないようにしている。
全体を一個のアルミの固まりとして作っている。

●iPhone 3GS 美しい背面カーブになっている。
金型で成形して、作る関係で、
クルッと丸まっている。
プラスチックの製品は良くみると細い線がわかる。
型を割るため。
なんでこんな奇麗なカーブになるんだろうと思った。
ケースの裏を見ると、跡から削った跡がわかる。
一般的な工業製品ではやらない。
Appleの製品は、削ってある。

このことをブログで書いてみた。
何のために削っているのか?
プラスチックは凹凸がある状態で成形すると、歪む。
表側をツルツルにするために、これだけの手間をかけている。
コスト感覚から言うと信じられないこと。

●iPhone 4
ガラスのフチが、ガラスしか無いように見えるが
0.3mm のプラスチックで囲まれている。
フレームも、信じがたい精度で作ってある。

●iPod nano
ガラスの画面があって、フチがあるが、
どうやって作っているのか?
アルミの固まりで、部品が外に向かって出ている。
ドリルで固まりから作っていることはわかった。
穴の加工はどうやって?
アンダーカット用の専用のドリルを使っている。
従来は考えられなかった。
こんなコストをかけてなぜ作れるのか?
いままでの工業製品は型に流し込むのが普通だったが、
中国にコンピュータ制御の加工機が何千台もあって、
加工している。
恐るべき生産システムを作ったといえる。

●Apple Remote
どうやって作ったのか謎だった。
アンダーカットできるマシンを使って、
穴をあけて、奥に向かって、掘り進めている。
その隙間に基板を押し込んでいる。

「無垢」な固まりとしてのハードウェア
  塗装しない
  ドラフト角なし(型から抜くためには台形に作らないといけない)
  バーティングライン最小
  局面に沿ったネジ頭
  NC切削加工による量産

徹底した考え方
ハードウェアをシンプルな物体にしたい。
シンプルな固まりにしたい。
ソフトウェアをそれに入れて、
十戒のように、ソリッドな素材に映像が浮かび上がるのが理想。

●iPhone Baby
一才半の子供が完璧に iPhone を使いこなしている様子。
言葉もしゃべれない、文字も読めない子供。
有名な映像に、雑誌の紙面をピンチして操作できないのを不思議がっている映像がある。

●赤子が使えるための条件
 レイテンシがない(一瞬反応が遅れることがない。子供は待たない)
 最小のハードウェアボタン(ハードウェアに記号が書いてあっても理解できない)
 恣意的な意味付けがない(記号があったり文字があったりするのは使えない)
  iPhone を押し続けるとアプリが消せるモードになって、
  喜んで決していく状況に。
 失敗しても致命的にならない

●アップルの製品思想
 「無垢」の固まりとしてのハードウェア
 こどもにもわかるインタフェース
 その上に展開される自由な著作物

これらが Android マシンでは容易ではない。
ハードからソフトまで一貫して開発していないと難しい。

僕は Android の設計にもデザインにも関わったことが無いが。
役に立つかわかりませえんが、こんなことを話てみました。。

●Next Step : 生き物らしさのデザイン。
モノと我々が接する中で、
動くものを見つけて、そちらを見るだけのロボットを作った。
知的なイリュージョンを感じる。
我々は生き物にとても敏感。
われわれの身の回りにインテリジェントなものに、
生き物には、敏感に反応する。
画面にキャラクタを登場させても良くない。
フィジカルなフェースで初めているものなので、
ソフトウェアではどう解釈するのかはおまかせする。

反射動作にだけ反応するロボット。
触ると反応するだけ。
ボタンを押しただけなら点灯するだけなら、
反応しないが、ゆっくり動いているものに触れた瞬間に
高速で反応するだけで皆が喜んで触る。
それが生き物に見えてくる。
こういうことがとても大事。

これも別なロボット。
ある種のインタフェース。
役に立つものにはなっていない。
役に立っていないけど、生き物を感じさせるもの。
柔らかい素材を使っていないのだが。
お互いに衝突しないように作ってある。
衝突しようとすると単に止まるのではな、避けよう動くように作っている。
センサーが有るかのごとく動いているように見えてくる。
生き物感が自然に出てしまうロボット。

これらのものを何をやっているのか?
●生き物らしさのデザイン
 自律的な人工物に囲まれる未来への布石
 生命観の抽象化
 人は生きているかどうかに敏感である。
 コマンドによらないコミュニケーション

アイコンの動きなど、
インタフェースの重要な要素に生かしていける。

「デザインの骨格」
http://www.lleedd.com/
http://yam.sfc.keio.ac.jp/
@Yam_eye

Q.子供がつかるようになると、ユーザーは考えなくなってくるが?
簡単に使えてしまうので?

A. お箸は簡単に使える、簡単に使えるから食事のことを考えられる。
開発者がもっと一緒に遊べる道具だと考えることもあるし、
コンピュータのこと自身を考えなくても良いと考えていく。

Q. Apple 製品を分解していたのが印象に残っていたのが、他にも分解したものは?
A. それぞれに工夫はあるが、Appleほど感銘を受けることはない。
 特にカメラには感銘を受ける。一方でデザインのために無理をしている製品はApple意外には無い。
 B&Oなど無理してデザインしている製品はあったが、最近は無い。
 Appleだけがなんで可能なのか、気になるところもあるが、
 Appleはソフトウェアに頼っているのか、メカニカルデザインは
 ソフトウェアを実現するためにだけしか使っていない。

Q. Macのコンセプトモデルを作った時の思い。
A. 90年代にAppleと仕事をしたことがあって、Jobsが帰ってくる直前。
MacOS のアピアランスマネージャを作っていて、
実は大胆に変える計画があって、リリース計画があったが。。。
アメリカ2チーム、日本1チームからの提案があった。
とだツトム、宮崎みつひろ、多摩美のすながさん、5人で議論しながら作った画面。
採用が決まっていた。Jobsもカンファレンスで発表していたことがあったが、
Drawing Board 手書き風の画面。
 http://lleedd.com/blog/2009/06/14/drawingboard/

あらゆるパーツが手で書いた風で、スケッチが画面で動いているように
βバージョンが出回っていて、使ったことがある人があるかもしれない。
それを作った時に感銘を受けた。
何に感銘を受けたかというと、一つ一つの部品を全部作ったが、
そのテンプレートの見事さに感動した。
Appleから、パーツを埋める画像ファイルのテンプレートがあった、
どういうことに使われ、どういう風に表示されるのか、
そのツールに感動した。
アップルの伝統、彼ら自身が開発環境を作ることを喜んでいる。
市販のソフトウエアが可変されて、アップルの使いやすいツールになっているものを使う。
今は iOS の開発環境を知っているが、
開発環境を気持ちのよいものを作るというのがその時から分かっていた。

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1/27/2012

[&] WOW Visual Conference




共生のデザイン 禅の発想が表現をひらく


WOW Visual Design Conference
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http://www.w0w.co.jp/vd/ja/

田川欣哉(takram design engineering) × 高橋裕士(WOW)

WOW 15 Conference にお越し頂きありがとうございます。
昔から知っている面々から、最近であった方まで。
前もって感謝を伝えたい。
15年支えてくれた、会長、仙台/東京、WOWデザイナー
多くの取引先の皆様、ありがとうございます。

3部構成で濃密な時間です。
田川さんは同世代で、唯一心が許せる人?
本をきっかけとして..... 本の中身は話さないかもしれませんが。
5年くらい前、キャリアのお仕事で一緒になった。
田川さんはエリートとしてのキャリアがありますが、自分は........

「ビジュアルデザインの可能性」日本の美意識とこれからの可能性

 WOWのデモリール

多岐にわたって、コマーシャルから、映像、デベロップメントまで。
色々な方々とコラボレーションしていて、
願いがいろいろ実現している。

田川:じつは同い年でして、76年うまれ、
お仕事をご一緒させて頂いてから、かなり頻繁に会ってます。
人前で一緒に話すのは、照れることもあります。
takram デザインエンジニアリングという会社で仕事をしています。
空間のインスタレーション、
テクノロジーとクリエイティビティーの二つを分けずに、
モノ作りにまっすぐ、対象から求められることから
常に心を開いていれたらうれしいと考えて活動しています。
モノ作りに興味があるひとから、物語に興味のあるひとから、
プログラミングに興味のある人までの集団です。

1. 生い立ち。
 どういった人がどういったことを考えて、どういった決断をしているのか?
自分の会社の会議室。会議室から異常にデカイ。
お客様に対して最大限のスペースを。

田川:デザイン事務所の中で最大。
自分の実家は、刀鍛冶をやっていて、松山で9代目。
兄が跡を継いで、変わった環境で生まれ育った。
けっこうコンプレックスがあって、親父がモノ作りしている姿を
小さい頃から見ていて、自分の家が地図に書いてある。
悪いこともできないし、しつけも厳しかった。
いかに親から離れることばかり考えていた。
和風から離れたくて、海外のものばかり買い集めていた。
エアコンなんて無い寒い環境。
パンフレットを撮った時の写真。
工場で一番重要なのは、光。いかに自然光で作るか?
焼き入れの時だけ電灯。普段は自然光の明かりでしか仕事をしない。

なんで実感の話をしているのか???
ここから離れていっている自分がいるのだが、
最近は、そこに戻ってきている自分がある。
会社が落ち着いたのもあるが、
親父はすごい。代々受けつがれているもの。
なにかヒントがあるのではないかと思っている。

takram はどうかんがえますか?
田川:takramでも、たま鋼の作り方を研究した人がいた。
WOWのビジュアルデザインを見て、「ああ」と府に落ちた感があった。

隠してましたからね。

田川:なるほどと思ったと思います。
テクノロジーと表現の間のギリギリのところを
飛んでいこうと思っている。
刀も登場した時には超ハイテクだったと思う。
その行き着いた先に表現とか、
刀の意味を超えた、光の感じが「チクリ」ときた。

現場では鹿野さんとお仕事をしていた。
普段は高橋さんはしゃべられなかった。
局面局面、表現にたおれるかという
ジャッジの瞬間、WOWの中で遺伝しているように思っている。
後で聞いてみたいと思っているが、
最後の厳しさが素敵だなと思っている。

厳しくすると、お金的には非効率になる。
自分は親父の背中を見て育って、
経営者としての視点としてとらえれば、
作ってモノを売るというのを小さな頃から。
デパートのギャラリーで展示販売するのを見てきた。
WOWも作る会社としてやってきたい。
人の気持ちを動かすポイントは同じ。
親父は個性が強くて「君は何万石持っている」というぐらいの
古い人。
来る人によって器を変えたり、ざぶとんを変えたりする。
大切なお客様がわかる。
実家としては士農工商のプライドを引き継いでいる。
ファーストインプレッションは「印象が悪い」と言われる。

田川:最初、ビジュアルデザインの人を招いて、
チームを強化しようというときに、WOWさんに入ってもらい。
「すっごい、高橋さんがやる気がなさそうなんですけど大丈夫ですか?」
と言われた。
ご実家の話と共通しているなと思うのは、
オリジナルの作品を大事にしている。
それは、しかも、映像はメディアとして、コピーされて
出回っていくが、作り方としては、建築としては近くて、
オートクチュール的に、尺も決まっていて、
限定された時間の中にどれだけテンションを詰めていけるのか?
それに近くって。
意識しているのかわからないが、
実家で見ていた風景に、結構影響されているのではないかと、
映像制作の会社で、オリジナルに力が向いている会社は
それほどない。

自分的に特別なことをしているわけではない。
いろんなアイデアを最初に出す。
なかなか受け入れてもらえない。
最初は他に違うものとやらなければいけない。
仙台から出てきたことと、東京から世界に出ていかなければいけない。
今後もオリジナルは原点でもあるし、
それを好きだと言ってもらう人と一緒に仕事をしていき、
探っていきたい。

刀言葉。
真剣、相づちを打つ、そりが合わない。目貫通り。土壇場、付け焼き刃....
身から出た錆、切羽詰まる。抜き差しならない。
元の鞘に納まる。助太刀。太刀打ちできない。焼きを入れる。諸刃の剣。

日常的に使われる言葉で、面白い。

田川:あまり使わないのは「焼きを入れる」
作っている途中の話もある。
作っているプロセスを描写した言葉があるのが面白い。

物事に、居心地が良いことは日本人にとって重要。
見るもの、食べるもの、行動、人間関係、生き方、死に方にまで
美意識が働く人種。
善や悪などの道徳観の前に、その行為が美しいかどうか?
装飾というものは生活を美しく飾るもので、
無意識にデザインをやっている気がする。
生活に根ざしている。

実は今日、見てもらいたいなと思って、一振りもってきた。
自分にとっては身近なもの。
さやは木で出来ている。

田川:みなさん、身近で見たいな?と

興味のある方はカタログがあります。
カンファレンスを見たと言ってもらえれば、値引きも.....(笑
なんとなくではなく、美しいものなんだろうな?と。
非常に美しいものであり、非常に怖いものであり、
反比例なものとして、感じる。
デザインと芸術は別物だと思っていて。
素晴らしいデザインは後世に残る。
デザインは美しくあるベキ。日本人では当然なこと。
さらに昇華できることとが、時代を超えた感動を生み出す。
外部からの魅力的な誘惑。技術の進歩は、わずらわしいものととらえられる。
情報が無くてもシンプルに生活が営まれて続いてきた。

われわれはどうすれば良い?
日本人らしく高めることができる。
自らの力を高めるためには、
外部からではなく、自分の中の意欲を育てることが大切。
自分たちの祖先や歴史を感じることが何よりも重要。
そこになにかヒントがあるのではないか?
ひとふり記念に買ってもらえますか?

田川:こういう話はWOWの中でされますか?
いや、しません。
実感に刀を送って。。というと。。。。
どうどうとやっていることを伝えたい。

田川;コンピュータの発達でやれることが飛躍的に広がってくる。
いろんなところにディスプレイ、発光体が広がってくる。
高橋さんがおっしゃっているような、美的なことを考えると
できることが広がっているが、
10年前と比べると、だれでも簡単に作れるという
裾野は広がっている。
クリエーターもやれることが広がっているが、
それをフィールドとしつつも、
1000年の刀が変わらないのと同じ、開きがある。
相反するところで、一本、あっているような感覚がする。
どう一致しているのか?

自分も考えて、
親父に、なんで残っているのだ?と聞いた。
「わかんない」と言われた。生活に寄り添っているから?
江戸時代は平和だったので刀を抜かない侍もいた。
本物は残ると、世界的にあるが、
これからのデザインがどういう方向を考える時に、
周りを見合わすよりも、自分の中にある。

兄貴が10代目を継いでいるが、スピード感が違う。
日本の光来伝統に答えがあるのか?
日本人が美に敬意を払ってきたことに答えがありそう。

田川:なにか、WOWのクリエイションの中で、
これはイイけど、これはダメという共通のものがありそうだが、
今回の話とどう絡むのか?

スタッフ、正直、ものすごく、なんかこう、WOWのルールは無い気がする。
デザイナー達が「これはやるべきこと?」という感覚的なところで
つながっている気がする。
オリジナルを作るところで形成されている気がする。
若干、遊戯系の仕事はしないというルールはあるが、
作ることに対するルールは無い。
デザイナーがやるべきことを自然にできている。

田川:刀との関係でいくと、話の中で「光」の話になる。
光の扱い、光。
オリジナルの作品の中で、映像と物体だったり、映像と人だったり、
映像の外に出ている、平面の光と、
不自由さの関係があって、解き放っていくところを感じる。
「光」という言葉の切り口でいくと、
刀とか、思っていらっしゃることは?

良く鹿野と話しているのは、光の現象を考えている。
パソコンを通じて検討しているのだが、
motion texture という作品の時、人が干渉して
映像が慣性することの面白さを感じている。
レンダリングには固定されているが、
人を介して完成するのが日本的。
プロジェクタやテレビ、ハードに関しては気にしていない。
パッと見、ネタ落ち表現。
だれもが分かる表現。
小さい子供から高齢者まで分かる表現を意識している。
コマーシャルで表現をやっているのだが、
もっと多くの人にわかってもらいたい。
多くの意識をとらえると目をまわすぐらいの情報量だが、
自分の中に起こる感動は今も昔も変わらない。
感動を起こす要因は何時の時代もかわらない。
それも簡単で、複雑なものではなく、
誰の心にも伝わる純粋なもの。
あらゆる表現が、歴史がまだまだ浅く、新しい表現。
光の検証を表現しているという意味では、
建築、演劇、彫刻、多くのプロダクトが追い続けていることと
同じことをしている。
WOW は「光の現象」ということで携わっていきたい。
少しでも父がやっていることに、
日本の血を受け継いでやってきたい。

田川:WOWは皆さんから見ても先端のクリエイティブに見えている。
モノ過ぎ新しさと古いを超えて、その先の時の流れの長さとか
短さとか、堅さとか柔らかさとか、コントラストが好き。
今日の話も、結構、刀とか日本の伝統とか、
WOWのイメージから遠くあるが、どこかから見るとピッタリ来る。
刀の話を聞いた時に、納得感があった。
最初は謎の男であった、高橋さんのことがちょっと分かった感じがした。
究極の新しさと究極の古さがカッコいい。

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高平大輔・長内正雄(Tomorrow at daybreak project) × 於保浩介(WOW)

於保:デザイン論をどうこうという話をするよりも、
最近知ってもらいプロジェクトを紹介するパートです。
その中心のメンバーがこの二人。
長内さんはカメラマン。高平クンはたまたま、もともとWOW仙台のメンバーの一人。
今は震災後に自分が立ち上げたプライベートプロジェクト。
これをどうしても紹介したくて。。。
今回のカンファレンスに出るつもりは無かったのだが、
ぜひ30分くらいの時間をもらって、紹介したい。
理由をお話ししたい。

「ビジュアルデザインにできること」

普段大切にしていることは、
モノを作る時にあまり語りすぎない、饒舌すぎないことを気にしている。
説明すぎることによってイメージを限定しすぎる。
いろいろな解釈がでいるのにイメージを狭めてしまうことを
なるべく余白を作ったデザインを心がけている。
ビジュアルデザインの良さは余白を語らないで作ることができる。
ほんとうに見ていると涙がでてくるような感じ。
言葉では語り尽くせないものをいろいろ感じた。
これをぜひいろんな人に知ってもらいたいという思いがあった。
たくさんの人が集まる場で紹介できればとこの機会を作ってもらいました。

「共有する」

ビジュアルの機能として共有する一つのツールとしてなりうる、
ひとつの大きな機能がある。
知らないこととか、皆が共有するときに
ビジュアルデザインは良いツール。
言葉だけだと伝わらないことも、ビジュアルで完成系を
皆で共有し、ゴールを分かりやすく目指せる。
共有するようなビジュアルデザインを、
全く知らないプロジェクトを知らせる時に、
どういうプロジェクトかを説明する上で役立つ。

「蕪栗沼ふゆみずたんぼプロジェクト」
「朝日座」大正時代から続く映画館

情報は最小限、文字も無しで、十分感じられたり受け止めてもらえた。
説明された言葉で理解するよりも、自分で理解した方が沁みてくる。
最初は理解したかどうか分かりにくいが、なかなか抜けにくい。
ビジュアルデザインに関わるものとしては、
説明過多、情報過多の映像があふれているなかで、
見る人に感じるコトを残せるような余白を持って作っていきたい。

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枡野俊明(建功寺住職・日本造園設計) × 鹿野護(WOW)

「禅の美とデザイン」

鹿野:ビジュアルデザインという大きなテーマで、
どういったものを目指すべきか?
私一人では難しいと思って、枡野さんに聞きたいと思ってお呼びしました。

今回、きっかけとなった、なぜお呼びしたかというと、
デザインは社会の問題解決に個人の好奇心が結びついた時に
良いものが生まれる。
インスピレーションをその時の技術で最大限に実現している。
いろんなものに好奇心を広げている。
子供が生まれてから、日常の生活にもいろいろ広がってきた。
先日子供に「なんで暖かい飲み物は冷めてしまうの?」と言われたり。

西洋の人が東洋的な考え方に、
「共生のデザイン」を読みなさいと掲示をうけまして、
メモが多ければ多いほど、重要な本なのですが、
この本は、ほぼ8割メモを書くことになった。

今回のテーマは「禅の美とデザイン」
禅の発想からビジュアルデザインを発想する、
これからについて発想する。

活動を紹介して頂ければ。。。。。。。

枡野:あらためまして。横浜にある寺の18代目の住職をしておりまうs。
小さいころから自然や景色を眺めたり、
京都にいって庭を眺めたりするのが好きでした。
非常に大きなきっかけは、小学校5年の時、
京都に連れていったことがありました。
この時にはじめて京都のお寺の庭を見た。
あまりにも美しくて、言葉を失うような気持ちになった。
子供ながらに。
私が生まれ育った寺は、同じ禅寺なのに違うのだろう?
そこから庭に対する興味が生じた。
高校に入る頃、寺を立て直そうという話が持ち上がった。
その時に庭も作ることになった。

どんな風に庭はデザインすることになるのか?
横で見ているとものすごい面白いことになった。

斉藤勝雄氏
龍安寺、大仙院、カルチャーショック。
あまりにも美しさが違いすぎて。
建物も庭も美しすぎて動けなくなった。

様々な賞を受賞されているのですが。。。。。

海外、来週月曜からも海外。
年間13-4回、毎年20回くらい。
みんな直接依頼がくる。
依頼のある国のオーナーが徹底的に調べている。
先に全部作品を見られてから、依頼がくる。

交渉も含めて?

細かいことは弟子達がやってくれる、
行って、敷地に対する判断をする。
依頼をしてくれる人の気持ちが一番大事。
形は最後に結果的に残っていくものであって、
気持ちをデザインしていくこと。

はじめに最終

どういうライフスタイルなのか?
何を大事たという価値観を持っているのか?
もう一つは敷地の周辺を見て行くことによって、
敷地が訴えてくること。
「大地の心を読む」と言っている。
それらをどう一つのものに結びつけていくのか?

同じ場所でもオーナーが違うと違うものになる。
単純な方法論ではなく、
言葉で言い表せないものが形になる

ビジネスで忙しい人は、
どういう経験、体験をして、どう感じて欲しいのか?
仮に住宅であれば、自分自身に戻れる、
自分自身を見つめ直せるような空間と時間が作れるように。

たくさん著書をお持ちですが。。。。
海外で出されたものも。。。。。。
作品集関係も。
「共生のデザイン」去年でたもの。
アメリカ、10ランドスケープを紹介するもの。10作品紹介させて頂いた。

寒皮神社:神奈川県、相模の国一宮。
先代が日本の文化を伝えられるような空間を作りたい。
仏閣として大切のもの。
中に滝があって、「りゅうもんばく」滝を超えていくのは一つの関門。
新たな世界が開ける。
どんな人間でも一流の師につけば関門を突破できる。
神社なのだが。。。。。
神と仏が一つになったという説。

直心庵:建物も自分がデザインして、配置から、全てのデザインを担当した。
祇園寺:水戸の寺、接客する庭。
 砂利に跡をつけている。砂跡という。禅寺は住職に入る時に、
 全て掃き清める。「清められた」という意味。
 それがだんだん庭に変わって、水のイメージに転換されていった。
 もともとは「清める」という意味
 
和楽亭:窓枠は意識される?
窓枠であったり、軒と床で作られる枠で、一枚の絵を「いっぷくの絵」
Picture WIndows どういう構図を作っていくのか?
屋根の長さを調整していく。
実際こういう見え方をするかが、見える場所によって変わっていくのか?
view point 視点は全て設定する。
座って一点から見る場合もあるし、
歩いて移動する場合もある。
お隣の部屋から同じ庭を見る場合もある。
同じ庭でも違った見え方ができる。山水画と同じ。
 プロジェクター投影を思い出してしまう。

ルポール麹町:金属ガラスを張っている。コケが載るような石がそぐわなくなっている。
現代の建築で枯山水をやってみたい。

有栖川テラス&レジデンス
視線で、景色をコントロールしている。

東急セルリアン:庭の部分、写真でいうと右側の部分に道路があり、
道路との高低差を、デザインでどう解決できるかを考え、
波が寄せて、室内空間に入るようなデザインにした。
駅に近い方は叩いたり磨いたりした石。
ロビーラウンジ、ホテルのラウンジも波が寄せてくるように、
450mm ほど下げている。

カナダ大使館:現代の空間の中に枯山水を復活した風に。
空中庭園として有名になった。カナダの優雅さを表現したくつくったもの。

有栖川テラス/レジデンス 
柿渋を縫って作った。高級スペースにある床の間のようなもの。
床の間は、客と亭主。亭主は自分の伝えたい気持ちを床の間に集約する。
どういう言葉?どういう香り?どういう花?
お客様に応じて、床の間を変えるのが本来の床の間。

現場:工事をして引き渡すまで、作品づくりに携わる。
湧水園(ドイツ)全部自分で、現場の指示をする。
このドイツの時も二十日に一回くらい行っていた。
よほどじゃないと土日は寺をあけない生活を続けた。

鹿野:私の自己紹介を。... WOWで.
もともとCG, インタラクティブなもの。
最近ではインスタレーション、空間に投影するもの、
最近ではユーザインタフェース。仮想空間と実空間の界面のようなデザイン。

20世紀ボヤージュ、8年前の作品。
歴史でおきたいろんな出来事、創造的な出来事と破壊的な出来事を交互に表示していくもの。
年表ではなく、解釈して新しい歴史の見方で作った作品。

最近、インスタレーションという形で表現することがおおい。
光が波でもあり、粒子でもあるという存在であることを
うまく映像化できないか?光そのものがもっている不思議さや、現象を
作品として展示していたが、宮城県美術館で展示していたが、大破したもの。

作品作りで心がけているもの。
 個とは何か:さまざま境界、動的平衡
 自然と自分との差分に突き当たってくる。
 自分の細胞は新陳代謝で変わってくる。
 自分というものが「個」ではなく、流動的なもの。

表現の意味
 映像と認識のはざまで
 
 いつもいつも興味を持っている
 芸術にしんびせいを求める。
 表現は無駄なもの。
 生物が生きて上で表現しなくても生きていける。
 小鳥が美しく鳴くことは、繁殖につながっていく。
 自分たちの表現をどう他者に見せていくのか?
 表現や想像は、もっと生きる上で自然なものであるのか?

世界の脈絡
 科学と民俗学

科学を考えないと思考できないことがある。
科学は徹底的に分解して最小単位まで、素粒子まで到達しているが、
そのれらがどのように営まれているのか、科学だけではわからない。
正反対の民俗学に興味を持っている。
鬼や悪という存在が、社会的にたまたまその時に悪だったりする、
相対的なもの。個もあるし表現もあるし世界がある。

ユーザインタフェースのデザインをしている時に、
非常に身体的で、動かした時の気持ちよさやフィードバック、関係性が作られている。
生活に密着すると、身体制だけでなく、
人間がどうやって営んでいくのか?民俗学に非常に感心を持っている。
最終的には仕事において大きな決断をする時の素材になっている。

叙景の限界:世界をどのように記述していくか?という表現。

山が高い、森が高い、波が高い、緑が濃い、
記述すればするほど、記述の対処うがk術しきれないほどの
奥行きと広がりを持つものあることを知る。
「呪いの時代」より。

今回テーマにしている「禅の美」。禅という美意識の中から、
短時間ではとても説明しきれないが、

「無常と幽玄」に関して。

「かたち」よりも「うつろい」
「うつろう」ことに美を見いだし「かたり」よりもそこに

禅とは何か:本来の自己と出会う。
子供のころは美しいものを見ると美しいと思う。
嫌なものを見るといやだと思う。
大人になると、他人の目が気になったり、社会的立場など、
いろんな事柄に心が縛られてしまっている。
何かが欲しいという執着心があると、本来の
子供の頃のような一点の曇りもないような心を失ってしまう
「心のメタボ」といっている。
メタボを無くしていくのが禅の目的としているところ。
禅は限りなく哲学なのだが、仏教としてなりたっている。

モノをとどめよ。美しいものをとどめようと思っても
絶対に無理。形あるものは風化していって、壊れてしまう。
明日も同じような日が来るような気がするかもしれないが、
今のこの瞬間は二度と戻ってこない。
少しづつ変化していっている。「無常」という、
「うつろいゆく」ことが美しいという視点。

漂う空気を大切にする。常でないこと、朽ちていくこと、
老いてかれていくことに美しさを見いだす。

木造の家をたてるとだんだん古くなっていくが、
柱に時代性がでてきたり、ツヤがでてきたり、
キズがでてきたり、やがてそれが朽ちて壊れていくが、
その変化の一瞬一瞬が美しい。

ペットボトルがただの形だと思うが、
見る側の姿勢による。

「旬」という言葉。
旬を楽しむのが最高の贅沢である。
今この瞬間が「旬」である。
日本料理は、7割が「旬」、名残と走り。
現在、過去、未来で、「旬」を強調している。
庭を作る際の「旬」は?

日本は、はっきりとした「旬」がある。
季節季節でしか味わえない季節をきちっと作ってあげる。
春には春の良さがある。
夏はつまらない。
冬の枯れた時。
秋の変わって行く時は美しい。
それぞれの良さが感じられる。
夏は木陰が良いとかを感じられるようにする。

1年の季節の移り変わりを考えながら庭を作る。
この時期は、ここに目がいくようにしようと考えて作る。
 高速に映像が動く?
頭の中に描かれる。
水に風景が映るのではないかとか、
春はこう、冬はこう、自分がそこに居るように見えてくる。

日本の庭園は四季があるから成り立つ。
今自分が見ていられる幸せ、
そこに居る自分をどう感じられるか?
それが禅の庭の大切なところ。

西洋の庭との比較。
人間の強さが強調されている。
日本の庭園は自然そのものの形状をしている。

一つは、おおきな意味で、
自然は西洋の意味で、人間を支えていくという考えが
ヨーロッパでは強くある。
日本では自然と人間は同レベルであって、
お互いに支えあっている。

 明治以前は「自然」という言葉は無かった。

昔は「じねん」と言っていた。

「幽玄」創造性、お客さんに想像してもらうことを重要視している。
語りすぎない。
「余白」想像させる部分に重きを置く。
大事なもの、本当に伝えたいことは「余白」に込める

100%見せない、隠れている部分を想像させる。
滝を100%見てしまうと「こういうものかと」なってしまう、
木の枝で7割くらいしか見えないと、想像する部分が無限に広がっていく。
全部見えてしまうと、終わりがある。
禅では限りなく、終わりの無いものが禅の修行。
終わりを見せない。そこに隠れることによって奥ゆかしさがでてきたり、
想像の世界がでてくる、墨絵でも同じ。

本当に伝えたいことは、文字にもならない。
自分で会得していくことしかない。言葉にならない。
みんなに考える場を作る。それが「余白」
ひとつの所作からひとつの所作に移るとき、心を込める。

庭や建築は、形の中で、抜けたものを「余白」という。
なんなんだろう?と考えるのが余韻。
演じる人も作る人も、そこに能力が求められる。
見る人にも能力が求められる。
そこが日本の芸術。

墨絵は墨で色を表現する。否定を持って肯定する。

「完全を超えた不完全の美」
不均整、簡素、枯高、自然、幽玄、脱欲、静寂

完全なる形には、作り手の形や人間性の入る余地がない。
それを壊して、この形の中に作り手の精神、命が
注ぎ込んで残っていくものを美しいという。
完全な形になってしまう。
西洋のティーカップ、これ以上できない時に完全な美と言うが、
人間性が注ぎ込めた時に心を込めることができる。
禅の中でも不均整。

禅の美とデザイン
を考えた時に、禅の思想は、初体験だった。
ちゃんと分かりやすい形で自分の中に入った時に、
非常にデザインにつながった。
日本の美意識、一つでは無いが、非常に大きな美意識の成立に
貢献している思想だと思った。
禅の美がデザインと密接に関わるのか、刺激していって欲しい。

国外の庭園作品
国内の庭園作品
身近なところでは、渋谷のセルリアンタワーとか、カナダ大使館とか。

1/26/2012

[&] AXIS Forum - torafu


第40回 AXISフォーラム
「建築的思考から生み出す、モノ、空間、風景」
トラフ建築設計事務所 鈴野浩一、禿(かむろ)真哉
http://www.torafu.com/
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今日はこんなにたくさんの方にきていただいてありがとうございます。
憧れの雑誌の表紙になれて大変うれしい。
作品を紹介しながら、発想をどう考えていったのか、
それぞれの作品について説明しながら、
どういうことを考えながら作っているのかわかってもらえれば。

私たちが二人で初めて8年になります。
ちょうど8年たったところです。
もともと二人とも設計事務所で働いていて、
卒業して独立したことになっている。
最初はホテルの客室デザインを担当した。
半分手伝いのようなところかが始めた。

今、絵本を作っていて、トラフの小さな都市計画」3月発売予定。
一緒に街をみていくような、モノ、空間、風景をいていけたら。

モノ、空間、風景になっていく。
モノの目線でみたり、
風景として見たり、
街の視点にまで広げてみたり。スケールアップの視点が合致しているので。
絵本にしたがって作品を紹介していきます。

街を潜望鏡でのぞくような感じ。
やまぐちようすけさんとうペインターに書いてもらっている。

右にあるプヨプヨしたものがかむろさん。
左が鈴野さん。
二人のキャラクタのもとになったプロジェクトがあって、
その模型の写真をイラストレータの山口さんにいれてもらって、
キャラ化して、絵本のガイドに仕立て上げたというエピソード。

●テンプレート イン クラスカ
http://torafu.com/works/tem

回転体というプロジェクトの時の模型から。
クラスカ/小さいホテルのリノベーションが一番最初の作品。
最初の作品である以上に、このプロジェクトがきっかけて
トラフをはじめた。
モノを強く発想していく原点になっている。

僕らまで壁の中に入って。。。。。。
ホテルの部屋は色々な備品があって、
モノが小さい部屋だと、そのものがもっている意味あいがおおくて、
後からモノを置くことができない。
置かれるものがあれば、いったん全部だしてから、発想する。
長期滞在用の客室なので、お客の備品と、ホテルの備品と、
モノの形を決めて、収まるものを決めてしまうという提案をした。

長い間泊まっていると、たんだん自分のものがちらかってしまう。
片付けるという行為そのものをゲームにしてしまう壁面を提案した。

クラスカ(どう暮らすか?)という意味。
椅子もあって、ゴミ箱もあって、いろいろなものを
ヒエラルキー無しで扱いたかったので、
同一の壁面に埋め込むようにした。
絵をかけるような感覚。
自分の部屋に帰ってきたような感覚になれる。

椅子も壁面に埋まっている。
お気に入りの雑誌をはめこんだり。
自分の好きなようにカスタマイズしていくことができる。
最初はデコボコした壁面。
木の表情のある壁面を提案した。
照明も全部、穴の中から間接光で扱った。
壁の奥にスピーカーが仕込まれている。
全部レーザーカットで加工している。
レーザーカットでしかできないような構造を考えていった。

大きさとしては小さいシングルルームなのだが、
半分家具のような壁のようなその中間のようなプロジェクトだった。
雑誌で紹介されて、どんどん仕事がつながっていくようになった。

クラスカをプロデュースした都市デザインに声をかけてもらって、
手伝ってということころから、声をかけて、
このプロジェクトだけのつもりで二人ではじめて。
SONYのアイボを使い、雑誌に載せるために急に「トラフ」に決めた。
建築の「壁」を作るという発想でやっていた。
今から考えるともう少しインテリアとして、
そんなに重く考えなくてもいいのだが、
建築は10年、20年と残るものなのでとても悩んだ。
最初は幾何学模様を試してみたこともあった。
「戻そう」という誘発的な意味をもたせ、
機能を超えた高揚感を与えることができた。
モノから発想したきっかけを与えることができた。

学生時代の竣工写真は、モノが外されて写真が撮られる。
モノは建築に後から置かれるもの?
いったん条件として全部出してしまって、
その中で背景を作る。
建築やインテリアで完成したものは無いと考えた。
これくらい小さいと、そう発想するしかなかった。
次のプロジェクトの視点を得ることができた。

●くつの水族館
http://torafu.com/works/nik-l

ショップのインテリアのプロジェクト
くつを魚のように見立てて、グルグル同じ方向に向いていると、
水族館のようにみえる。
靴をキャラクタ化してしまう。
靴の専門店の内装の計画。
テンプレートのプロジェクトと同じで、
モノからどういう空間ができるかを考えた。

20周年のイベントで、1年間限定のプロジェクト。
1年間かけてだんだん靴が増えてくる過程を見せるようにした。
一年まだたっていないが、だんだん色がついてくる。
増えてくる過程を見せるのだが、
お店が出来た最初の頃は10足くらいしか無いのだが、
最初に白いシューズを300足置いておいて、少しづつ入れ替えていった。
靴は矢印のようなもの、エアフォースワン。
最初に一足目は特別なクロコダイルの1足。

このショップで、キャラ化という話をしたが、
靴の水族館も裏テーマであった。
ソースの形状のパターンを立体化したもの。
僕らのテーマとしては「水族館」
どいういう効果を与えるか?
Nike側がもっているハードはイメージに
別なストーリーをかぶせると深まっていく。
モノから発想することで、さらにストーリーがひろがっていく。

2Fには特注できる予約制のラウンジがあって、
下の階を覗き込むことができる。

円形のガラスに一枚一枚、小口が透明なガラス(こうとうかガラス)
紫外線を当てることによって固定されるガラス。

●airvase 空気の器
http://torafu.com/works/air-black

紙のプロダクト
2010年に発表したもの。
いろいろな展開がその後あって、
こんなところまで広がっているという。
会場にもテーブルにいくつか置かせてもらっている。

青と黄色のバージョンが最初のもの、
だんだんパターンを持ったものとか、
最近では、巨大化したものなど、バリエーションを持って展開している。
もともとは「紙の工作所」の
特色指向展でのもの。
最初は「特色」がわからなかった。
色を混ぜることだとわかって、
色を混ぜるのは建築でも良くやっているので違和感が無く、
普通の雑誌だと CMYK で作られているので、
特色の黄色と、特色の青とをぶつけて、緑を作ることを考えた。
黄色と青の空気の器が最初のもの
そこからいろいろ展開している。

いろいろスタディをした。
紙は二次元なので、できるだけコンパクトなものから、
どれだけおおきなものができるのか?
強い紙があるので、鞄のようなものになるかと思って作った。
ただ紙は堅い方がちぎれやすい。
もう少し細くしていった。黄色と青の裏表、切り込みをつくって、
黄色を青に反射させて緑に見える実験をした。

大きさの検討もして、立ち上がるように。
厚紙でも自重で崩れてしまう。
大きすぎると自立ができない。
紙はぺたっと自重で崩れてしまう。
あるところで、ピタッとバランスがとれ、自立する。
表参道にあるプラダの建物の構造と同じ。

構造的なアプローチと同じで、
最低限の構造部材でどう構造物を作るのか?
建築をベースとしているので興味があった。
いかに形態をとどめるのか?
白ならしろで、スタンプを押したもの。
黒い背景の上におくと、穴のように見えたり。

http://torafu.com/works/air-k

金沢21世紀美術館からの特注。
表はオレンジで、ピンクブルーオレンジの。
クレヨンで書いたものを印刷した。

金と銀という華やかな器。
影のようになる黒。
3月発売を目指している特色の紅白版。
イセタン用に作ったものを商品化した。
リンドゼ(家具ブランド)からたのたまれて作ったもの。

二次元的に見ていいものと、グラデーションが面白いものを
何度も何度も検証して作った。
平面のもの、立ち上がることによって違うものになる。

空気の器の展覧会をいろいろな会場で行った。
空間での見せ方、空間とのセットでイメージしたものもあった。
自分たちで設置をしたり、空間でどう見せるのかを
毎回場所に行って、その場所その場所で考えた。

300個以上の器を表参道スパイラルホールで釣った。
ミラーの上に置くことによって色が変わって見える。
空調によって揺れて見える。クラゲのように見える。
白い空気の器でワークショップをして絵柄を作った。
表と裏で絵を作るだけでも面白いのだが、
広げてのびることにようって、驚きがあった。
子供は必ず頭にかぶってしまう。

ミラノで:
キヤノンのミラノサローネの展示。
キヤノンのカメラで撮影して、キヤノンのプリンターで出力したもの。
そもそもキヤノンで誘ってもらったのも、
空気の器を見てもらって、きっかけとなった。
モノから空間に広がっている。

状態や風景も想定して提案していった。
置かれる場所を敷地を見立てて、
その環境がどう変わっていくのかを含めて提案している。
ミラノサローネは初めてだったが、子供達も無料で入ってくるので、
とても感心をもって見てもらった。
みんな記念撮影している。

イスタンブールで:
ここではすごいお金持ちの人がいて、1万円くらいで売っていて
びっくりした。全色買ってくれるお金持ちがいて
申し訳ない気持ちになった。
値付けが高いと紙というものでは無い気がする。
9割り増しの値段になった。

芝浦ハウス:せじまかずよデザイン
巨大な空気の器を天井から釣った。
ワークショップをする場所なので、
インタラクティブに関われるようにした。
100パターンの空気の器を作って、3枚セットで購入することができる。
スタンプキットを作った。
この時は試作だったが、最近販売している。
紙で作ったローラーやスタンプを押せるようになっている。
切って紙をハンコを作れるようになっている。
子供はやっぱり頭にかぶる。

http://torafu.com/works/airvase-in-shibaura-house

ここでは1日、空気の器に乗ろうとうワークショップ
空気の器にのっているような写真を印刷して作った。
ヘリウムで浮かばせるように。
飛びすぎてしまうと5mくらい天井がある。
かわかみもとみさん全身のパネル。
色々な模型でスタディしてみた。
夜中空気の器に載せて遊んでいたら楽しかった。
それがきっかけ。

●イセタンのプロジェクト
18面くらいのショーウィンドウ。
クリスマスと年末に切り替えた。
外のショーケース18面のスペースでのインスタレーション。
毎回毎回、空気の器をどう使えるのか考えている。
表は白、奥に赤、包むということが隠されているのを考えた。
境界面で空気の器をツカッtあ。
白い面が見えるのだが、横からだと赤が見えたり、
グラデーションで見えるようになっている。

美容室に空気の器を使って髪の形を作ってもらった。
自分たちの手を離れて使ってもらえるのがうれしかった。
一つの空気の器で作られたシンプルなもの。
いろいろ余白を持っているモノ。
余白があればあるほど広がってくる。
器としてモノを入れるだけでなく、ランプシェードで使ったり、
いろんな余白を持ったプロダクト。

●ザ・ステージ マルジェラの服
モーターで上下に動かすもの。
正月の2日と3日だけのために作ったもの。
貴重な体験だった。
ただ上下するのに加えて、上下した時の慣性で
不思議な動きをする。複雑な見ていて不思議な場所になった。
空気の器を面白く使ってもらえた。

●Light Loom / CANON
光の織機 (Canon Milano Salone 2011)
http://torafu.com/works/lig

発想のところから。
キヤノンのプロジェクトでは広い敷地。
プロジェクターを使ったインスタレーションということだけ決まっていて、
自由であった。
過去3回やってきたもの。
投影面をどう使っていくか?すでに色々やられてきた。
どういう投影面、映像と空間と人との関係が作れるか考えた。
まずは空気の器の大きなものをつくって、プロジェクターを当てた
スタディをした。

できるだけスカスカな構造を作ることによって、
映像に入り込むような、見る角度によって見え方が違うもの、
どういう形があるのかを探っていった。
細い糸のような紙を重ねていうか。
線材で天井が変わっていうとか、
モノの持っている形が強すぎるとか。しっくりこなかった。
映像の形を持たせること。
透明面に当たる前にも、光が前にもあって、
見えない光を可視化して、それ自身がスクリーンになるといい。
古い映画館とかでチリに光があたって、スジが見えたりする、
その中に入っていけると面白いと思った。

通常のスクリーンとプロジェクタとの関係d、え
実体を持たない光を取り出せるか?
紡績工場で、糸を編んでいるものに向かって光を当てるもの。
実際は3つのプロジェクターを使った。
入り口はいると壁面があって、"WONDER" が
刺繍の文字がかかれている。

ガリバートンネルをとおっていくと、紡績工場に入ったかのような。
プロジェクターの投影面がスクリーンとなって見えてくる。
発見的だったのは、
1/1 を作ってわかったのは、
光が落ちてくるのはわかったが、
プロジェクタの映像が自分の中を通り抜けていくような感覚。
映像が降ってくるようなイメージ。
投影面を見ないで、プロジェクタ側を皆が見る。
糸を伝わって、一本一本発射されているような。
プロジェクタの方を皆が見ている配置。

スーパースタジオの敷地。
「光の織り機」
映像は WOW が担当。光の循環がテーマ。
光をテーマで作ってもらった。
糸に吸い上げられて、映像の投射される過程が見られる。

NEOREAL WONDER



糸自体は工事現場で作るような糸。光が当たると反射する糸。
模型を作って、フォークで糸をとかしながら作った。
常に模型を作ってシミュレーションした。
小さいプロジェクタでシミューレーションした。
どういう映像を当てるとようなのか分からなかった。
外で、工事現場の水糸を使った。
綿んでしまうと、イメージが崩れる。
いろんな糸を取り寄せて実験した
1/1 を作った時。あるていど想像していたが、
びっくりした。降ってくる映像はどんなものが良いのか
実験を繰りかえしていった。
水糸を連結したものを職人が考えた。
鉄板に糸を巻いていきながら、作って、ミラノに送った。
ものすごいテンションをかけなければいけないので、
裏でテンションをかけて絞った。
光の織り機というタイトルで、刺繍の裏側を見るようなイメージも。

●テープフック
http://torafu.com/works/tap

紙のプロジェクトの第二弾。
マスキングテープを壁にはっている時にクルクルとした巻グセがあった。
そこにモノをかけるフックとして使えると面白い。
どうやって強度を持たせるか?
トレーショングペーパーで作られていて、
マスキングテープと同じ色、紙を水に濡らしてバリバリになることを
利用して強度を保った。
なにか少し立体物になると、輪ゴムやネックレスなど軽いものを
引っ掛ける弱いフックがあっても面白い。
繊細で重いものをかけるとのびてしまう、柔らかいフック。

●椅子
家具やプロダクトを考える時、
建築を勉強してきた建築家なので、
家具を頼まれても途方にくれてしまう。
敷地から読み取れるコンテクストがたくさんある。
このイスはベルリンに行った時に見た椅子。
もたれかかる椅子で、もたれる部分は壁にある板を利用する。
そこでしか成り立たない椅子。
建築的な発想で、そこをとっかかりにして考えられる。

●デッキ
http://torafu.com/works/dec

自由に家具を作ってもよいプロジェクト。
自分の家のバルコニーを想像した。
バルコニーに椅子やテーブルが置きたい時もある。
バルコニーの手すりを利用してはみ出すテーブルを考えた。
デザインイーストというイベント。
図面と材料を売って、その場で作ってもらえるようなイベント。
場所を与えるところから、
そこでの条件を引き出して、使えるものに。

●シェリフ
http://torafu.com/works/cat

丹青社の新人研修プログラム
去年参加して作ったもの。
建築で場所を与えようと思った。
建築のコーナーを捕まえるような家具を作った。
角があるところに引っ掛けることで収納ができて、モノが置けるようなもの。
手すりや隅があって、初めて成立するもの。

●NANYODO SHELF
http://torafu.com/works/nan

神保町の建築専門書店の外部に奥棚を考えた。
壁の溝に差し込むだけで使えるもの。
雨の日は使わず、毎日外に出すもの。
これが一つあると、急に通り道が図書館に見えてくる。
街の印象が変わってくる。
みんなの壁になったような感覚。
立ち止まる人がでてきた。
水糸をひっぱって、ページが風でめくれないようにした。

●pick-a-book
雑誌デザインのひきだしでノートをつくった。
風景、おかれている状況に注目して、
ちょっとずれて、取り出しやすいノートを考えた。
いま使っているノートをすぐに取り出せるように。
実際は、6度下の部分を切った。
それだけで、手前に出てくるようになる。
小口も緑なソリッドな素材感のあるものに。
逆にすると、直角になっているので、
使い終わったら、他の本になじむようにフラットになる。
ピックアップブックと名付けた。

●舞台美術
ファミリーレストランの部隊を作ってほしい。
チェルフィッシュという劇団。
普通のテーブルと椅子のセットを床から50cmのところ切って使った。
面白いなと思うのは、動いている縁者を考えるのは
建築とはまた違う楽しみがあった。

●HOUSE IN
家具の積み木。
家具をスタックしたような建築を作った。
建築と家具をミックスしたような、同時に作っていくもの。
あがってくると、二階の床から下がるところがあって、
床だと思っていたところがテーブルとして使われたり、
自分がどこにいるかによって、関係性がかわってくるもの。
木造の建築。左側に大きな棚があり、デスクになり、キッチンになる。
下の階の出っ張りを上の階のベンチに利用している。
2世帯住宅。1階も明るくて広い。
1.4m の収納階を作った。
最近、敷地が細分化されている。

●山口ともさんのための建築
ポストを目に見立てて、作った。

●HOUSE IN MEGURO
リノベーション
ビルのような場所、武蔵小山。
時間をかけて改修したい。1Fはカフェに。2F,3Fは住居に。
ビルをまるまる買い取って住宅にした。
3Fはもともと和室。解体して、4方向に窓がある。
外階段しかなかったので、穴をあけた。
中間階をおいた(ボックス)。
極端にいうと、穴をあけて、大きな箱を置いて、
穴と箱でまわりにいろんな場所ができた。
出窓を利用した大きなテーブル。7-8人坐れる。
踊り場も大きく、一つの部屋のようなもの。
なぜか屋上に水銀灯がついていて、そのまま活用した。

●オーストラリアの写真
ポストがたくさんあって、そこからさらに遠くに家がある。
局留めのポストのようなもの。
考え方が役立った。
日本だと部屋に直接郵便物が届けられる。

公園の中にバーベキューの施設がある。
それだけで公園がキッチンに見えてくる。
いろんな機能が加わっていくと豊かになる。

●スーパーに置いてある優れたデザイン。募金箱。
コインを入れるとコインが立ったまま、
ゆっくり落ちていく。
コインが入れたくなるような行為を誘発するデザイン。
自分だったら、どういう募金箱を連蔵するだろう?と考えた。
遊びの要素があると面白い。

●Run Pit by au Smart Sports
http://torafu.com/works/run

街の中に施設を作るだけで街が変わる。
地図を持って歩くだけでも面白くなる。
単なる街が建築ミュージアムに思えてくる。
いろんな人の目で街が書き換えられていく。
Run Pit という施設は街をランニングコースに書き換えてしまう。
シャワー施設やロッカーなど。
会社帰りの人が着替えて、皇居周りを走って、着替えて帰るというポイント。
ポイントができるだけで一気に街が変わる。

●WORLD CUP 2006
http://torafu.com/works/wor

ワールドカップというプロジェクト。
道路面の白線は不可侵領域。
フィールドの白線をちょっとだけいじるとどういうことが起きるのか?
コーナーだらけのサッカー
キーパーのエリアがむちゃくちゃ大きなサッカーとか。
タッチラインが無いサッカーとか。

建築の場合、線一本で人の動きが影響される。
サッカーの場合も同じ、新しいルールを考えるのが楽しい。
延々と100案くらい考えた。
白線の力、
後ろから攻められるサッカー
判定が難しいサッカー
割と整理されているサッカー
コーナーの無いサッカー
リーグ戦が早く終わるサッカー




タクシータクシータクシー
壁があるかのようにはいってくる要素。
アホみたいに守る。

ベルリンの白線は、ちょっといいかげん。
のぼりと下りの矢印。のぼりの人しか見えないのに。

2004年の水糸のプロジェクト。
1本糸を張るだけで領域ができる。

●ガリバーテーブル
http://torafu.com/works/gul

最近のプロジェクト
ミッドタウンの芝生。長いテーブルを用意した。
60mくらいの敷地の中で、1.5m 下がっていっている敷地。
おおきい、テーブル自体は水平だが、坂の関係でだんだん大きくなってくる。
富士山のようにも見えてくる。
人との関係、地面との関係で変わってくるもの。
「水平じゃないだろ」と言われるが、水平。
なぜか傾斜になっているように見える。
テーブルを置くだけで、地面が斜面だと気づくような。
端っこではベンチになっているが、もう一方では、屋根のように。
テーブルを置いただけでいろんな人が集まってきて、
いろんな行動をしてくる。
子供は遊具のようにきにせず遊ぶ。
大人は写真を撮る。
ワークショップの開催場所になったり。

構造化、オオノジャパンでモックアップを作成。
普段のテーブルと同じようなもの、
少ない部品でシンプルなもの。
一本一本足の長さが違うので、レーザーで計って作った。
10日間置いてあったもの。
石巻工房。

絵本の中では、
モノから発想する場所の作り方。
モノだけでも風景が作れたり。
自分たちが作った場所に置かれるものを前提に考える。
モノの目線になって考える。
街などの大きなものとの触れ幅は大きいが、
その間をいったりきたり。
トラフの小さな都市計画。都市に語りかけるようなもの。
もう少し小さな都市計画。モノとかから発想するもの。
自分から出来るものもあるのではないか?

それらを絵本として作っている。
3月末に発売。

Q&A

Q. 事務所に勤めていた時代の経験で現在生かしているもの。
A. 青木淳さんのところにいて、
 最終的に形にする時に、これしかないと決めつけないで、
 金属を使うべきところに、わざと金属を使わないで作るとか、
 場所なりモノなりに広がりがでる。
 人が使うものであるかぎり、人が入り込める余白を作る。
 そういった影響がある。

Q. 学生時代にこういうことをやっておいた方が良いことは?
  やっておいて仕事に役立っていることは?
A. 学生の頃、アイデアコンペだけ出していた。
 学校の課題は全然出していなかった。
 授業をしている先生だったので、対外的な評価が欲しかった。
 建築家の人ならどういう意見を言ってもらえるのか?考えた。
 現在は、講師として有名な建築家が来ていてうれしい。
 自分たちは有名な先生を呼んできて、コンペして評価してもらうなど、
 環境を作ってきた。
 対外的な評価が欲しくて、行動していた。
 学生のころにいろいろ考えてしまうと難しくなる。
 ひとつひとつその場でその時で。
 そもそも課題がどうなのか?
 重要だと思っていて、学校で教えていると、
 学生の提案で、「カフェを作ります」「カフェを作ると人が集まります」
 と聞いて。どういうカフェを説明しないで、全部が解決するわけではない。
 どういうカフェなのか踏み込んで考えないといけない。
 林の中に美術館を作るとき、なんで作ろうとしたのか?
 条件を疑ってかかってほしい。
 言葉だけとらえないで、疑ってかかってほしい。

Q. 二人でどうやって発想をブラッシュアップしているのでしょうか?
A. プロジェクトごとに一緒に考えている。
 ものを使うものを全部だしてきたり、
 条件を全部だして、その中に制約をあたえて、
 だんだん問題が見えてきたり、
 解決するためにデザインしたり、
 矛盾が見えてくると、なにかを操作すると全部が解決することを
 考えていく。
 お題と、コンセプトを考えていく。
 その中で、どうやって一緒に解決していく方法があるのかを探る。

 アイデアだけが、アイデアありきでは
 何かを解決する、回答としてデザインを使う。
 発想とかアイデアが先走ることは無い。
 Nikeみたいに、10足〜300足の棚を用意しておかなければならない?
 どうする? 解決するために300足真っ白な靴を用意しておく。
 シリンダーを作ったが、コンセプチャルにしすぎてしまうと良く無い。
 来た人には説明が書いていないが、奥行きや物語性を
 与えることができるのか?
 いろんな人が入り込める隙間をどれだけ作っていけるのか?
 素材などで工夫して。

 まずは模型を作る。面積とか、条件とかを検討する。
 それでどういう問題があるのかを考える。
 空気の器も、プロダクトを作るときもも外注するのではなく、
 自分たちで作り方が想像できるもので提案していることが多い。
 模型が作れる、作り方を把握しているから、わかる考え方がある。

※ WONDER で使っていた糸は、建築の糸引き用の光を反射する糸。「たくみ」の糸でした。

1/04/2012

[&] Human Interface


今日はニコラス・ネグロポンテの
[ ヒューマン・インターフェース―コンピュータとの交遊未来学 ]
を紹介します。

先日の SIGGRAPH ASIA での Bill Buxton の講演から、
20年くらい前に初めて出てきた技術や発想が、
現代で展開すべき事柄のヒントになるのではないかと考え、
少し古めの本を意識して読んでいる。
このネグロポンテの本もそう。
古くさい感じもしつつ、現代を予見している部分もあり、
何も変わらない根源的な部分もある。

■コンピュータはメディアである
 もう計算機ではない
 人間でなくてコンピュータが悪い
 コンピュータは発熱器であった
 メディアは一つに溶けあう
 メディアは嘘つきである

■フレンドリーなコンピュータ
 夫婦の会話とインタフェース
 インタフェースとしての話し言葉
 身振りのインプット
 コンカンレンシー/同時並行
 新しいディスプレイ
 グラフィカル・インプット

■インタフェースと新しい世界
 仕事と遊びが一つになる
 会議は広がる
 CAD/CAMの一般化
 本とデータベース
 新しいスリリングな新聞
 コンピュータを生徒にする
 コンピュータを通して自分で学ぶ
 アフリカのコンピュータ教育
 コンピュータ・リテラシー
 三人の生活
 喋りだす機会
 家庭用ロボット
 家庭が広がり世界が小さくなる
 ゲームは世界をシミュレートする
 レジャーと教育の接点
 アスペン、その可能性
 アマチュアの芸術家
 子供の絵と、鼠の作品
 コンピュータとドラマ

■近未来に向けて

この本が書かれたのが 1984年で、ちょうど MIT MediaLabが発足した年、
その当時の研究は以下の10のセクションに分かれていた。

 電子書籍
 テレコミュニケーション
 コンピュータと教育
 ヒューマン・マシーン・インタフェース
 アドバンスト・テレビ
 イメージ・テクノロジー
 グラフィック・アート
 フィルムとビデオ
 コンピュータ音楽
 コンピュータとドラマ

MIT MediaLab は研究している技術が流行し始めたら
その研究を辞めて次にいくと言っている。
今見てみると、現在のセクション分けは以下のとおり。

 Affective Computing
 Biomechatronics
 Camera Culture
 Changing Places
 Civic Media
 Cognitive Machines
 Digital Intuition
 Fluid Interfaces
 High-Low Tech
 Human Dynamics
 Information Ecology
 Lifelong Kindergarten
 Macro Connections
 Mediated Matter
 Molecular Machines
 New Media Medicine
 Object-Based Media
 Opera of the Future
 Personal Robots
 Responsive Environments
 Social Computing
 Software Agents
 Speech + Mobility
 Synthetic Neurobiology
 Tangible Media
 Viral Spaces

と、タイトル見ているだけでもワクワクしてくるな。